王様殺人事件・伊藤果・吉村達也著

2010-04-10 00:00:26 | しょうぎ
少しずつ書棚を片づけている。まあ増える量より捨てる量を増やせば片付いていくのだが、その方法では、なかなか仕事が進まない。かといって、大がかりにやれば、埃まみれになる。

一応、ランダム本棚ではあるが、詰将棋の本は一塊りにしているし、別の一塊りにミステリの塊がある。実は、ミステリはまとめて古本で買って積んだままもあり、その中に「王様殺人事件」という一冊があった。たぶん、斎藤栄氏の将棋殺人事件シリーズのようなものと思い込んでいた。「振飛車殺人事件」とか「王将殺人事件」とかあったような。「元棋聖殺人事件」とかもあったかな?なかったかな。



今回、古いミステリー類をバサッと処分したのだが、一応、この本だけは残していて、今回のブログ用に読んでみるか・・と思っていたのだが、・・

危うく、紙資源となりトイレットペーパーと交換するところだった。

実は、ミステリではなく、詰将棋の本だった。早い話が詰将棋の鬼才、伊藤果先生の短編詰将棋を、その変化、本筋にわたる「みどころ」「急所」、「作者の狙い」「創作上のポイント」といったところを吉村先生が解析していた。1996年に第一刷。

まえがきにあるように、普通の市販の詰将棋集は、問題の裏のページに解答が書かれていて(場合によっては、透けて見えたりもする)、手数が長くなるほど、解答手順の記載行数が増え、逆に解説を記載するスペースがなくなるという、逆説が生じる。そのため、ページ数に拘ることなく、一つ一つの作品の見どころを解説しようということ。

まったく同感である。そうなると、本物と偽物の差がはっきりわかるわけだ。

ところが、本エントリに合わせて、数日で読み終わる(解き終わる)はずだったのだが、そこは伊藤果作ということで、まったく間に合わなかった。難しいというか、心理の逆を突かれる。

短編4題を1分で解こうという無茶な挑戦が書かれているのだが、1題1分で解けたのは一問だけで、残り3問は10分以上考えても解けない・・

読み終わってないので、本書の総評を書くわけにはいかない。

しかし、間に合わないといっても、記事の穴埋めに「5月に予定されていた女性棋士の大会が開催できなかった件」とか書いて世間を騒がせることもないだろうとも思えるので、まあ、筆を飛ばすのは控えておく。

全66題の中で、どうしてもマネをして改作してみたいのが一題あるのだが、果先生は、「他人の作品を盤上に並べて、そこから焼き直しをするような行為は同一作を投稿するよりもタチが悪い」とバッサリなので、ちょっとまずいかな。作るだけなら問題ないだろうか。作るだけで糾弾されるのは、ニセ札くらいだろう。


さて、3月27日の出題の解答。



▲3七飛 △2六玉 ▲4六飛(途中図1) △同金 ▲2七歩 △1五玉 ▲1七香 △1六銀 ▲3五飛 △2四玉(途中図2) ▲2五飛 △同銀 ▲4六角 △同馬 ▲2三金まで15手詰。

最後に必要になる質駒を最初の方で作っておくことと、途中の1六銀の限定合を見つけることが主題になる。質駒なんか考えずに、4六角の串刺しで終わりにする、という創り方もある。

動く将棋盤は、こちら


さて、今週の問題。



とても伊藤果作には及びもつかないのだが、一応、見慣れぬ図面を置いてみる。

わかったと、思われた方は、コメント欄に最終手と手数と酷評をいただければ、正誤判断。