三重県木本で虐殺された朝鮮人労働者の追悼碑を建立する会と紀州鉱山の真実を明らかにする会

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「日帝時代の日本国籍とは何か…日本人の奴隷だ」韓国の保坂教授、雇用労働相に反論」

2024年09月08日 | 韓国で
「The Hankyoreh」 2024-09-07 09:09
■「日帝時代の日本国籍とは何か…日本人の奴隷だ」韓国の保坂教授、雇用労働相に反論
 キム・ムンス雇用労働部長官の発言などに対し 
 世宗大学の保坂祐二教授が反論

【写真】尹錫悦大統領が8月30日、ソウル市龍山の大統領室庁舎で開かれた長官任命状授与式でキム・ムンス雇用労働部長官に任命状を授けた後、記念撮影をしている/聯合ニュース

 「日帝時代の我々の先祖たちの国籍は日本」だと主張したキム・ムンス雇用労働部長官の発言などについて、韓日関係の専門家である世宗大学の保坂祐二教授が「国籍は名ばかりで、(当時の朝鮮人は)国民としての権利がない日本人の奴隷だった」と反論した。
 保坂教授は5日、国会議員会館で開かれたシンポジウム「大韓民国、どこに行くべきか」で、ここのところ「日帝強占期(日本による植民地時代)の朝鮮半島居住者の国籍」をめぐる議論が起きていることについて、「最近、おかしな人たちが当時の韓国人は日本人だったと言っている」と述べ、このように主張した。保坂教授は「当時は日本人も『朝鮮人は2級の日本人』と言っていた」とし、「国籍は名ばかりで、日本人というよりも日本人の奴隷だった」と述べた。
 保坂教授は、当時の日帝は朝鮮人に国民としての基本的な権利を与えなかった点を根拠に説明した。保坂教授は「(当時の朝鮮人には)国民の基本的な権利である選挙権がなく、朝鮮議会や朝鮮の自治もなかった」とし、「日本側では、朝鮮側から日本の国会に国会議員が出てきた場合、一つの勢力になるため、徹底的に選挙権と被選挙権を妨害した」と述べた。日帝が日本ではすでに消えていた拷問制度を植民地では維持した点を取りあげ、「刑法的にも同じ国では絶対にありえなかった」とも述べた。
 一方で「国民の権利は与えず、徴兵制や徴用など(国民としての)義務だけを強制した」という説明が続いた。保坂教授は、奴隷制廃止前に米国に住んでいた黒人の状況を例に挙げ、「黒人奴隷が米国国籍を持っていたとしても、あくまで奴隷だった。日帝強占期下の朝鮮の人たちも、彼らの状況とそれほど変わりはなかった」と強調した。
 また、「今、日本は『あの時は日本人だったのだから、徴用で強制労働させても合法だった』というふうに話を作っている」として、「『当時、私たちは日本人だった』と主張する(韓国の)人たちは、日本の論理を用いて話をしている」と批判した。さらに、「不法な期間である日帝強占期に『私たちは日本人だった』と言い張る人の脳の構造は、韓国人ではなく日帝の下手人の脳の構造」だと強く述べた。
 さらに、「最初の密偵」として韓日強制併合を率先した宋秉畯(ソン・ビョンジュン、1858~1925)を取り上げ、「完全に国を売り飛ばした人物は宋秉畯だったが、そういう人がおそらく今の韓国にいると思う」とも主張した。「現在の韓国で広がっていることは、旧韓末(朝鮮王朝末期)の密偵や親日団体の暗躍に似ている」と懸念を示した。
 最後に保坂教授は「日本の極右を根底にするニューライトの人たちの暴挙を防ぐためには、国民に対する真の歴史教育が必須」だとして、「ニューライトの中心的論理である『植民地近代化論』に反論する多くの研究結果も出てこなければならない」と述べた。
 これに先立ち、キム・ムンス雇用労働部長官は先月26日、国会で開かれた人事聴聞会で「日帝治下に国籍が日本だったのは常識的なこと」だとする過去の発言に対する質問を受け、「日帝時代には国がなかったのだから、全員日本国籍でなかったとすれば、どこになっていたのか。大韓民国はなかったのだからどうしようもない」と答えた。「日帝強占期に生きていた私たちの先祖の国籍は日本なのか」という質問に対しても、「日本でなければ国籍は韓国なのか。常識的な話をすべきであり、話にならないことを言ってはならない」と述べた。
イ・ユジン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2024-09-06 21:15


「The Hankyoreh」 2024-09-05 10:24
■「韓国国家人権委員長候補、宗教の自由と嫌悪を混同」候補辞退の要求広がる
 聴聞会の後、宗教・学界から反対の声 
チェ・ヨンエ元人権委員長「資格不足」 
 人権委内部でも「虚脱、心配、怒り」

