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’84年のFLのシリンダーとピストンです。 推定走行距離は5万kmです。輸入新規登録後4年間を特にトラブルもなく走ってきましたが、ロッカーカバーからのオイル洩れが酷くなったので直すことになり、ついでにシリンダーも外しました。
シリンダーのリペイントは先日の記事で紹介したように、すでにキレイに仕上がっています。
’83年からの純正リペアパーツには0.005オーバーサイズのピストンもありますが、これは0.01オーバーサイズですね。
ピストンの裏側を見るとバー&シールドが・・・・・。
リング間のカーボン以外は取り立てて消耗はないようです。
シリンダーの内壁もまだクロスハッチが残っているし、例の縦キズも見られませんね。
この車両がどの時点でオーバーサイズのピストンになったかは不明ですが、ピストンのカーボン堆積の状態から推測すると少なくとも1万キロは走っていると思われます。
ハーレーに於いては、シリンダーが段付きするほど磨耗するのはワタシも見たことがありません。
ヒド縦キズが嫌でボーリングしてオーバーサイズのピストンを使う事がホトンドですから、今回はボーリングする理由が見当たりません。
80cu.in.のエンジンでは純正ピストンのオーバーサイズは0.03までしか用意されていません。社外品では0.04までありますが、純正で0.03までの理由はシリンダー下部のスリーブの厚さの問題だと思われますので、闇雲なオーバーサイズの使用は控えた方が良いでしょう。
ここで年代によるピストンの違いを見てみましょう。
まず74cu.in.と80cu.inの違いはボアを別とするとピストンピン下のスカート長さが変わっています。
それだけではありません。ピストン頂部からピンまでの距離も違います。
本来はストロークを長くしたらその割合でコンロッドも長くしたいところを、エンジン高を高くするわけにいかない(フレームに収まらない)ので、コンロッド長は変えずにピン位置を変えて対処してあるのです。
ですから、お手軽に80のピストンを使って74をボアアップしようと思っても、圧縮比が維持できず使えません。
同じ80cu.in.でも'83年からは、エボリューションエンジンと同じ品番のピストンリングを使っています。
矢印が示すようにオイルリングの幅が異なります。