これは2002年の画像で、1リッターで100km走行することを目標に開発されたプロトタイプがお披露目されたのは、VW本社工場からハンブルグの株主総会会場までの約230km。VW取締役会会長のドクター・フェルディナント・ピエヒ氏(確かこのタイミングで引退)。使用した燃料は、たったの2.1リッター。つまり、109km/Lの燃費。
タンデムマウントシートのボデイはcd値が0.159で、0.3リッター単気筒DOHCディーゼル(8.5ps/4000rpm、1.9kgm/2000rpm)の非力なパワーでも最高速度は120km/h。
このプロトタイプが市販化されるニュースが1週間ほど前に配信されたが、背景は勿論このところの急激な原油高。
同じころのニュースでは、大阪府が社会実験として府内で顕在化している空き農地の有効活用策で遊休農地で菜の花を栽培して、種子を収穫し菜種油を精製し、BDF原料にする事業を見直し、まず食料として利用した後の廃食油をBDFに再利用することにしたという。
これは、食料にできるものを自動車燃料に転用する問題と、原油と一緒に高騰している価格を考えれば、妥当で素早い処置だと思う。
まあ、各地の自治体や事業所では廃食油の再利用が始まっているから、当然といえば当然か。
ディーゼルエンジンの燃料は一般的に軽油が用いられるが、ガソリンの代替としてのバイオエタノールが醸造・蒸留の工程が必要なのに比べ、バイオディーゼル燃料は簡単なエステル交換という手作りも可能な作業。参照はコチラ
確か、2年位前に自宅を火事にしてしまった方も居たようだが、精製したばかりの植物油と廃食油のBDF製造工程に大きな違いはないので、チャレンジしてみても良いのではないか。
日本国内の自動車用軽油が約4000万KL使われているのに比べ、食用油の使用量が250万トンで、今まで捨てられていたのが約50万トンというから、全部が利用されたとしても微々たる量ではあるとは言え、捨てられていたものが有効利用されるのは良いことではないか。
VWのプロトタイプに話を戻すと、低燃費を実現するために軽量化がされている。そのためには高価な材料が使われているので、車両価格も高価になってしまう。
100km/L以上の燃費がどういった条件で達成されたのかは不明だが、最高速度は空気抵抗の少なさがモノをいうけれど、加速性能はソウはいかないので、実用的な性能を求めればやはりハイブリッドによる補助が必要になるに違いない。
何といっても、8,5馬力は125ccのスクーター並みだから。
視点を変えれば、バイクが圧倒的に有利なのは間違いない。元々車体サイズが小さくシンプルで軽いので、何も特別なことをしなくても、イニシャルだけでなくランニングコストも安い。
惜しいのは現在の区分で、法定速度が30km/hの原付バイクは改正した道路交通法により、日本の狭い道路を自転車ともシェアしなくてはならなくなり、”路上の敵”が増えてしまったことである。
排ガス規制により、50ccのエンジンは走行性能だけでなく燃費も悪くなってしまい、より状況を悪化させる危惧もあるが、排気量での区分を現実的なものに変える議論はアチコチで見かけるようになった。
食糧を必死で増産しなければならなくなり、
『遊休農地』なんて無くなるかもしれません。
砂漠を流れる川のように、
揚げ物は贅沢品で、たまに残った揚げ油は、炒め物用に全て使われて、
廃食油なんか出ないという未来図も否定できないと思います。