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コンロッドの焼き付き(続き)
ベアリングメタルの焼き付きは必ず悲惨な結果を迎えてしまいますが、2サイクルのエンジンではローラーベアリング(ニードルベアリング)を使っているので金属粉さえ噛み込まなければ大丈夫かも、と前に書きました。
ハーレーのクランクもニードルとローラーのベアリングです。ところが、焼き付きに近い症状があったのです。
1990年代後期のある年式のビッグツインではコンロッドのビッグエンドの動きが硬くなってしまい、最後には動かなくなってしまったようです。
でも幸いにクランクケースを突き破るほどではなく、エンジンが温まってくると重くなってしまい、オーバーヒートする感じでしょうね。でもこの場合は、きちんとしたクリアランスのクランクピンとベアリングに交換しないと直りません。
もし、中古車を買われるようでしたら試乗は長めにしたほうが良いでしょうね。
日本の気候だと真夏の40℃気温ではアスファルトの路面温度が50℃以上になりますが、ごく最近の新車は分かりませんけれど、空冷のハーレーでも調子がそれほど悪くなければ、古くても新しくても、渋滞でライダーがバイクと我慢比べしない限り、それほどオーバーヒートしないと思います。
しかし、どこかが「炎症」を起こしているとそこでオイルが過熱してしまい、オイルの匂いをかいでみると「ツン」ときつい匂いがします。音も何か違うはずですね。
排気ガスの匂いをあまり嗅ぐと健康被害を気にしなくてはなりませんが、オイルが燃えていても匂いで分かりますし、アクセルを煽ってエンジンのツキを耳だけでなく全身で感じようとすると、何かが見えてきます。熟練のメカニックは五感プラスで異常を嗅ぎつけます。それらはマニュアルには載っていません。
それらをデータベースとして記録と記憶に残して分析すれば怖いもの無しなんですが、最近は目に見えない電子とも戦わないとね~。
もしバルブが焼き付くと・・・・・。
運が良ければ、バルブがヘッドに密着した時に焼き付いてくれれば、大事にならずにその気筒が仕事をしなくなるだけで済むかもしれません。
しかし、バルブを戻す力はスプリングですから、カムの押す力には敵いません。ハーレーの場合でしたらプッシュロッドが曲がらない限り、多少の焼き付きだったら押してしまうでしょうね。そうして、スプリングがバルブを押し戻せなくなり、そこにピストンがやって来ると、バルブは鉄で出来ていますが細いステムに支えられているだけなので、ピストンに押されて一番弱いところが曲がってしまいます。そうなってしまいますともう逃げ場がなくなって、バルブの傘の部分はステムからもぎ取られて、ベーゴマ(今はベイブレード?)が出来てしまいます。
あとは想像にまかせます。
オーバーレブでのバルブクラッシュと同じことが起きます。オーバーレブでのバルブクラッシュは当然回転数が高いので、壊滅的被害になるのは間違いありません。
エンジン内部の部品でコンロッドと並んで厳しい条件下で仕事をしているのはバルブです。動くスピードはコンロッドの3分の一程度ですが、ロッカーアームを使った駆動では真っ直ぐでなく妙な方向に押されています(ローラーロッカーはその点良いですね)。特に排気バルブは高温に晒されているので、ショベルの場合ですと、バルブステムは径が約9.5mmで当然鉄にも拘らず(膨張係数が小さくても)バルブガイドとのクリアランスは0.1mmもあります。10倍近く大きいアルミのピストンとシリンダーのクリアランスは0.05mmですから非常に大きいと言えますね。
バルブが燃焼ガスにより加熱されますが、その熱は閉じたときにバルブシートを介してヘッドに移動するか、ステムからバルブガイドを伝わってヘッドに移動するしかありません。ステムは細いので熱が伝わりづらいので、F1とかゼロ戦の排気バルブはステムが中空になっていて、そのなかにナトリウムを封入し熱ハケを良くしようとしています。
ハーレーのバルブガイドには‘79年までステムシールが付いていなかったのも、オイルが燃えるよりバルブが焼きつくのを嫌だったのかもしれません。
③の項で、バルボリンの由来はバルブをよく潤滑したからと書きましたが、発展途上のエンジンは段々と高回転するようになって、あちこちが焼き付くようになったのでしょうけれど、オイルの研究がそれを解決して現在があるとも言えます。もっとも、発展途上初期のエンジンでは圧縮比が小さいので、ピストンが上死点に行ってもバルブとの間隔が広く、焼き付いたとしてもバルブクラッシュはあまりなかったのでしょう。
逆に、バルブとピストンの間隔を確保するために燃焼室を小さく出来ないで、圧縮比を高く出来なかったり、ショートストロークに出来なかったのかもしれません。
ヘミヘッドの由来はまだ解明できていませんが、ヘミヘッドの構成の特徴であるV型のバルブ配置も、冷却のためにバルブガイドを離して置きたいが為の苦肉の策かもしれません。

