建築家、村野藤吾氏の遺作

2008-09-28 00:00:48 | 投資
建築のことを調べていたわけじゃなく、直近の米国の金融政策について「日本のプレイバックだなあ」と思っていたところから始まる。

まず、証券5位ベアスターンズの危機と4位リーマンの破綻というところは、三洋証券と山一の破綻、廃業とそっくりである。AIGは破綻しなかったが、日本の生保は随分つぶれた。協栄、日産、そして千代田生命。銀行は拓銀が破綻したが、米国でも地銀はたくさん破綻。ファニーとフレディに似ているのは住専とか長銀とか。そう思えば、日本の方がやや、手厳しい結果になったのかもしれない。

日本の場合、公的資金投入の次に、銀行の整理統廃合を行いさらに融資まで行っている。小技としては株価のPKOなんていうのもあった。

米国政府による(軍事費より大きい)75兆円投入というプランは議会で民主党によって、国有化金融機関の経営者の所得制限とかアレコレいちゃもんが出ているが、これも日本と同じ。当然、そういうことになって日本と同じようになるだろう。与党のマケインは、今でも税金投入反対とか言っているが、これで彼の支持率はどんどん下がっていくと思われる。米国版KYだ。元々、オバマ以上に政策のない人物らしいので、この結果、当初予定通り民主党政権になるのだろうか。「逃げ切れそうだ」と、もっとも喜んでいるのは、共和党副大統領候補の娘のお腹を大きくさせた男子高校生だろう。結婚式の予定日は12月だったような気がするが、それは投票日の後である。

ということで、75兆円では、まだ米国のプランは終わったわけじゃなく、次に銀行危機が始まり、そこに公的融資が必要になり、とても米国だけじゃドルが足りないので、日本、中国、サウジなどが保有しているドル(この多くは米国国債)を何らかの方法で銀行に融資(あくまでも融資)するような話に展開していくのではないだろうか。

この件については、テレビ東京モーニングサテライトでやや悲観的な予想をしゃべっている、ホリコ・キャピタル・マネジメントLLCの最高運用責任者である堀古英司氏の最新のホームページ「米財務・金融当局が『麻薬』に手を出した理由」でも、次のように書かれている。

一度は流れたAIG救済に関する会合は火曜日突然再開されました。SECが空売り規制を発表したのは平日の夜中です。しかも、いずれも市場資本主義を掲げるアメリカにとって中長期的には致命傷となる可能性のある「モラルハザード」と「空売り規制」です。普通に考えれば、それを犠牲にしてまで実施しなければならない、我々には知らされていない、何かとんでもない大きな危機が潜んでいたという事ではないでしょうか。実際18日は、これまで優良と考えられていた某大手金融機関が流動性危機に陥ったと聞いています。空売り規制が期限を迎えると見られる10月半ば以降に正念場が訪れる可能性が高まっているように見えます。

堀古さんのレポートは、例えば2005年4月11日、「『終わり』が始まった住宅ブーム」では不動産会社経営者が所有している自社株を売り始めた事実をつかんでいたり、2006年1月6日「原油価格100ドル?」を大当たりさせたり、率の高い預言である。


ということで、次の大型危機を考えて思い出すのは、少し前に、名前が登場していて、現在は海面下を無酸素状態で潜水中と思われるC銀行とかへの酸素の補充とか必要になるのだろうか。スイス系U銀行の方は、産油国の国王のお仕事なのだろう。


ところで、これでは、建築家、村野藤吾の話は一向に始まらない。

実は、日本の金融破綻の歴史を見ていて、まず気がついたのが、千代田生命。2000年秋に破綻。負債額は約3兆円だったのだが、これを引き継いだのが、なんと「AIG」。日本法人はAIGスター生命である。さらに、目黒にあった千代田生命本社ビルは目黒区役所に売却されている。そして、この元千代田生命本社ビルの設計者が、丹下健三と並ぶ大御所である村野藤吾(1891-1984)なのである。

そして、彼の手掛けた数々の建築物のリストがwikipediaに紹介されているが、結構、数奇な運命のものが多いのだ。

 そごう百貨店大阪本店(1935-2003年)
 読売会館(1957- )旧そごう有楽町 現ビックカメラ
 新歌舞伎座・大阪(1958- )まもなく解体
 早稲田大学文学部(1962- )まもなく解体
 千代田生命本社 (1966- )目黒区役所
 日本興業銀行本店(1974- )みずほコーポレート銀行に 
 都ホテル(名古屋・東京・大阪)ウェスティンやシェラトンへ身売り
 横浜プリンスホテル(1990-2006) 解体

もちろん、今のところ健全な家主もある。大きなところでは、

 横浜市庁舎、甲南女子大学、丸栄百貨店、そして日本生命日比谷ビル(日生劇場)といったところだ。