ピストンエンジンは永遠か!な?

バイクを中心に話題を紹介します

目的と手段

2005年09月21日 | consideration
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「エンジンの焼き付き」でドラッグレースの話題が出たので、そこからネタをひとつ。
目的と手段は、しばしば取り違えてしまいがちで、ドラッグレースという一見単純そうな競技も奥が深いものがありました。
バイクにとって1000ccという行程容積(排気量)は大容量です。それを1250cc(ドラッグレースのプロストッククラスの上限)にドラッグレースチューニングすると260馬力くらい(15年前の話)になり400mを7秒で走りきり、ゴールの到達スピードは260km/hにも達します。
アメリカ人はカワサキならZ1、スズキならカタナ1100のエンジンを主に使っていましたね。そう、15年前だってもう水冷エンジンの全盛期で空冷のビッグバイクはカタログ落ちしていました(その後にまた復活しましたが)。その古いエンジンを「今さら何で?」と皆思っていたんでしょうね。
日本で本格的なバイクのドラッグレースがその頃から始まったのですが、日本人のほとんどはシロウトで今から思うと笑っちゃうほどいろんなアプローチがなされました。ワタシもトーナメントが始まる前年にNinja900でエントリーして、日没中止になってしまいましたが、決勝(確か?)まで残ったのに気を良くして、水冷エンジンをチューニングして翌年にはフルエントリーする「やる気マンマン」でいたのですが、エンジンを爆発?させてしまいました。
その後ワタシ達のチームは、アメリカ人の中古マシーンを買って、1回も優勝せずに、ほとんど2位でしたがシリーズチャンピオンを取ってしまいました。
前置きはこれくらいにして本題ですが、日本人の意地を賭けて、日本製のエンジンは日本人の手で、世界一早いドラッグレーサーを作るビッグプロジェクトを始めた方がいらっしゃいまして、豪華なマシーンでしたよ。
クロームメッキのフレーム、TM50スペシャルキャブレター、削りだしシリンダーなどなど素晴らしかったですよ。
ワタシ達の中古レーサーは2万ドルくらいでしたから、その5倍は掛かっていたでしょうね。
しかし、そのベースエンジンは油冷エンジンでしたから、ピストンストロークは空冷のより10mm以上短いのです。
真っ直ぐだけ走るのだから、パワーはあればあるほど有利ですが、そうでは無かったんです。
奥が深かったのですよ。

ランチスタートのルーツは

アメリカ人は第2次大戦の直後からドラッグレースやってますので、テクニカルな技がいっぱい詰まっていました。
文明堂のカステラ2本分はあるようなイグナイターユニットには、レブカットのチップを2つセットでき、一つはアッパーリミットでもう一つは「ランチスタート」用ですね。ランチスタートはスタート時の回転数を固定して、アクセルで合わせる必要がないものです。ドラッグレースにおいて一番重要なスタートをシステム化することにより、タイミングだけに集中できる「優れもの」です。いまや2輪4輪のグランプリレースでも採用されていますよね。
ウイリーバーも一見、前輪が浮いてしまわないように付いているようですが、車重を全部後輪に載せてトラクションを掛かかかるように出来ています。
今からみれば幼稚ですが、データロガーも使っていたし、ラム圧、遠心力を利用したクラッチロック、エアシフターなどなどとにかく400mを出来るだけ早く走る専門機械を開発していましたね。
その中のエンジンは、「トラクションを考えたエンジン」だったのでしょう。ピークパワーは確かにショートストロークのほうが有利ですが、250馬力以上のパワーで尖ったトルクカーブではドラッグスリックタイヤも空転させてしまいます。
タイヤが空転すると、ドラッグレーサーの長いホイールベースをもってしても蛇行してしまい、大きなタイムロスになってしまいます。
モアパワーは早く走らせる手段のおおきな要素ではありますが、ピークパワーを目的にしてしまうと良い結果にはつながりません。






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