深夜食堂(めしや・2014年 映画)

2019-05-21 00:00:24 | 映画・演劇・Video
オリジナルは漫画。ドラマにもなっている。

小林薫演じるマスターがいい味を出している。頼まれればできる料理は作るし、頼まない客には、おすすめ上手だ。そのカウンターに日ごと色々なお客がやってくる。あらすじの書き方がよくわからないのでホームページをそのまま引用すると、

sinyashokudo


マスターの作る味と居心地の良さを求めて、夜な夜なにぎわうめしや。ある日、誰かが店に置き忘れた骨壺をめぐってマスターは思案顔。詮索好きな常連たちは骨壺をネタに、いつもの与太話に花を咲かせている。そんなめしやに、久しぶりに顔を出したたまこ。愛人を亡くしたばかりで新しいパトロンを物色中だったが、隣にいた年下の男と肌が合い…。
無銭飲食をしたことを機に、マスターの手伝いを兼ねて住み込みで働くことになったみちる。いつのまにかめしやに馴染むが、どこか事情を抱えたままで…。福島の被災地から来た謙三は夜な夜なめしやに現れては、常連のあけみに会いたいと騒いでは店の客と一悶着…。

いくつかの事件が起きないと、ストーリーにならない。いや、脚本によっては「武士の献立」のような、武士社会の歪の中の個人の戦いを作り上げることができるかもしれないが、本映画はそんな無粋なことにはならない。貧乏を題材にした部分は多部未華子演じる食い逃げ。震災を題材にした部分や、愛人の急死で遺産をもらい損ねた話。そして、極めつけは冒頭で客の誰かが置いていった骨壺。

この骨壺の謎は、映画がラストに向かう中、何一つ進展しないままになるのだが、突如、田中裕子によく似た女性が現れる(本人だが)。そして、骨は甲子園球児だった夫の物だと言い出したわけだ(本人の夫は気難しい歌手)。そして骨と一緒に甲子園の土を入れたと言う。実は、墓を動かす場合、土葬していた時代の骨は、残っていないため、代わりに土を壺に入れる場合があるが、甲子園の土はやめた方がいいと思う。過去に球場で亡くなった人がいたら、その方の霊も引き受けてしまうからだ。

ところで、深夜食堂は「めし」のちょうちんをぶらさげているが、この「めし」で思い出したのは、はるか数十年前の学生時分に就職活動をしていて、大阪のなんば駅の近くにある、農耕器具メーカーの役員面接に行ったこと。

もともと東京本社で面接終わっていたのだが、親切な東京の人事課の方から「うちは、関西の二大学閥の会社でないと苦労するから」と言われていた。二つとは、京都と大阪にある国立大学のこと。そして内定辞退の決定打となったのが、なんば駅から本社ビルに向かう途中にあった飲食店が、「めし提灯」だったわけだ。辞退しなければ、池袋の「上級国民」の顔を見ることができたのだろう。

ところで、田中好子さんだが、20歳代から活躍して、徐々に老け役が増えているように思える。彼女の役の変化を思うと、自分の加齢をも考えることになるわけだ。


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