図解 仏像のすべて(花山勝友著)

2016-10-12 00:00:41 | 書評
仏像のことなど全く知らないのだが、日本美術史のかなりの部分は仏像彫刻から成っている。確かに、芸術論的にも、文化論的にも、歴史的にも、さらに金属加工技術といった点でも特記すべき点だらけなのだろう。

しかも、知人の中にも仏像大好き人間が増えてきた(年のせいだろうが)。

butsuzo


ということで、とりあえず入門書を読んでみたのだが、どうも「仏像を知る前に仏教を知るべし、喝!」ということになるらしい。

各種の仏様には、それぞれのランクがあり、住んでいる世界も違うし、それぞれの権限も異なる。都庁のようなものらしい。

ギリシアの神々も神の世界と人間の世界と中間があり、神々の職能権限があるので似ているようだが、仏様の階級はなかなか大変だが失敗をしないで無事に任期を務めると昇格するようだ。そこがカースト制とは異なるが、昇進を続ける期間は数百億年のようだ。

もちろん、人間に近い世界にいる仏様は俗人的煩悩のカウンセリングをしてくれるが、もっと高度な世界の平和を考えている大日如来さまに日常的な相談事をお願いする愚者の行為について、著者は「近所のごみ問題を国連の会議に持ち出すようなもの」と断じている。

つまり、解読すると、「仏像巡りは道端の地蔵さまから始めるべし」ということなのだろう。たとえそれが数百億年かかっても。

そのまえに仏壇の掃除かな。