建築構造偽装問題が連日ニュースなどで取り上げられている。住民の生命に関わることであるから早急に解明・解決して欲しいものだ。
今回問題の発端になったのは建物の構造計算の間違いからである。それも資材コストをかけないように「ヤワな」構造でもOKだとしたところにある。もちろんそれは許されることじゃない。建築に関わった当事者には反省どころか自らの生命が続く限りその罪を償う必要があろう。
一方、クリエイティブな仕事に関わるひとりとして、ワシはこの問題を別の視点で考えた。つまり何かを作るには時間が必要であり、流れ作業でできるものじゃないということだ。元建築士が多くの仕事を手がけたのには「仕事が早い」という評価があったからという。構造計算を偽装するのと仕事の早さは関係ないかもしれない。しかし与えられた条件のなかで最良のモノを作るにはそれ相当の時間を要するのではないか。
どの分野でもチャッチャカと仕事をこなす人はいる。けれども、ことモノ作りの世界において「仕事が早い」人というのは、すべてではないにせよ中身の無いモノを作る場合が多い。中身のあるものを作るにはそれなりに知恵を絞らなければならない。そうなると時間が必要になる。当たり前のことだ。
とはいえ、商品を提供するフロントとしては「ウチの商品なら早くできますよ。コストも少なくて済みますし」という営業トークで顧客を獲得したい。気持ちはわかる。でも、そうするためにどこかで誰かが苦しまなければならない。「圧力があった」という証言は少なからずこれを意味する。
繰り返すが、対象が何であれ良いモノを作るには時間がかかるのだ。生命の危険はないにせよ、音楽だってそう。たとえば、世の中で定評のある伴奏ピアニストがいるとする。実力はあるから伴奏の依頼も多いだろう。しかし人間にはこなせる能力の限界はある。あまりに多忙過ぎて「やっつけ」でその場を乗り切っても、聴いているほうはすぐにわかる。
そのプログラムのなかにフランクの《ソナタ》なんてあったら、もうバレバレ。ちゃんとさらってなかったらあの伴奏は弾きこなせないからね。特に第2楽章でバレる。テキトーにやっていたらあの速いパッセージなんて音が抜ける抜ける。
元建築士のように「仕事が来なくなったら困る」という理由で、依頼された仕事を拒否しなかったというのは、実はモノ作りをする人間として熟慮に欠けていたというべきだろう。彼が駆け出しの建築士ならそれも仕方がない。最初のうちは誰でもガムシャラに働かないとキャリアがつかないからである。しかしある程度実績を積んでいたのなら「良いモノを作るため」に依頼を断る勇気を持ち合わせておくべきだったのではないか。
カネに目がくらんで質の悪いモノを作っても、すぐにバレるのさ。その代償は必ず自分に返ってくる。こんな基本的なこともわからなかったのかねえ…。お気の毒に。
今回問題の発端になったのは建物の構造計算の間違いからである。それも資材コストをかけないように「ヤワな」構造でもOKだとしたところにある。もちろんそれは許されることじゃない。建築に関わった当事者には反省どころか自らの生命が続く限りその罪を償う必要があろう。
一方、クリエイティブな仕事に関わるひとりとして、ワシはこの問題を別の視点で考えた。つまり何かを作るには時間が必要であり、流れ作業でできるものじゃないということだ。元建築士が多くの仕事を手がけたのには「仕事が早い」という評価があったからという。構造計算を偽装するのと仕事の早さは関係ないかもしれない。しかし与えられた条件のなかで最良のモノを作るにはそれ相当の時間を要するのではないか。
どの分野でもチャッチャカと仕事をこなす人はいる。けれども、ことモノ作りの世界において「仕事が早い」人というのは、すべてではないにせよ中身の無いモノを作る場合が多い。中身のあるものを作るにはそれなりに知恵を絞らなければならない。そうなると時間が必要になる。当たり前のことだ。
とはいえ、商品を提供するフロントとしては「ウチの商品なら早くできますよ。コストも少なくて済みますし」という営業トークで顧客を獲得したい。気持ちはわかる。でも、そうするためにどこかで誰かが苦しまなければならない。「圧力があった」という証言は少なからずこれを意味する。
繰り返すが、対象が何であれ良いモノを作るには時間がかかるのだ。生命の危険はないにせよ、音楽だってそう。たとえば、世の中で定評のある伴奏ピアニストがいるとする。実力はあるから伴奏の依頼も多いだろう。しかし人間にはこなせる能力の限界はある。あまりに多忙過ぎて「やっつけ」でその場を乗り切っても、聴いているほうはすぐにわかる。
そのプログラムのなかにフランクの《ソナタ》なんてあったら、もうバレバレ。ちゃんとさらってなかったらあの伴奏は弾きこなせないからね。特に第2楽章でバレる。テキトーにやっていたらあの速いパッセージなんて音が抜ける抜ける。
元建築士のように「仕事が来なくなったら困る」という理由で、依頼された仕事を拒否しなかったというのは、実はモノ作りをする人間として熟慮に欠けていたというべきだろう。彼が駆け出しの建築士ならそれも仕方がない。最初のうちは誰でもガムシャラに働かないとキャリアがつかないからである。しかしある程度実績を積んでいたのなら「良いモノを作るため」に依頼を断る勇気を持ち合わせておくべきだったのではないか。
カネに目がくらんで質の悪いモノを作っても、すぐにバレるのさ。その代償は必ず自分に返ってくる。こんな基本的なこともわからなかったのかねえ…。お気の毒に。
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