湘南オンラインフレネ日誌

フリースクール湘南オンラインフレネ学習的就労支援活動・災害ボランティアの実践を書き溜めていきます。

危険時の父の異常行動をどう判断するのかと

2010-03-26 14:44:33 | 引きこもり
父の認知症の「まだら」の部分が、少し良好な方に変化してきている。相変わらず紙パンツを下げたままであるし、転倒も毎日ある。以前、TVで故南田洋子さんが認知症が急に回復した時期があったように、肝機能が改善していることがどうやら原因のようだが、挨拶や表情がかなり取り戻しているように見える。

ところが一昨日、認知症の象徴的な場面があった。表面で捉えると見誤ることを知らされた。

場面は朝の起床と朝食の時、私が父を誘導して排尿と紙パンツ交換をサポートし、ポータブルトイレに父が床を離れた隙に、母がシーツ交換を行った。その際の出来事である。

以下に書くことは、この場面だけに限られたことではなく、日々、日常的に行われていることで、父の癖をつかんでいるから対処できた出来事でもある。

私は朝食と顔を拭く温タオルを持って入室し、遮光カーテンを開けて、父に起床を促した。8時頃だ。父にとっては、朝4時・5時に排尿を契機に部屋を歩き回り、ひと仕事を終えて再度眠りについた時間であり、起こせば機嫌が悪い。起こして数分はベッド上にあぐらをかいている。それからおもむろに床に下りるのだが、ベッド上のからだの向きをを変える事がひと仕事、四肢をばたつかせるけれど尻が動かない。やっと向きを整えて足を床に下ろすときに、あぐらをかいたままの片足がベッド柵の穴の中に入り込み、体重で指先が逆方向に折り曲げられ、足首とともに非常に危険な状態になってしまう。ここだけは、私が介助してはずしているが、夜間、父が自力でポータブルトイレに排泄に立ち上がるとき、同様な危険を犯しているので、ぞっとするところなのだが、そこまで立ち会うことが出来ないでいる。

問題はここからだ。父はなぜか床に足を交差させたまま、ベッド柵につかまって立ち上がろうとし、腰をぬかして床に落ちてしまったり、足を直そうとして横転、椅子に体当たりすることが頻繁に起きる。特に横転は頭部を打ち付けるために危険極まりない。だから立ち上がったときに、私は父の腰を支えるために父の横に待機している。

立ち上がった瞬間、ぐらりと腰を落としながら、父はすばやく手を伸ばしてテーブル上の入れ歯を手にしたのだった。左手には自分のステイタスシンボルの壊れた高級時計を掌にはめていた。崖から落ちていく最中に歯を磨いているような、この異質な行動は毎回起きてしまう。横転しながら、薬の粒が入ったキャップを取り出して、転げ落ちるのと同時に薬を床に散乱させたりする。その前は箸を握り、危うく怪我をするところだった。

今回は入れ歯。まずは椅子にちゃんと座ってからと入れ歯を取り上げて、猛烈な抵抗にあった。力づくで入れ歯を奪い返そうとして、ものすごい形相となり、入れ歯ごと、椅子の角に尻を打ちつけて床に転んでしまった。倒れながら私に殴りかかっているのだった。あたかも転げていることがなかったかのような動作が、明らかに状況をつかんでいないことを示していた。

父をなだめてやっとのことで起こして椅子に座らせた。ベッドはおねしょでぐっしょり、下半身もぐっしょりで紙パンツとパジャマズボンは下げた状態なのである。と、突然、ポータブルトイレに向かったので、排尿のサポートをし、済んでからトイレの椅子に座らせて、紙パンツ交換を行った。目の前のベッドでは、この隙に母がシーツ交換を行っていた。交換をすませ、着替えのパジャマズボンをはかせようとすると、麻痺側の足を誘導して通したとき、目の前のズボンを眺めながら、後を追いかけて、もう一方の足を力づくでけり出すようにパジャマの中に足を入れてしまうので、男性器を出す穴から足を突っ込んでパジャマを破ってしまった。自分の目の前の行動を観察できていないのだった。

替えのパジャマズボンに交換したところ、急に立ち上がり、まだシーツ交換しているベッドに戻ろうとするので制止。まだ椅子にすわっていてくれということと、シーツ交換が済んでいないから、終わるまで待てということを話して座らせたところ、烈火のように怒り出し、ベッドに戻ろうとして、足がいうことを効かずに転倒した。

全く状況が把握できないのだった。熱くなっているから見えないというのではない。見えないのに制止するから怒る、そういう状態。怒りはあとから湧き出してくる状態だった。

場面、状況認識がすべてに共通して衰えている。ホームの移動の場面で、車椅子から食堂の椅子に移るとき、的をひとつはずした手前の何も無い空間に腰を下ろそうとして、危うく支えられることがおきていた。これは我が家でも、父の座る位置がおかしいことは確認済みだった。自己の身体把握がおかしくなっていたのだった。

すべて焦って手早くやろうとして失敗を繰返す。てきぱきやるのがしっかりの基準という発想は、父が若いときからの癖で、さんざん、私たちを苦しめたものだった。過ってフォークを投げ出したり、箸を折ってしまうこともあった。そのときは必ず誰かとの交渉中、雑談の最中だったりしていた。それがひどくなったという具合だ。

結局父はへそを曲げた。シーツ交換が終わって父をベッドに誘導しようとすると、立ち上がらないのだった。だんまりを決め込むので、放置して1階に下りてきてしまった。

しかし、この見え方は自閉症の方の見え方に似ていまいか。フォーカスした部分が見えているとしたら…。

階段を上げるとき、対面誘導を行っているヘルパーさんから急に手を離し、まだ遠くにある手すりに飛び込もうとして、ヘルパーさんを慌てさせたり、玄関のチャイムが鳴ったとき、突然コショウの瓶を握り締めて立ち上がろうとし、瓶を何回もテーブルに叩きつけたり、不可解な行動には遑(いとま)が無い。このとき、問題なのは立ち上がるときとか、転倒寸前というような危険が伴っていることが特徴。安全確保や危険回避から視点が別のところに隔離されてしまうというか、逃避してしまうように見えること。安全優先を指示した時、強烈な抵抗に会うのが悩ましいことなのだ。父にとってのリアルに橋渡しする指示の方法をあれこれ考えている。

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「湘南ホームレス便りNo.5 3月号」 配布。
3/25 寒川町議会事務局済み
記者クラブ・支局配布(茅ヶ崎・寒川)半分済み

今日、市民活動センター(平塚・藤沢)に配布予定

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(校正1回目済み)
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