トラットリアで蕎麦を

2019-05-07 00:00:18 | あじ
倉敷の美観地区からそう遠くないところに「蔵pura」という場所があって、何軒かのレストランがある。最近、その場所に、イタリアンなのに蕎麦を出す店があるということで、暖簾をくぐることになる。店名は『トラットリア武野屋(たけのや)』。どうもランチの時間は蕎麦屋に近く、ディナーの時間はイタリアンに近いメニューのようだ。

イタリアンで蕎麦というと、代表的なのがスパゲッティを中心としたパスタ類だが、それは小麦粉でつくるわけで蕎麦粉は使わない。クレープは蕎麦粉だが、クレープを細く切ってお湯でゆでたりはしない。よくわからないながら、料理を注文すると、イタリアンと和食の混合メニューである。別に混合でも一向に構わないがドリンクに悩む。

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地ビールを飲んだ後、ワインにするか和酒にするか。どちらを選んでも食事と合わなくなるので、蕎麦にこだわり、蕎麦焼酎「十割」を注文する。当然ながら蕎麦湯割りなのだが、関西の蕎麦屋では蕎麦湯がない店が多い。さらに、蕎麦湯を知らない蕎麦店まである。少し心配だったのだが、想像以上のものが出てきた。何か茶色の木屑のような破片が浮かんでいる。確認すると、『蕎麦の実です。』とのこと。今まで飲んだ蕎麦焼酎の中でも指折りのすばらしさである。実はこれを飲むお客さんは、ほとんどいないとのこと。

実際、こんな簡単な飲み方でも自宅で作るとなると簡単ではない。蕎麦湯を作るには蕎麦を茹でる必要があるが、蕎麦を茹でた後は、蕎麦を食べなければならない。焼酎飲んでる場合ではないわけだ。だから、次々と蕎麦を食べにくる蕎麦屋の片隅で、キスの天ぷらを肴に蕎麦焼酎を飲むということになる。その他、肴に向いているのは、塩とかワサビとか揚げ玉なのだが、これらだけを注文すると、嫌われること間違いない。

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ということでいくつかの、日伊料理を食した後、イタリアン蕎麦を注文。このお店の紹介者と二人で行ったので、二種を注文、トマトソースとバジルソース。蕎麦の味がはっきりわかるのはバジルソースの方かな。しかし、どうも周りのテーブルを観察すると、イタリアンを食べている人はあまりいないようで、単に和食と蕎麦の店として認知されているようだ。

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ところでトラットリアより格上はリストランテ、格下はオステリアとかバール、タベルナ、ビストロということになるのだが、例えばサイゼリアはどれに当てはまるのかというと、難しい。どこにも入っていないようにも思える。料理もお酒もおいしいのだが、チェーン店なので、独自メニューがなく、種類が少ない。最近、業績が激落しているようだが、「おいしいのだが、飽きた」ということだろうか。これは大問題なのである。おいしくないから行かないという理由なら対処法は簡単だが、メニューが少ないというのは簡単ではない。