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プロクラッチのところで、この写真を掲載いたしましたが、赤矢印のネジ山の無い部分を考察いたします。苦節1週間の大作?です。
これはハーレーの現行モデルのハブにブレーキデイスクを固定する部分です。
ハブのネジ穴を拡大すると、ココにも同じように・・・・・。
ネジは”回すと締まる”と固定観念にもなっていますが、クランクシャフトと反対で回転運動を直線運動に変換します。
そして”エネルギー保存の法則”に従って、例えばピッチが1.5mmのネジであったとすれば、1回転という大きな運動距離を1.5mmという小さな移動距離に変換する結果で大きな力を生み出します。長いスパナを使うと回転の円周が大きくなり加えるエネルギー量が大きくなりますので、締め付けトルクが大きくなると思ってください。その際ロスとなるのはネジ山とナットやボルトの座面に発生する摩擦で、フリクションロスはエンジンばかりではありません。摩擦の大きさはは軸力に大きな影響力があり、従って痛んだりゴミのついた渋いネジをトルクレンチだけに頼ってもイケマせん。
軸力の計算 暇があったら計算してみてください。摩擦係数を変えてみると良くわかります。
①ボルトは伸びる?
この世の中の物質は、ホトンドの全ての物は力が加わると変形します。変形量は加わる力の大きさに応じる事になりますが確実に変形します。大きな橋げたなども、相当丈夫そうですけれど自重でたわんでいますネ。
鉄のボルトもその例にならい、手で引っ張っても伸びたりしませんが、上の図のように2枚の鉄板を挟んで相当のトルクでネジを締めると、鉄板はその自身の剛性で変形に抵抗するので、反力によりボルトが伸びます。
材質によっても変形量は異なりますが、伸びたボルトはナットを緩めると元の長さに戻ります。これが弾性域の変形ですね。もっと強いトルクで締め付けるとボルトの伸び(変形量)は大きくなり元に戻らなくなります。これが降伏点を超えて塑性域に入ったということです。塑性域をもっと進んで変形量が大きくなると破断します。これが俗に締めすぎの「捩じ切った」という現象です。
②ネジの締結力 ?
左の図はネジの締結力の代表といえる利用例です。ハブにブレーキデイスク・ハブにホイール・キャリパーサポートとキャリパー皆この原理で固定しています。つまりネジの軸力で赤とミドリの間に摩擦力を発生させて、お互いの位置がずれないように固定しています。
ところが何らかの理由で軸力が低下して右の図のように赤とミドリに大きな力がかかると・・・・。
掛かった力に対する抵抗力はボルトのせん断強度だけになってしまい、簡単にせん断されてしまいます。
怖いですね~。
ネジの強度 参考資料、ネジのせん断強度は引っ張り強度の25%程度に注目してください。
③緩み止めでなくて?
バイクやクルマが走行中にネジが緩んで部品が外れたら大きな事故につながる事があり非常に危険です。大型トラックのタイヤが外れ死亡事故が起った悲しい事実もあります。ハーレーのグッドバイブレーションも度を過ぎるとネジをも緩めるバイブレーションになってしまいます。
タブン昔の飛行機も過大な振動で緩むネジには悩ませられたのでしょう。飛行機では緩んだネジをちょっと止めて締めるわけにいきませんし、落ちたネジを拾いにもいけません。そこでボルトやナットに小穴をあけてワイヤーで縛ってしまうことが考えられたのに違いありません。
特許検索で「緩み止め」を調べると様々なアイディアが申請されていて、1日くらいは飽きないで楽しめます。ところが、実効性・コスト・使いやすさのバランスのとれたものは既に実用化され、手元のものだけでも写真に各種あります。
ところが、これらは全て”緩み止め”ではなく”回り止め”なんですね。振動などが原因で”勝手に回ってしまう”ことはモノによっては確実に防ぐ事はできます。
④座屈?
屁理屈も困った物ですが、座屈も始末が悪いのです。
ネジは炭素鋼などの硬い鉄で出来ているものが多いので、赤とミドリの部品より硬いことが多くなります。この場合では相当なトルクから発生した軸力はの部品を凹ませてしまいます。これにより減少矢印の距離が短くなり、軸力が減少してしまいます。
また座屈現象でなくても、図のように赤とミドリの間のガスケットや塗膜のへたりでも同様のことが起ります。
カワサキ製の新幹線の車両では塗膜のうえにモーターを固定してしまい、脱落事故がありました。
*参考資料 5/1000mm座屈すると軸力が半分近くに低下すると計算しています。
⑤ドッチが?
右と左 ではどちらが緩みづらいでしょうか?
ワタシは左と考えます。
何故というと、③の参考資料によると5/1000mmの座屈が軸力の低下になるとすれば、同じトルクで締めた場合でAはBの2倍の長さがあれば、ボルトの伸びる量も2倍あり、座屈量をカバーできてしまう可能性があります。
⑥それで?
こうすることにより、AとBはほぼ同じ条件に・・・・・・。
Bのナットの形状はどこかで見た・・・・・・?
総括
バイクの分解整備ではネジを回すのが仕事の大半を占めていますが、ワタシのこの記事の内容などは、奥深いネジの世界ではまだ入り口に過ぎません。ネジでの固定方法は接着剤が高度に発達した今現在でも、脱着可能な便利な方法として広く使われています。取り外しも簡単な反面、緩みによる故障なども深刻な場面に発展することもあり、いま尚緩み防止の方法やネジ自体の研究も行われているようです。