これはパンヘッドです。カバーの中に冷却フィンがある変なエンジンです(パンのオーナーさんがいたら失礼です)
排気側のバルブガイドです。

こちらは吸気側ガイドです。 上端部がテーパー状になっているのが分かりますか?
吸気側は吸入負圧の影響でオイルが下がりやすいのですが、こうするとオイル溜りがありませんので、オイル下がりを多少防ぐことができます。レーシングチューンで、ステムシールのスペースがないときなどは、こうすることもあります。
コンロッドの焼き付き(続き)
ベアリングメタルの焼き付きは必ず悲惨な結果を迎えてしまいますが、2サイクルのエンジンではローラーベアリング(ニードルベアリング)を使っているので金属粉さえ噛み込まなければ大丈夫かも、と前に書きました。
ハーレーのクランクもニードルとローラーのベアリングです。ところが、焼き付きに近い症状があったのです。
1990年代後期のある年式のビッグツインではコンロッドのビッグエンドの動きが硬くなってしまい、最後には動かなくなってしまったようです。
でも幸いにクランクケースを突き破るほどではなく、エンジンが温まってくると重くなってしまい、オーバーヒートする感じでしょうね。でもこの場合は、きちんとしたクリアランスのクランクピンとベアリングに交換しないと直りません。
もし、中古車を買われるようでしたら試乗は長めにしたほうが良いでしょうね。
日本の気候だと真夏の40℃気温ではアスファルトの路面温度が50℃以上になりますが、ごく最近の新車は分かりませんけれど、空冷のハーレーでも調子がそれほど悪くなければ、古くても新しくても、渋滞でライダーがバイクと我慢比べしない限り、それほどオーバーヒートしないと思います。
しかし、どこかが「炎症」を起こしているとそこでオイルが過熱してしまい、オイルの匂いをかいでみると「ツン」ときつい匂いがします。音も何か違うはずですね。
排気ガスの匂いをあまり嗅ぐと健康被害を気にしなくてはなりませんが、オイルが燃えていても匂いで分かりますし、アクセルを煽ってエンジンのツキを耳だけでなく全身で感じようとすると、何かが見えてきます。熟練のメカニックは五感プラスで異常を嗅ぎつけます。それらはマニュアルには載っていません。
それらをデータベースとして記録と記憶に残して分析すれば怖いもの無しなんですが、最近は目に見えない電子とも戦わないとね~。
もしバルブが焼き付くと・・・・・。
運が良ければ、バルブがヘッドに密着した時に焼き付いてくれれば、大事にならずにその気筒が仕事をしなくなるだけで済むかもしれません。
しかし、バルブを戻す力はスプリングですから、カムの押す力には敵いません。ハーレーの場合でしたらプッシュロッドが曲がらない限り、多少の焼き付きだったら押してしまうでしょうね。そうして、スプリングがバルブを押し戻せなくなり、そこにピストンがやって来ると、バルブは鉄で出来ていますが細いステムに支えられているだけなので、ピストンに押されて一番弱いところが曲がってしまいます。そうなってしまいますともう逃げ場がなくなって、バルブの傘の部分はステムからもぎ取られて、ベーゴマ(今はベイブレード?)が出来てしまいます。
あとは想像にまかせます。
オーバーレブでのバルブクラッシュと同じことが起きます。オーバーレブでのバルブクラッシュは当然回転数が高いので、壊滅的被害になるのは間違いありません。
エンジン内部の部品でコンロッドと並んで厳しい条件下で仕事をしているのはバルブです。動くスピードはコンロッドの3分の一程度ですが、ロッカーアームを使った駆動では真っ直ぐでなく妙な方向に押されています(ローラーロッカーはその点良いですね)。特に排気バルブは高温に晒されているので、ショベルの場合ですと、バルブステムは径が約9.5mmで当然鉄にも拘らず(膨張係数が小さくても)バルブガイドとのクリアランスは0.1mmもあります。10倍近く大きいアルミのピストンとシリンダーのクリアランスは0.05mmですから非常に大きいと言えますね。
バルブが燃焼ガスにより加熱されますが、その熱は閉じたときにバルブシートを介してヘッドに移動するか、ステムからバルブガイドを伝わってヘッドに移動するしかありません。ステムは細いので熱が伝わりづらいので、F1とかゼロ戦の排気バルブはステムが中空になっていて、そのなかにナトリウムを封入し熱ハケを良くしようとしています。
ハーレーのバルブガイドには‘79年までステムシールが付いていなかったのも、オイルが燃えるよりバルブが焼きつくのを嫌だったのかもしれません。
③の項で、バルボリンの由来はバルブをよく潤滑したからと書きましたが、発展途上のエンジンは段々と高回転するようになって、あちこちが焼き付くようになったのでしょうけれど、オイルの研究がそれを解決して現在があるとも言えます。もっとも、発展途上初期のエンジンでは圧縮比が小さいので、ピストンが上死点に行ってもバルブとの間隔が広く、焼き付いたとしてもバルブクラッシュはあまりなかったのでしょう。
逆に、バルブとピストンの間隔を確保するために燃焼室を小さく出来ないで、圧縮比を高く出来なかったり、ショートストロークに出来なかったのかもしれません。
ヘミヘッドの由来はまだ解明できていませんが、ヘミヘッドの構成の特徴であるV型のバルブ配置も、冷却のためにバルブガイドを離して置きたいが為の苦肉の策かもしれません。

これはパンヘッドです。カバーの中に冷却フィンがある変なエンジンです(パンのオーナーさんがいたら失礼です)

排気側のバルブガイドです。

こちらは吸気側ガイドです。 上端部がテーパー状になっているのが分かりますか?
吸気側は吸入負圧の影響でオイルが下がりやすいのですが、こうするとオイル溜りがありませんので、オイル下がりを多少防ぐことができます。レーシングチューンで、ステムシールのスペースがないときなどは、こうすることもあります。
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