タイトルだけを見て、思わずニヤリとしたアナタは間違いなくシフラ・ファンですね?(笑)何のことやらサッパリわからんという人のために一応ご説明を。
ジョルジ・シフラ(1921-94)は20世紀ハンガリーを代表するピアニスト。その演奏は聴衆を魅了して止まなかった。とはいえ率直に言って、シフラのスタイルは「一流の芸」である。もちろんこれは最大の褒め言葉であって、決して貶しているのではない。二流、三流の芸術よりも「一流の芸」のほうがはるかに素晴らしいし、見応えもあるからだ。
シフラの演奏を「芸」とするのに抵抗があるのなら、エンターテイナーと呼んでも構わない。次々とスゴい技を繰り出し、聴き手を驚愕の世界に引き込む。芸術家ぶっている二流以下の奴らにここまでの吸引力はない。だからシフラは一流のエンターテイナーなのだ。
彼をエンターテイナーと呼ぶ理由はほかにもある。残されているライヴ映像などを見てわかるようにその超絶的な技巧はカメラですら捕らえることができない。確かに手は動いているようなのだが、それはまるで残像のよう。こうした驚異的なテクニックにあって、突然「核爆発」が起きる。
もちろん文字通りの意味ではない。低音のオクターヴなどがまさに炸裂するのだ。録音を何度も聴いていれば、どこで炸裂するのかはわかるようになる。「そろそろ炸裂するぞ」と思っていると、当然のようにその箇所にくると「ドカーン!」と鳴る。すると何故か笑ってしまう。オカしくてたまらないのだ。
笑いというのは予想外の出来事に直面した時に起こるものとされている。お笑いが面白いのは、思ってもみないリアクションが来るせいである。本来なら予想されるものに対して笑いは生じないはずなのだが、シフラの場合は予想できていても笑ってしまう。もしかすると最初にワシが受けた笑いのツボが条件反射のようによみがえるせいなのかもしれないが。
理由はともあれ、とにかく炸裂する瞬間に笑いがこみ上げるのは事実。何度聴いても同じ場所で笑ってしまう。演奏で笑わせてくれるアーティストなんてまずいない。それだけでもシフラが並の演奏家でなかった証拠ではないか。
話をもとへ戻そう。『CANNONS & FLOWERS』(1996)はシフラの回想録である。ハンガリー語だったオリジナルの原稿を息子のシフラ・ジュニアがフランス語に翻訳し、それを英訳したのが本書だ。
注目は本書に9曲収録されたCDが付録していること。これは1948年から1977年までに録音されたものがチョイスされている。なかでもユーマンス(1898-1946)の《Tea for Two》をジャズ風にシフラがアレンジしたもの(1954)なんてスゴいけど、やっぱり笑ってしまう。
ジョルジ・シフラ(1921-94)は20世紀ハンガリーを代表するピアニスト。その演奏は聴衆を魅了して止まなかった。とはいえ率直に言って、シフラのスタイルは「一流の芸」である。もちろんこれは最大の褒め言葉であって、決して貶しているのではない。二流、三流の芸術よりも「一流の芸」のほうがはるかに素晴らしいし、見応えもあるからだ。
シフラの演奏を「芸」とするのに抵抗があるのなら、エンターテイナーと呼んでも構わない。次々とスゴい技を繰り出し、聴き手を驚愕の世界に引き込む。芸術家ぶっている二流以下の奴らにここまでの吸引力はない。だからシフラは一流のエンターテイナーなのだ。
彼をエンターテイナーと呼ぶ理由はほかにもある。残されているライヴ映像などを見てわかるようにその超絶的な技巧はカメラですら捕らえることができない。確かに手は動いているようなのだが、それはまるで残像のよう。こうした驚異的なテクニックにあって、突然「核爆発」が起きる。
もちろん文字通りの意味ではない。低音のオクターヴなどがまさに炸裂するのだ。録音を何度も聴いていれば、どこで炸裂するのかはわかるようになる。「そろそろ炸裂するぞ」と思っていると、当然のようにその箇所にくると「ドカーン!」と鳴る。すると何故か笑ってしまう。オカしくてたまらないのだ。
笑いというのは予想外の出来事に直面した時に起こるものとされている。お笑いが面白いのは、思ってもみないリアクションが来るせいである。本来なら予想されるものに対して笑いは生じないはずなのだが、シフラの場合は予想できていても笑ってしまう。もしかすると最初にワシが受けた笑いのツボが条件反射のようによみがえるせいなのかもしれないが。
理由はともあれ、とにかく炸裂する瞬間に笑いがこみ上げるのは事実。何度聴いても同じ場所で笑ってしまう。演奏で笑わせてくれるアーティストなんてまずいない。それだけでもシフラが並の演奏家でなかった証拠ではないか。
話をもとへ戻そう。『CANNONS & FLOWERS』(1996)はシフラの回想録である。ハンガリー語だったオリジナルの原稿を息子のシフラ・ジュニアがフランス語に翻訳し、それを英訳したのが本書だ。
注目は本書に9曲収録されたCDが付録していること。これは1948年から1977年までに録音されたものがチョイスされている。なかでもユーマンス(1898-1946)の《Tea for Two》をジャズ風にシフラがアレンジしたもの(1954)なんてスゴいけど、やっぱり笑ってしまう。
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