絵馬にみるご時世

2010-03-24 00:00:46 | 市民A
神社仏閣に足を運ぶことの楽しみの一つが、絵馬を読むことだ。

ema

なんか盗聴、盗撮の類に近いような気もするが、書かれた絵馬が天下に晒されることは、誰でも知っているのだから犯罪になることはないだろう。教会の神父が懺悔の内容を口走るのとは事が違う。

さて、日本には八百万もの神様がいるといわれる。一神教の方々には思いもつかない発想なのだろうが、それでも日本人が増えすぎて1億3000万人にもなると、一人の神様で16人の国民を担当することになる。たまにきて一枚500円の絵馬を奉納されたって、あがり総額は8000円だ。

さらに、神社は、「スペシャル」と「ゼネラル」に分かれていて、特定の方向のお願いをする神様、例えば受験の神様「天満宮」とか、縁結びの神様「出雲大社」とかの仲間と、どんなお願いでもOKの神社に分かれる。

以前、出雲大社で絵馬を読んだときは、まったくの大笑いだったのだが、先日、大銀杏倒壊見舞いに行った鶴岡八幡宮は、一応武運の神ということになるが、現代日本では、あまり武運の神様に祈ることは少ないので、分類としては「ゼネラル系」に属するのだろう。

となると、絵馬は多岐にわたっていて面白いはずだ。

志望校合格編

神奈川という場所柄、「慶応関係」が多い。

『○○に合格しますように』というのが一般的だが、『志望校に受かりますように』というあいまいなものもある。具体的でないと、頼まれても困るだろう。

けしからないのが、カケモチ主義。出雲大社でもあったが、「弁護士か医者と結婚できますように」というような類だ。「世界中の誰でもいいから結婚できますように」というようなのなら簡単だろうけど。

『2月9日慈恵医学部、2月20日慶応医学部に合格しますように』

絵馬を二枚買ってくだされ。

『きょうの試験受かりますように 鎌倉女学院 ○○』

切羽詰まり。



私生活編
年寄りが三人集まると、話題は、「健康(または病気)」「年金」「老親の介護」になるという話を聞くが、さすがに年金問題は絵馬に登場しない。老親の介護問題も登場しないのは、本当は健康とは異なる方向を望んでいるのだろうか。だから絵馬に書けない。

そして、健康問題や家族の幸せについても、よく書かれるテーマだ。

『家族が健康で・・・』とか『じょうぶな赤ちゃんが・・・』とか『仕事がうまくいきますように』とか、あまり具体的じゃないのが多い。

ただ、よく見ると、ただならぬものも混じっている。



『浮気封じ!』 ?

『いじめられないようになりたい』 ガンバレ!

『トトの願いが届きますように』 ?

『いい人つれて来い。』 神様に命令。



夢編

まあ、本来、私生活や受験というのは、短期的目標なので、あまり神様の得意分野じゃないかもしれない。神頼みの前に自分の努力がほとんどすべてを解決する(あるいは解決できない)。もっと、人生のずっと先にあって、それこそ運命の関係する事項こそ、神頼みにふさわしい。

『鎌倉市民の安全・健康のためにお願いします 鎌倉市長 ○○○』

市政は神頼みだった。自分の当選を祈るべきかも。

『天下統一』 治安維持法違反だ。



しかし、『30年後にノーベル賞を受賞できますように』とか、『アカデミー賞受賞祈願』とか、そういう大きな夢が見当たらないのが、ちょっと残念。

自分で書けって・・