アラン・ブルームは、『アメリカンマインドの終焉』の冒頭をかう始めてゐる。
大学教授がこれは絶対に確実だと言えることがひとつある。大学に入ってくるほとんどすべての学生は、真理は相対的だと信じていること、あるいはそう信じている、と言うということ。
「真理は相対的だと信じてゐる」、はともかく、「さう信じてゐる、と言ふといふこと」とはとても丁寧な観察による言葉だ。現代人は、信じる信じないといふことをあまり吟味しないで使つてゐるといふことである。つまりは、信不信といふことを軽率に使ふといふこと自体が、真理に対して曖昧であり、相対的な感想しか持ち合はせてはゐないといふことである。
1986年のアメリカの大学とその学生への感想であるが、そのまま現在の私たちの状況である。