すみだモダン

2013-02-03 00:00:06 | 美術館・博物館・工芸品
3月22日まで日比谷の日新製鋼ギャラリーで開催中の『東京の手技と金属』。副題は-すみだモダン-。手技は「てわざ」と読むそうだ。なんとなく犯罪の匂いがつきまとう語感だが、気のせいか。

すみだモダン、の定義は、

すみだの人のこころが、
すみだのものづくりのこころが、
新しい感性と出会い、
未来へ向けた価値が生まれています。
ちょっとなつかしく、そしてあたらしい。
それが「すみだモダン」。
あなたも感じてください。


ということだそうだ。

でも。。。

地域ブランドである「すみだモダン」が始まった(ブランドアップというはず)のは、つい最近のようだ。

原因は、「スカイツリー」。

すみだモダンの先にスカイツリーがあるならすばらしいが、現実は厳しい。順序が逆だ。

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とはいえ、発掘されたブランド商品の一つが、根岸産業の銅製の如雨露(じょろ:漢字も難しい)。日本で唯一の盆栽用の如雨露メーカー。

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次にステンレス鋏の石宏製作所。ここのメーカーの特徴は医療用の鋏。かなり重要な道具である。たとえば腸の手術とかで切れ味が悪く、切り口がちぎれたホースみたいになったら医者の仕事ははかどらない。たまには体内に鋏を置き去りにする医師だっているのだから、ステンレスの品質だって問題だ。どうも鋏の切れ味は、「反り」と「ひねり」が重要のようで、そういう精巧な技術は、秘密なのだろう。

それと、スカイツリーの開業式のテープカットには、この社の裁ち鋏が使われたそうだ。

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そして、かざり工房しおざわ

神輿や神社仏閣、神仏具の錺金具(かざりかなぐ)を作り続ける。神輿の美しさは金具にあるといってもいい。時代を超越している。


ところで、日新製鋼といえば、ステンレスメーカーである。どういう方がギャラリーを担当しているのか、よくわからないが、なかなかいい仕事をしていると感心している。若手のバリバリ社員ではないと思うのだが、まさか鉄鋼会社に入ってギャラリーの運営を担当するとは思ってなかっただろう。学芸員になってから転職するのがいいのかもしれない。

日本は金属を美的に使うことも長けた国で、青銅器の時代から始まる。あるいみ日本刀だって美術品だし、火縄銃だって芸術になる。金属ではないがスマホだって、テレビだって、機能だけでデザイン入っていないものは売れないし淘汰される。

金属美術鑑定の一流になればいいのではないだろうか。