市ヶ尾彫刻プロムナード『緑の朝(あした)』

2020-05-17 00:00:03 | 市ヶ尾彫刻プロムナード
市ヶ尾彫刻プロムナードの第5回目は、中野滋作『緑の朝』。区政20周年の花壇の中に立つブロンズ像だ。実は、このプロムナードの中では、もっとも普通の彫刻といっていい。普通過ぎるぐらいだ。等身大にかなり近いサイズだ。



といって、彫刻家が普通の人であるとは限らないので、少しだけ情報を調べてみたのだが、・・

中野滋という名前で活躍している芸術家は二人いることがわかった。

実は、当初は勘違いをしていて、1967年生まれの中野滋さんのことをブロンズ像の製作者と思っていた。理科大の建築学部を卒業後、まもなくイラストや紙製品を中心に前衛的な絵画を造られている。立体的な作品もあるので、ある時、彫刻に手を伸ばしたのかと思っていた。

しかし、そのうち、違和感が出てきて調べ直すと、1951年生まれの芸大卒の彫刻家の中野滋さんという方がいることがわかった。彫刻一筋の方で、横浜美術大学の教授(学長補佐)で彫刻を教えているようだ。こちらの方で間違いないだろう。

そう、ブロンズ像というのは、作るのが大がかりなので、簡単に余芸で作れるようなものではないわけだ。

それで作品の方だが、『緑の朝』となっている。この『朝』だが、「あした」と読むようだ。ということは、モーニングという意味なのか、トゥモローという意味なのか。

これも「朝」という字の意味を調べてみると、主に三つあることがわかった。
1つ目は、文字通り一日の初めである。反対語は「夕」。説明は要らないだろう。2つ目は「天子が政を行う場所」という意味。「朝廷」とか「清朝」とか。反対語は「野」。三つ目は「朝鮮の略語」。反対語は「韓」だろうか。いや同義語かな。反対語は「日」かもしれない。

で、これでは「朝(あした)」の説明にならないが、「朝」と書いて「あした」と読む場合は、あしたのあさ、という意味だそうだ。

この彫像の美形のモデルだが、よく見ても年齢不詳である。もっとも、多くのすぐれた裸体彫刻は男女を問わず年齢不詳で、見る側の心理状態で若く見えたり熟年に見えたりする。といって、「あしたのあさ」というようなタイトルは若い人にしか使わないはず。未来のない人には使わない。禁断の女子高生?そういえば、青葉区は誕生した当時は若い人の区だったのだが、居住者の年齢は上がり、めでたいことに男女とも全国長寿ランキングのトップを争っている。ブロンズ像はいつまでも若いままだ。右手に持っているのはオリーブの枝に見える。