長い石灯篭の先には

2019-05-23 00:00:36 | たび
先週、板東にあるお遍路スタートの寺院である霊山寺まで書いたのだが、その後、お遍路を始めたのか、あるいはサッサと高徳線に乗って徳島にラーメンを食べにいったのか明示しなかった。実は、霊山寺からさらに奥の方に歩き始めた。

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しばらくすると、突然、大鳥居があらわれる。突然に大鳥居が現れるのは、普通は新しい宗教団体のことが多いが、この鳥居は由緒正しい。

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さらに視界から見えなくなるまで石灯篭が左右に並ぶ。これは見事である。何か、本数に意味があるのかもしれない。詳しく知らないし、数えながら歩くほど、物事に集中できるタイプの人間ではない。一、二、三・・・十が限界だ。

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そして、その先に小さな橋があって神社が現れる。仏教じゃないので川を渡るときに小銭をもっていく必要はないが、参拝にはいくばくかのお金は必要だ。よくみると「サルに注意」と書かれている。

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大麻比古神社といって、阿波の国、一の宮である。境内には樹齢千年の大楠がそびえている。本殿の周りや奥に広がる森林がパワースポットである。確かカメラを向けると、本来参拝客に与えるべきパワーがカメラに吸い取られるので、写さない方がいいとされている。

神社の名前の大麻は「たいま」ではなく「おおあさ」と読む。日本古来の繊維といえば綿ではなく麻だった。いまでこそ麻の方が高いが、麻は夏用で冬は寒い。東北地方の本格的な開拓が江戸時代になるまで遅れたのは、この衣類問題だそうだ。国内で綿が広く栽培されるまで、国民は寒さに耐えていた。

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そして、この千年をはるかに超える歴史を持つ神社に、少し変わった遺跡がある。一つは、眼鏡橋、もう一つが独逸橋(ドイツ橋)。眼鏡橋は形状からそう呼ばれるが独逸橋はこの橋を架けたのがドイツ人であったからだ。

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ドイツ人が九つの橋を神社の境内に架け、うち二つはそのまま残っていて、このパワースポットを、いずれ聞きつけてやってくるドイツ人観光客を待っているわけだ。