Rachmaninoff plays Rachmaninoff

2013-02-06 00:00:25 | 音楽(クラシック音楽他)
タワーレコードで大人げなく、バワーって感じで大人買いした中の一枚。

rachmaninoff


現在、好きな作曲家のベスト1がラフマニノフ(1873‐1943)。その彼が、自分で演奏した原盤からおこしたCDがRCAから出ている。ピアノ協奏曲第2番がストコフスキー指揮で1929年。ピアノ協奏曲第3番がオーマンディ指揮で1940年。いずれもフィラデルフィア管弦楽団とである。

ラフマニノフは生涯で4つのピアノ協奏曲を書いていて、特に2番と3番が有名である。1番と4番も凡作ということはないが、やや感動に薄いところがある。2番と3番は、いつ聞いても新鮮さが失われない。

彼が精神的に不安定な時期に書いたからかもしれないが、イライラした時など睡眠誘導剤的に使うにはピアノ協奏曲は最高である。なにしろ全編がロマンティシズムで組み立てられているように思っていた。

ところが、・・・

ところが、・・・の先の話の前に、このCDの音質は、かなり悪い。1929年録音の方は高音、低音が弱い。(別に大恐慌の影響じゃない。録音は4月で株価大暴落は10月24日だ。)1940年録音の方は音の強弱が不安定である)

2番と3番を色々なピアニストの演奏で聴き比べした人の耳で、音質の劣化を脳内補正して、ラフマニノフの自作の解釈を紐解くべきだろう。

で、2番も3番もそうだが、今まで聴いたことのないラフマニノフである。良いか悪いかは別として、彼が思っていた曲とその後のピアニストの解釈とはかなり違うのではないかと思うわけだ。それは彼が、作曲家であり、指揮者である前に、歴史的ピアニストであるということによるのだろう。何しろ、スコアが少し違うように思える。私の最も好みの演奏であるアシュケナージより複雑な旋律があらわれる。そして硬質的である。一つ一つのキータッチがはっきりしている。たぶん指の動きが機敏なのだろうか。早い話が一人で弾いているとは思えないわけだ。

そして、全体の流れは、まさにチャイコフスキーそのもの。完全なロシア流である。そう、彼はモスクワ音楽院の優等生でチャイコフスキーから絶賛されている。ロシア革命の際、アメリカに渡り、演奏活動で華やかな実績を上げていた。第二次大戦前は米ソは同盟国だった。

しかし、その後、米国はソ連が大嫌いになり、ラフマニノフも専ら作曲家に徹し、演奏会も純ロシア風を避けるようになり、ピアノ協奏曲は恋愛映画のテーマ曲になり、トリプルアクセルが苦手のフィギュアスケーター達の愛用曲となる。


ところで、作曲家が演奏といえば、LPレコードで「バルトーク プレイ バルトーク」を持っている。バルトークは学生の時に大好きだったのだが、彼のピアノの音質もかなり不鮮明なのだが、そういう20世紀前半のレア盤をなんとか現代的な音質まで復元できないものだろうか。それほど難易度が高いとは思えないのだが、自分でできるわけではないので、かなり気長に待つしかないのだろう。