【写真】アン・チャンホ国家人権委員長候補が3日午前、ソウル汝矣島の国会で開かれた人事聴聞会に出席し、委員たちに向かって挨拶をしている=キム・ギョンホ先任記者//ハンギョレ新聞社

 国家人権委員長候補であるアン・チャンホ氏に対する国会での人事聴聞会後、不適格な人物であることが確認されたとし、アン氏の辞退を求める声がさらに高まっている。保守プロテスタントの理念をもって嫌悪と差別を正当化しながら公職を遂行しようとしているという点で、大韓民国憲法が定めた政教分離の原則まで損なうという批判が強い。
 性的マイノリティの祝福祈祷をしたという理由でキリスト教メソジストから破門されたイ・ドンファン牧師は、アン候補者の人事聴聞会を見た後、「誰かの人権を抑圧する宗教の自由はありえない」ときっぱりと述べた。イ牧師は4日、ハンギョレとの電話インタビューで「(アン候補は)プロテスタント内でも非常に原理主義的で極右的で差別的な考えを持つごく少数の人物」だとし、「宗教の自由と嫌悪の境界を混同する人物が、マイノリティの人権について敏感な感覚を持たなければならない人権委員長に任命されるのは、深刻な問題」だと述べた。また、「宗教の論理において神は完璧な方だが、神が創造された性的マイノリティをどうして間違った存在だと言えるのか疑問だ。聖書を時代的流れに合わせて解釈しなければならないのに、(アン候補者のように)選択的に引用するのは悪意的」だと批判した。
 イ牧師は、アン候補が公職に挑むのを契機に「政教分離の境界を議論するタイミング」だと強調した。公的な場で宗教的偏向性を露骨に表わすアン候補の行動こそ「宗教の自由」という憲法の価値を害しうるという話だ。イ牧師は「宗教的信念が『宗教の自由』を装って公的な場に出てきて、世俗法の人権観念に悪影響を及ぼすのが受け入れられること自体が問題だ」と語った。
 建国大学法学専門大学院のハン・サンヒ教授も、アン候補を「民主共和国というアイデンティティを否定する人」だとし、「尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が好む表現で言えば『反国家勢力』だ」と述べた。ハン教授は人権委員長の公募に志願していたが、「人権委員会の存在自体のために闘う」として辞退した。ハン教授は、アン候補が進化論を否定し、性的マイノリティ問題を憲法・人権の論理ではなく一部の宗派の意見から眺め、「韓国を世俗国家ではなく宗教国家、神政国家にしようとする考え」を持っていると語った。また「(アン候補は)憲法に忠誠を尽くさなければならず、国民全体の利益に奉仕しなければならない公務員としての基本的な資質に欠けている人」だと述べた。
 人権委の初代事務総長(2002~2004)と常任委員(2004~2007)、8代委員長(2018~2021)を務めたチェ・ヨンエ元委員長は「(聴聞会での)発言の時、(アン候補の)表情を見たが、はばかることなく堂々としていた。あきれて絶望的だった。アン候補は資格不足だ」と述べた。チェ元委員長は「人権委では委員長の哲学と規範、価値が非常に重要だ。(それなのに)差別禁止法や性的マイノリティに対する考えはもちろん、女性の服装を性犯罪を起こす要因にあげるなど、韓国社会がこれまで克服するために努力してきた社会的基準をなにからなにまで全て後退させるようだ」と憂慮を示した。
 前日、人権委の内部掲示板には「マイノリティを非難する権利が表現の自由なのか疑問」「進化論・創造論、両方とも信仰の問題だという。どこからあんな人を連れてきたのか」「神が人間を創造したとすれば、韓国の出生率を心配せずに泥をどうやってうまく供給するかの問題だけを解決すればいいではないか」と投稿された。「人事聴聞会でまで加減なく発言するとは思わなかった」として当惑を越えて怒りを感じ、「アン・チャンホ人権委」体制を心配しているようすだ。特に、尹大統領に関連する人権侵害懸案に対してはアン候補者が口を閉ざしたことに、職員のAさんは「大統領や政権に対する顔色まで伺いそうでかなり心配だ」と言った。Bさんは「性的マイノリティの人権保護業務と平等法(包括的差別禁止法)業務が麻痺する可能性が大きく、政治的に敏感なイシューに対する人権的対応が縮小されると思われる」とし、「人権保護業務ではなく親政府擁護委員会に転落しかねない」と懸念を示した。Cさんは「職員たちの間では虚脱、あきらめ、心配、怒りの感情が入り混じっている。人権委が存在感の弱い行政機関のようになりそうだ」と述べた。
 市民社会はアン候補の指名撤回と辞退を要求した。35の人権・市民社会団体が参加した「国家人権委員会を正す改正共同行動」と「差別禁止法制定連帯」はこの日、国会前で記者会見を行い、「国会人事聴聞会は、アン候補が国家人権委員会の委員長としてふさわしい人物なのかに対する評価以前に、どうしてこのような観点を持った人が憲法裁判官まで務められたのかに対する疑問が生じるほど衝撃的だった」と評価した。続けて「アン候補は性的マイノリティや労働者をはじめとする私たちの社会的少数者の権利を無視し、人権委で人権を消すことの先頭に立つ人物」だとし、「アン候補に対する指名は直ちに撤回されるべきだ」と強調した。
コ・ギョンテ、イ・ジヘ、イム・ジェヒ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
韓国語原文入力:2024-09-05 07:12


