将棋界で最も長い日(付録:短い日の人)

2010-03-06 00:00:28 | しょうぎ
3月2日、順位戦A級リーグ戦最終第9局が行われる。1年間のまとめ。羽生名人への挑戦者1名とB級への降級者が決まる。NHKは衛星第二で1日三回にわけて実況中継。午前、午後、深夜11時からである。

午後の部を録画し、夜に早送りしてチェックしたあと、深夜観戦に突入した。

miuragoda1結果は、三浦八段が郷田九段を破り7勝2敗として、A級在位9年にして、名人挑戦権を得る。その他、挑戦者になる可能性を残した戦いが二局。谷川×高橋戦と丸山×佐藤戦。

まず、谷川×高橋戦。両者5勝3敗なので、勝って6勝にして、三浦八段の負けを待ってプレーオフのチャンスありだった。しかし、対局場に現れた高橋九段の服装がちょっと変だ。紺ブレザーに白の綿パンのように見えた。スーツでなくていいのだろうか。バンクーバー五輪エピソード1の、国母選手みたいだ。その心、不明だ。

かつて、大内九段が名人位を掌からこぼしてしまったのと同様、高橋九段も最終局を優勢に進めながらも自滅したことがある。燃えないわけはない。とはいえ、服装との因果関係は不明だ。

tanitaka1そして、局面は、受けの高橋が攻め、攻めの谷川が守るということになる。(木村×井上戦も攻守逆転指しだ)。どこがどう狂っていたのかわからないが、リーグ戦の途中まで大本命だった谷川が負ける。5勝4敗となったのだが、これで10人中6位となった。勝っていれば2位だった。何か、この1敗が、来年の大不幸の原因になるような予感がする。

そして、問題の三浦×郷田戦。郷田九段は、先日の竜王戦で寝過ごして不戦敗という大失態を演じている。もし、きょうも寝過ごしたら・・・かなりヤバイだろう。

しかし、テレビでみる郷田九段の顔色は、やや眠そうなのである。寝過ごさないために、前夜、眠っていないのだろうか。それも危険だ。

わたしの推定だが、きょうの対局に備えて、昨年の「一番長い日」のビデオを見て、挑戦者決定の瞬間を確認していたのではないだろうか。昨年の主役は自分だった。

戦いは、急に三浦八段が開戦した。切れそうで切れない攻めを繋げるも、反撃が始まる。最後は三浦八段が必死をかけたところで、郷田九段の王手ラッシュが来たが、詰まなかった(詰んでいたことが後でわかると、味が悪い)。

ところで、三浦八段だが、この八段という段位が珍しい。将棋界は、プロになると四段で、このA級リーグに這い上がると八段になって、運がいいと名人になったりする。とりあえずの新人棋士の目標として、「まず八段になりたい」ということになっている。

が、実は八段棋士は14人しかいない。九段位をバラマイタため、現役九段は24人いる。また七段は44名、六段が31人。五段が21人、四段は20人だ。つまり八段は最低人数なのだ。

三浦八段の9年間のA級成績だが、通算すると、40勝41敗。可もなく不可もない。最も降級の危機に近づいたのが、9年前の最初のA級リーグの時だ。第10位と一番下からのスタート。

実は開幕後3連敗。迎えた第四局は羽生。何と、貴重な1勝を得る。しかし、そこから3連敗。順位10位で1勝6敗では、ギブアップするところだが、最後の2局に連勝して3勝6敗とする。それでも大抵の年ではダメなのだが、幸運?があった。

2勝7敗が二人いた。先崎八段と加藤一二三九段。先崎八段は、まあA級の席料が高すぎたということだろうが、元名人加藤一二三九段の場合は、加齢との戦いということだったのだろう。たまたま、その時に降級したわけだが、その前年だったかもしれないし、その後の年だったのかもしれない。たまたま、その年に降級したため、三浦八段が生き残った(もちろん羽生戦の勝利は大きい)。

今回の名人戦だが、三浦八段と言えば「羽生七冠王を崩した男」である。もっともその時は棋聖戦5番勝負だった。七番あればたぶん負けたのだろう。

ところで、羽生さんだが、色々なタイトル戦で苦労中である。仮に全タイトルを失ったときにはなんと呼ばれるのだろう。『九段』とは呼ばないような気がする。本人が『引退』するであろう。しかし、タイトル戦で負けなくとも、スポンサーの新聞社が破綻してタイトル消滅ということは十分起こりうるかもしれない。

「タイトル戦対局料未払金債権については、債務者である破産新聞社の資産があまりにも小額であるため、『タイトル料は1万円、対局料は1局100円と認定いたします』。これにて破産処理は、一件落着!!」とか・・


ところで、「一番長い日」の裏側では「一番短い日」が行われていた。

まもなく引退する有吉九段である。竜王戦の対局で、開始後わずか17手で反則負け。16手目を自分で指した後、相手がトイレに立った隙に、17手目も指してしまう。つまり連続2手指しとなる。

どうも竜王戦、色々なことが起きる。


さて、2月20日出題作の解答。



▲2八金 △同銀成 ▲1七金 △同玉 ▲3五角 △2六桂 ▲1四飛まで7手詰。

初手▲1七金も魅力的だが、ちょっと届かない。さらに、本題の本当の作意は5手目以降。▲3五角ではなく▲5三角と気を利かすと△4四歩で参る。

さらに、▲3五角に△2六に合駒を打つと、1四の桂を取られて駒余りとなる。6手目の後手の桂逃げがテーマという、あまりにも情けない問題なのである。

あえて弁解すると、ある棋士から、「詰将棋の解答は、初手と最終手と手数だけを記せば、正解と判断できるのだろうか」と問い合わせがあり、その「反例」を作ってみせた、ということなのである。

動く将棋盤は、こちら

本日の問題。



あれこれいじっているうちに、何が主題なのか、わからなくなってしまった。かえって解きにくくなってしまったかもしれない。

わかった、と思われた方は、コメント欄に最終手と手数と酷評を記していただければ、正誤判断。