ウディ・アレンの夢と犯罪

2010-03-08 00:00:34 | 映画・演劇・Video
yumetohanzai3月20日から公開される「ウディ・アレンの夢と犯罪」を先行試写会で鑑賞。

まず、この題名(邦題)は、いただけない。「夢と犯罪」ではなく、「ウディ・アレンの夢と犯罪」である。くどい。

原題は「カサンドラズ・ドリーム」。この映画の冒頭と結末に登城する小型ボートの船名である。この船を手に入れる為に元手を投資したドッグレースの勝犬の名前を船名にしたのだが、教養のあり余っている方ならご存知と思われるが、「カサンドラ」はギリシア神話に登場する王女である。悲劇の預言者として有名だ。

このような暗喩的な表現が、映画のあちこちに登場する。英語民ではない私でも気付くことが多いのだから、英語原住民は、ウディ・アレンのブラックジョークをもっと楽しめるのだろうか(というか英語力の問題じゃないかもしれない)。

公式HPは既に存在するのだが、それを読まれると、かなりのネタバレなので、『映画』と『相撲』の充実さだけは他のポータルサイトを寄せ付けないgooから引用すると、次のようになる。


ウディ・アレン監督が『マッチポイント』『タロットカード殺人事件』に続くロンドン3部作の締め括りとして撮りあげた人間ドラマ。野望や冒険心を胸に秘めた男女が華麗なる上流階級の世界に足を踏み入れていった前2作とは異なり、今回の舞台は労働階級の人々が暮らすロンドン南部の街。新天地である異国の文化、風俗、風景を好奇心いっぱいに探検しながら、ニューヨーク時代から変わらぬ人生哲学を下敷きにした軽妙なドラマを紡ぐアレン節はますます快調に冴え渡る。そして、対照的な性格の兄弟を、ユアン・マクレガーとコリン・ファレルが演じる。(作品資料より)



三部作の最後ということは、英国から帰国して、また米国で映画を作るのだろうか。さんざんハリウッドをこきおろしているので、心配だ。

yumeto2そして、作品の方だが、やはり筋立てがすばらしい。途中の1/3のあたりで、予想も付かない方向に走り出す。すべての始まりは、雨宿りの木の下で始まる。実際は、「終わりの始まり」だったわけだ。これ以上触れると、露出度過剰になるのでやめる。



全体に感じたことだが、「ドストエフスキー」のパロディじゃないだろうかと・・


そして、主役たちが思い巡らせていた将来の夢が、「カリフォルニアのホテルオーナー」というのは、謎めいたイーグルズの名曲の歌詞の最後の部分と関係があるのだろうか。

”Relax said the nightman.
We are programed to receive.
You can check out any time you like.
But you can never leave.”


映画の後、思いついた格言
 
 「弱気人間とは仕事を組むな」
 「過去は忘れて、前向き人生」
 「懺悔人間に、『時効延長』無用」
 「夜道の公園は危険だらけ」


ところで、映画とは離れるが(離れていないのかもしれないが)、この「カサンドラズ・ドリーム号」は、機帆船である。機動(エンジン)でもあり帆船でもある。エコシップである。維持費が安そうなので、私も欲しくなった。瀬戸内海で海上タクシーでも始めるといいかもしれない。

広い意味で言えば、ペリー提督の黒船4隻も蒸気船でもあり帆船だった、とされるのだが、実際には4隻のうち2隻だけが蒸気船であり、残りの2隻は単に帆船。蒸気船に見せかけるために、帆を立てずに海中に沈めたロープで蒸気船と連結していた。よく見れば、2隻の距離がいつも同じなのだから見破れそうなものだが、子供だましに引っかかった。


実際に購入資金をドッグレースで稼ぐ前に、自家用船の船名を考えてみた。「沈まぬ太陽」の会社でも沈む時代だから、よほど沈みそうもない単語が必要だ。

「陸山丸」とか、・・

やはり、購入とりやめだ。