ピストンエンジンは永遠か!な?

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SUキャブの調整

2005年12月11日 | 吸気系
SUキャブを重箱の隅を突っつくように考察しましたが、「組み立て」を飛ばして調整にいってみようと思います。
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”教材”はいささかくたびれたショベルのローライダーです。
点火は純正、マフラーは13/4のドラッグパイプ バッフル入りです。
条件はいささか悪いのですが・・・・・。
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ワタシが15年も使い続けているホリバのCOアナライザー、日本語で言うと一酸化炭素分析器ですな。
当時27万円もしましたが、15年も使えば元は取ったかな?
HCも一緒のヤツのほうがいいのだけれど、値段は倍もするので・・・・。
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排気ガスを採取するプローブはこんなに長い。
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ユーザー車検に行った方はわかるでしょうけど、60cmは挿入しないとダメです。
何故かというと、特に低い回転だと排気ガスは脈動というか断続的なので、外気が排ガスに混じってしまい低い数字を表示してしまいます。車検の時は低い数字のほうが良いかもしれませんが、調整のときにはイケません。
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アイドリング付近のミクスチャー調整はメーカーが「バイメタリック スクリュー」と呼ぶ赤矢印のスクリューを回して行います。
前に説明したように、メインジェットを上下に動かすモノですから、右に締めこむとメインジェットは下に動き、ガソリンの供給量は増え濃い混合気になります。
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当たり前の話ですが、キャブの調整は完全に暖気した状態で行います。
エンジンを触って熱いからといってキャブの調整を始めるのはマチガイの元で、油圧がこんなに上がっているのでは暖気運転はまだまだですね。油圧が高いというのはオイルがまだ硬いので、「エンジンの運転常温」のときよりオイルポンプや各部に大きい抵抗があるはずです。
また、人間が触ってあついと感じるには人により差がありますし、80度くらいからもう熱いと感じてしまいます。

エンジンには元々冷却損失というものが30%くらいありますが、温まりきっていないシリンダーやヘッドは燃焼温度を吸収してしまうので、その状態でキャブをいじっても意味がありません。

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今日作業を行ったのは気温が8℃という環境ですが、ティクラポンプを5回押してチョークを作動させると簡単に始動しました。
チョークが効いたまま1分間エンジンを回していると、ファーストアイドルが効いて回転数は2000rpm前後ですが、排気ガスの濃度は写真の通り5.6%です。この状態ではガスは写真に写らない程度に黒くみえます。
このままではプラグは黒くカブッてしまいすので、チョークを解除してアイドリングスピードスクリューを回し、エンジンが止まらないように1500rpm前後に高くします。

*エンジンの暖気でプラグをカブらせてしまうケースも多いと見受けられるので、黒煙がでてきたらチョークは解除することをオススメします。
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完全に暖気運転をしてから調整して、ワタシはこのように2%を切るくらいにしておきます。

*この車両ではスクリューの1/4回転でCO値は約1%変化しました。
つまり、調整範囲はベストプラスマイナス1/8回転と言えます。
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ところがアイドリングスピードを下げると、このようにCO濃度は上がってしまうのですね。

ワタシも3拍子はキライではありません。聞いていると何時までも飽きが来ないあのリズムはなんとも言えません。
ところが、3拍子セッテイングは極端にスロットルバルブが開いていない状態なので、空燃比が不安定で、もちろん油圧も足りない状態なので長時間3拍子を続けるのはイケません。
そして、3拍子を続けるために「薄すぎる状態」に陥る危険性もあります。
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同じ調整値で、2000rpmまで空ぶかししてみると、こんなに低いCO値になります。
もちろん負荷が掛かっていないので走行状態とは違いますが、空燃比の一般的なアイドリング12:1、定速走行15:1~17:1という数字もうなずけるでしょう。
このアナライザーはリアルタイムに表示されるわけではなく、何秒かのタイムラグがありますが、勢い良くアクセルを吹かすと一瞬大きい数字を表示するので、SUキャブの”加速ポンプ”の存在を裏付けますね。
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NGK BPR5EYですが、アイドリングCO2%ではこんな感じです。
少々黒いのですが、試運転して5kmも走ればもっと焼けていい色になるはずです。
もちろんこの段階でOKというわけではなく、試運転をして最終チェックを怠りません。

キャブレターはいよいよ全面的に電子制御燃料噴射に席を譲る気配ですが、始動時、アイドリング、低速、加速、定速、高速と様々な運転条件で適切な空燃比の混合気をエンジンに供給する役目を、電子的な制御もなく物理的な動きだけでこなしてしまう、ある意味オドロキの装置です。まさにアナログだと思います。
その尊敬?すべきキャブレターも、不当な扱い方をされたり、エンジン本体の不調の原因に押し付けられたりしていますが、運転の仕方など不調の原因は思わぬところにあったりもします。

一般ユーザーの方々は自由にCOアナライザーを使えないのは重々承知の上です。
しかし、掲示板などではキャブレターの不調に悩む方が後を絶ちません。ユーザー自身がハーレーを弄って楽しむのも大切ですが、いつまでも悩むより腕のたつメカニックに1度見てもらうことをオススメします。

COアナライザーは便利ですが、スベテではありません。排ガスはエンジンの仕様、コンプレッションなどの状態、マフラーなどによっても変化してきます。マフラーの影響は大きく、音が大きいからといって抜けがいいとも限らず、抜けが悪いと燃焼室内の残留ガスが多いので、ちょっと濃すぎるとプラグはすぐかぶってしまいます。
ハーレー用のリプレイス大口径キャブは今回説明させていただいたように、少しの調整回転角で結果は大きく変化します。そして中速まで大きく影響してしまいますのでアイドリング付近の調整がかなり重要です。

セッテイングの考察はまた後で・・・・。



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2 コメント

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プラグを見る限りでは、ショベルは数値的にも (ジャイアン)
2005-12-11 22:20:45
プラグを見る限りでは、ショベルは数値的にも
濃い目が良いみたいですね。
多分エボだとこの時点で磁器部先端はもう白くなり始めてるでしょうから。
左が後ろですか?。
オイラもでかい方はグリーンプラグを使ってます。

マフラーの影響は身をもって知りました(笑。
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>左が後ろですか?。 (近藤)
2005-12-12 13:36:53
>左が後ろですか?。
その通りで、やはり後ろが濃くなります。
経験上ほとんどのハーレーがそうなりますが、理由が解明してないというか、考察途中なので本文中では触れませんでした(笑)。
エボとショベルの最大の違いは燃焼室の形状なので、バリバリのヘミは希薄燃焼ができませんからどうしても濃い混合気が必要になります。
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