「The Hankyoreh」 2024-09-04 11:11
■ニューライトの国家構想は実現するか=韓国【寄稿】
 尹錫悦政権は総体的退行の政治を最もあからさまに具現している。その理由は、最高権力者である大統領が指導者としての哲学と道徳的深さのない精神的真空状態で、右翼勢力が大統領の力を借りて彼らの国家構想をありのまま具現できるためだ。理念の「意味も分からない」のに、「最も重要なのは理念」だと主張する大統領の存在は、教祖的理念勢力にとって最高の政治的チャンスだ。 

 シン・ジヌク|中央大学社会学科教授

【写真】先月15日、大学生歴史サークル連合が政府の光復節慶祝式が行われたソウル鍾路区世宗文化会館前で「ニューライト系人物の登用、屈辱的歴史外交を拒否する大学生記者会見」を行っている=コ・ギョンジュ記者//ハンギョレ新聞社

 最近激しかったニューライト、親日(編集者注:附日行為。日本統治時代に日本帝国に加担・協力した反民族行為)をめぐる議論を機に、尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権のこれまでの歩みと言説、人的構成を振り返ってみて、明らかになったことがある。この事案は単に独立記念館長や雇用労働部長官など数人の個人的な認識の問題ではなく、ニューライトをはじめとする韓国右翼勢力が夢見てきた国家構想が、尹錫悦政権を通じて現実化されるかどうかの問題であるということだ。
 ニューライトは広範な右翼運動であり、対外政策や政治、経済、労働、歴史解釈、教育など多くの議題で右派国家構想を確立し進めてきた。初期の団体の中ではのちに姿を消したものも多かったが、その核心勢力は多くの右翼団体で活動しており、社会の制度権力を握っている。
 一部ではニューライトを親日団体と同一視する見方もあるが、ニューライトは非常に多様な団体を含む。最大組織だったニューライト全国連合には地域組織と傘下機関、職能組織まで所属しており、一方で自由主義連帯、北朝鮮民主化ネットワーク、ニューライトシンクネット、教科書フォーラム、韓国キリスト教改革運動などとも連携している。また、正しい社会市民会議、自由企業院、韓半島先進化財団など多くの主要団体が今も活動している。
 ニューライトには保守の革新を模索し、中道保守を志向する流れもあったが、結局主導権を握ったのは極右派だった。彼らの理念と路線をまとめてみると、対外関係においては韓米日同盟と反北朝鮮・吸収統一論、政治においては自由民主主義を掲げた反共権威主義、経済においては親企業・反労働自由市場経済論、歴史においては植民地近代化論と李承晩(イ・スンマン)・朴正煕(パク・チョンヒ)再評価論に要約できる。この四本柱の枠組みに尹錫悦政権の2年半を重ねてみると、多くの部分が一致する。
 ならば、ニューライトは果たして「ニュー」なのか?
 「新しさ」を前面に掲げた名前からして、漠然と「オールドライト」と対比を成しているように思われるかもしれないが、実際には理念と談論、人的構成の面で共通点と連続性の方が多い。したがって、特定のニューライト団体だけを切り離して見るのではなく、ニュー・オールドライトを網羅する右翼勢力の人的、組織的つながりを総体的な観点から見なければならない。
 オールドライトの代表事例は保守プロテスタント団体と反共・反北朝鮮団体だ。ニューライトが成長した時期に韓国キリスト教総連合会、韓国自由総連盟、反核反金国民協議会、親北朝鮮左翼撲滅国民行動本部など「オールドライト」の団体も非常に活発で、海兵戦友会、在郷軍人会、枯葉剤戦友会など退役軍人組織も政治化された。多くのニューライト団体は、彼らと理念や談論の親和性が高いだけでなく、しばしば一緒に行動し、特に保守プロテスタントとは人的な面でも多く重なる。
 ニューライトとオールドライトを結ぶイデオロギーの中心概念は「自由民主主義」と「自由市場経済」であり、それと対になる概念の「北朝鮮追従、親北」、「反国家勢力」、「共産全体主義」などは反対勢力に対する暴力を鼓舞、正当化する言説だ。
