ライターの脳みそ

最近のマイブームはダム巡りと橋のユニークな親柱探し。ダムは目的地に過ぎず、ドライヴしたいだけ…。

夜のセヴラック

2005-08-29 06:57:08 | CD/DVD
あることで頭が一杯になっていて、とても家にいられない気分だったので深夜のドライブに出る。何気なくクルマを流していると、東京湾に近くなっていた。よし、ちょっと海でも見て気分転換するか。

ところが前にも書いたかもしれないが、東京湾というのはなかなか波打ち際まで行ける場所は多くない。海運会社や貿易会社が湾の縁をがっちり固めているからである。

ならば、お台場海浜公園まで足を伸ばす。ここなら波打ち際まで行くことができる。しかし、付近の道路をしつこいくらい何度もパトカーが巡回しており、道路にうっかり駐車しておくものなら直ちに駐車違反キップを切られてしまう。そんなわけでお台場はロケーションは良いのだが落ち着いて夜景を眺めていられないというデメリットがある。

夜景を楽しむためにわざわざ缶コーヒーを持参し、あちこち回ったが、結局のんびりすることなく帰宅。うーん、何だか消化不良だな。そこで思いついた「解決策」がセヴラックの音楽を聴くことだった。

デオダ・ド・セヴラック(1872-1921)は近代フランスの作曲家で、フォーレ(1845-1924)の影響を受け、またドビュッシー(1862-1918)の印象主義にも近い作品を書いたことで知られる。でも、なぜセヴラックが「解決策」になるのか?

周知のように、セヴラックは画家のオディロン・ルドン(1840-1916)と1900年に出会った。ルドンは当時にあっては我が道を行く作品を残し、孤高の画家とも評されている。そんなルドンは興味深い発言をしている。

「音楽は夜の芸術だ。夢の芸術。」

いかにも象徴主義者の言葉である。もちろんその発想はマルセル・プルースト(1871-1922)にも通ずるものであるが、いずれにしてもセヴラックがその影響を受けたことは間違いなかろう。たとえば彼の作品のなかでは比較的有名な練習曲集《セルダーニャ》(1911)。これは印象主義的なところもあるが、ドビュッシーのような色彩の鮮やかさはそれほど感じられない。むしろ闇を意識したような響きではないだろうか。もっとも、これはあくまでワシの主観がかなり入っているが。

ちなみに、どうでもよい情報をひとつ。セヴラックの4手のためのピアノ曲《鉛の兵隊》(1905)の第2曲には「ラ・マルセイエーズ」が織り込まれている。

やれやれ、ようやく夜の気分を味わえたと思ったら、外は朝じゃないか…。あはは。
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