太陽のあたる場所

2016-10-11 00:00:25 | 映画・演劇・Video
演劇集団土くれ、という結成49年の老舗劇団の公演「太陽のあたる部屋」は会場が満員になるほどの入りだった。まあ長く続けることが重要なのだろう。

何気ない日常的な生活が続いている旧家で、初老の母親が高血圧で急に亡くなる。老父、残された子供たち、孫、その配偶者や恋人、近所の人たちや、謎の人物たちが旧家に集まり、雑談するうちに少しずつ彼らの抱える秘密が明らかになっていく。

hinoataru


映画のように、過去の重大なイベントが、フラッシュバックされるので、その都度、舞台は暗転し、セットの手直しや衣装の着替えに大わらわになるのだが、この複雑な構造の脚本が、全体をわかりやすくしている。意図されたことかどうかわからないが、生きている人間の話している内容に、微妙に過去の出来事が影響を及ぼしていることが感じられる。

登場人物は、すべてどこにでもいるような裕福でも貧乏でもないごく普通の人たちなのだが、親子や夫婦や恋人たちが、それぞれ約束したことや、自分に誓ったことを、長い時間をかけて守り続けるということが主題なのだろうか。(日本国憲法みたいだが、実は日本国憲法は法律的には大日本国憲法を改正する形で施行されている。しかも大日本帝国憲法が改正されたのはこの1回だけなので、よほど日本人は憲法改正に慎重な国民であるといえる)

すべての人が自分たちの気持ちに整理をつけたところで幕は閉じられるのだが、舞台は平成22年の地方都市であることがわざわざ明示されていて、途中から感じていたのだが、翌年一周忌で旧家で再会した家族を大震災が襲い・・・ということになるのは嫌だなあと思っていたが、NHKの朝ドラじゃないのでそんな田舎芝居は打たなかったわけだ。

もっとも映画やドラマじゃないので、舞台ごと揺らすとなると建物自体をぐらぐらさせないといけないだろうから、豊洲市場並みの巨額建築費用が必要なのだろう。