棋士の油断

2015-06-06 00:00:45 | しょうぎ
友人に誘われて将棋ペンクラブに入ったのだが、「将棋ペン倶楽部」という年二回発行の雑誌が会費の対価の一つとして送られてくる。残念ながら詰将棋のページはないのだが、読み物とか棋士のインタビューとか書かれている。

penclub


遅くなったが「春号」だが、それほど面白かったわけではないが、中原誠永世名人のインタビュー。ただし元々楽天的な性格の方なので、過去の失敗のことなんかほとんど忘れているのだろうから、あまり読んで楽しいことはないのだが、失敗談の一つとして米長氏にタイトルを奪われた時のことが書かれていた。

タイトル戦の最終局で、かなりの勝勢になったところで、手帳を取り出して、披露パーティのスケジュールを考えていたそうだ。もう勝ったつもりだったそうだ。そしてその油断が、勝ち切れないことになり泥沼にはまってタイトルを失ったことがあるそうだ。

典型的な油断なのだろうが、棋士というのは「次の手」を考えるのが習性になっているのだから、勝勢になったらパーティーのことを考えるのは当然のように思うのだが、それは早すぎるのだろう。たぶん、スケジュール表を見て考えているのを相手が見て、怒りがわきあがってきたのだろう。

私の場合、「勝ってから油断すること」というのを自作格言として守っているのだが、考えてはいけないことを考えるのが人間の性(さが)なのだろう。詰将棋を作っていて、ほんのちょっとしたところが難しくて完成しないことというのは誰しもあるわけで、突然、ひらめいたりするのだが、「車の運転中」の場合は、そのヒントみたいな湧き出したアイディアの続きを考えるのはやめている。といって、忘れてしまったら困るので、とりあえず、口に出すことにしている。「歩より前に銀を捨てる」とか「無双88番の収束を参考」とか(こっちはウソだが)。


さて、5月23日出題作の解答。

e12


▲1三銀 △同玉 ▲2二銀 △1二玉 ▲1一銀成 △1三玉 ▲1四歩 △同玉 ▲1五角成 △1三玉 ▲1四歩 △2二玉 ▲3三馬まで13手詰。歩より前に銀を捨て、角が元の場所に戻る。

動く将棋盤は、こちら

今週の問題。

0606m


左下という不思議な場所で展開。右利きの人には、最終手が指しにくいかもしれない。
わかったと思われた方は、コメント欄に最終手と総手数と酷評を記していただければ正誤判断。