市ヶ尾彫刻プロムナード『田園ふあんたじい』

2020-05-24 00:00:27 | 市ヶ尾彫刻プロムナード
市ヶ尾彫刻プロムナードの第6回目は、宮内淳吉氏と関孝行氏の合作になる『田園ふあんたじい』。区役所の裏口に並んでいる(駅に近いのが裏口であるので事実上は表口と言ってもいい)。合作というのも珍しいが、市ヶ尾の彫刻プラムナードには全11作あるのだが、宮内氏は本作の他、第11作にも名前をつらねている。関孝行氏は、第一作の『本を読むネコ』につぐ二作目。今回もネコである(たぶん)。




そして初登場の宮内淳吉氏だが、フレスコモザイクの第一人者ということ。(小さなタイルを貼るということ)。

『田園ふあんたじい』は三作の連作だが、中央の巨大な石の本はタイルが張られているので宮内氏の作だろう。背表紙には「DENEN FANTASY」と縦書きに入っている。気になったのは、「ファンタジー」ではなく、「ふあんたじい」というタイトル。特に「あ」の字が大きい。「ふあん」という意味なのだろうか。



「田園」というのは東急田園都市線を意識したのだろうが、なんとなく「都会のはずれ」という場所だったのだが、最近は「田園そのもの」になってしまい、アーバン感がなくなってきて少し心配である。ビリー・ジョエルではなくジョン・デンバーが似合う町(村?)。



そして右側の伏せた猫だが、猫の部分が関氏作で台座の部分が宮内氏作だろうか。市ヶ尾は猫の似合う町なのかな。そういえば、猫関係でいずれ散策してみたい場所が下北沢(もちろん行ったことはずいぶんあるのだが)。シモキタに住んでいた詩人の萩原朔太郎の代表作『猫町』にちなんでいる。文学者多数が居住していた世田谷に対抗して、市ヶ尾のある横浜市青葉区を代表する作家が村上龍だ。地元のテニスクラブをモデルに書かれた『テニスボーイの憂鬱』という名作がある。



そして、問題作が、何かご機嫌な耳のない動物像。これも合作なのかな(よくわからない)。上の方の動物はなんなのだろう。田園に棲む耳や手足のない動物といえば、あれしかいない。

つまり、『へび』。

へびがゴキゲン顔なのはどういう時なのか。おそらくご馳走にありついて満腹になった時だろう。何を食べたのだろう。鳥か魚かウサギか人間か。それこそ、「ファンタジー」ではなく「ふあんたじい」の持つ浮遊感の源泉なのだろう。