大英博物館展(100のモノが語る)

2015-06-28 00:00:52 | 美術館・博物館・工芸品
The British Museum というのを「大英博物館」と「大」の字を付けて訳すのはなぜだろうと思うのだが、早い話が「大」は英国ではなく博物館の方にかかるのかもしれない。

収蔵品700万点のうち、100点が上野に来日。全体の0.0014%だ。

「選りすぐった100点のモノ」というだけに、さまざまな謎めいたものが多い。日本人の知能指数のテストをしているのだろうか。

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まず、『古代エジプトの棺』。エジプト物は、大英博物館のメインテーマの一つだが、この物体には重大な未解決の謎がある。棺の装飾から、一家の主人だった女性楽士のためのものと判っているのだが、最近のCTスキャンにより、入っているご遺体は男性だそうだ。別人が棺桶に入っているとなると事件である。モノじゃなくブツとなるが、すでに時効の壁により犯人は逮捕できない。あとは各自がステキな想像力をめぐらせて楽しむだけだ。

聴力に欠陥がありながら縦笛の技術でコブラを操ることで人気の女性楽士が、本当は耳が聞こえることをある男に気付かれてしまう。妖艶な美貌で男を夕食に誘い、コブラの一咬みで・・そして自分用に作っていた棺に押し込んでしまい、自分が急死したことにして、以後は独身の男性音楽家として・・(007シリーズの見過ぎかな)。

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次に、『ルイス島のチェス駒』。映画版ハリーポッター第一作に登場。1150年から1200年頃のモノだそうだ。ルイス島は大ブリテン島の北端。ここで発見された。制作はノルウェーとされ、素材はセイウチの骨とクジラの歯。実は、一組の駒じゃなくて4組の不揃いの駒の一部だそうだ。

ノルウェーと言えばヴァイキングだが、英国に大挙して渡ってきた最後が1050年。となると、この駒は何を意味するのだろう。駒に刻まれた僧侶や国王の顔立ちは東洋風だ。わかることは、ノルウェーが当時、捕鯨をしていたことぐらいだ。今でも捕鯨国だし。

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そして、日本国産というのが、『縄文土器(深鉢)』。これはずっと以前から日本でも「謎」とされていたモノ。日本から海外に持ち出したのは、あの幕末のシーボルトの息子のシーボルト。親は日本地図を持ち出し、こどもは国宝クラスを持ち出す。

なざ、この土器が異常かというと、内側が金張りになっていること。つまり、縄文後期(肉厚が薄いことからそう考えられる)からみて、たとえば4000年の後世(室町時代とか江戸時代)に金箔張りの加工をして、お茶の道具とかに使ったらしい。

もっとも不思議なのは、縄文土器に価値を見いだした人物が後世にいたということ。というか、土の中から発掘されたものが、そういう粋人の手に回るという可能性すら信じられない。実物は、大きくはなく器の容積は吉野家の牛丼どんぶり位だが、これが本物であること自体が信じられない。底面積の大きな縄文土器ということもかなりレアである。


今回の100点だが、もっとも価格価値が低いのは、米国大統領選のバッジかUAEのクレジットカードかチェルシー(サッカーチーム)のユニフォームのコピーのいずれかだろうが、価格価値が高い方は、その金額に見当が立たないモノが多いのだが、できれば輸送保険料算定用の概算価格でいいのだが、一点ずつに推定鑑定価格を記載してもらいたかったような気がする。