 朝鮮半島の平和に言及しても、労働者権利、福祉拡大、企業規制、総合不動産税に触れても、全て「共産主義」、「自由民主主義の敵」となる。そのような形で資本の支配、政治的独裁、帝国主義と植民主義がつながる。
 このようにニューライト、オールドライトが共同のアイデンティティとイデオロギーを発展させ、共に活発に動き出した理由は何だろうか。
 その答えは、民主化による危機意識にある。1987年に韓国で独裁が崩壊した後、1997年に金大中(キム・デジュン)大統領が、2002年に盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領が当選した。2004年には盧大統領の弾劾が失敗し、総選挙で開かれたウリ党が過半数の議席を獲得し、ハンナラ党が「テント政党」に転落した。右翼たちが立ち上がった背景だ。
 この状況が意味するのは、長い独裁の間、揺ぎなく続いてきた財閥、金持ち、官僚、軍部、宗教財団の特権と利益がもはや国家権力によって守られないということだ。彼らと同等な位置に立つことができなかった市民が民主的権利を享受して変化を起こし始めると、既得権層は彼らの利益のために自ら組織し、理念で武装し、政治に乗り出さざるを得なくなった。これら右翼団体の本質は、民主化後に脅かされる旧体制と既得権を守り抜く戦いにある。
 尹錫悦政権は総体的退行の政治を最もあからさまに具現している。その理由は、最高権力者である大統領が指導者としての哲学と道徳的深さのない精神的真空状態で、右翼勢力が大統領の力を借りて、彼らの国家構想をありのまま具現できるためだ。理念の「意味も分からない」のに、「最も重要なのは理念」だと主張する大統領の存在は、教祖的理念勢力にとって最高の政治的チャンスだ。
 実際、尹錫悦政権には発足当初から右翼団体の中心人物が権力の中心に布陣していた。尹大統領の側近中の側近であるチャン・ジェウォン前国民の力議員やクォン・ソンドン議員などは、いずれも影響力のあるニューライト組織の代表だった。キム・テヒョ国家安保室第1次長、キム・ヨンホ統一部長官、ハン・オソプ元政務首席秘書官も、ニューライトやその他右翼団体のメンバーだった。
 権力機関だけでなく、人々の意識に影響を及ぼす放送、歴史、教育分野の政府委員会の首長もニューライトの人々で埋め尽くされた。イ・ドングァン前放送通信委員長は「東亜日報」で「ニューライト」という用語を大衆化した人物であり、キム・ナクニョン韓国学中央研究院長、ホ・ドンヒョン国史編纂委員長、イ・ベヨン国家教育委員長などはいずれも植民地近代化論者であり、教科書フォーラムのメンバーだった。
 このような状況は、韓国の未来に甚大な影響を及ぼしかねない。国家は国全体に影響を及ぼす決定を下し、資源を配分する公的権限と権力を持つ唯一の組織だ。その組織のトップが反民族的、反民主的、反民衆的集団の手に入れば、彼らがたとえ少数であっても社会の制度とシステムが急速に緩み、歪曲される恐れがある。
 さらに深く懸念されるのは、社会の根本的価値に対する脅威だ。「慰安婦」は自発的売春であり、植民支配と独裁で豊かに暮らせるようになっており、民主化運動の背後に北朝鮮があり、ストライキする労働者は国家の敵であるという言説は、人間の尊厳に対する冒涜、主権と民主主義の蔑視、自由と平等の否定だ。それを何気なく言える状況こそが真の危機だ。
 極右の主流化で最も大きな危険は、私たちがそれに慣れてしまうことだ。最初は想像もできなかったことが、次第に一つの意見になり、時間が経てば常識になる。社会がそこに至ると、希望の光を見出すことは難しい。韓国社会はどこまで来ているのだろうか。
 もしあなたと私がこの現実に怒りと侮辱を感じるならば、私たちにはまだこの社会を守る力とプライドがあるのだ。

シン・ジヌク|中央大学社会学科教授(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2024-09-03 19:58


「The Hankyoreh」 2024-09-04 09:38
■【社説】ニューライトの執筆した韓国史教科書、歴史歪曲の懸念が強い

【写真】韓国学力評価院の高校の韓国史教科書に出てくる李承晩元大統領関連の部分。同教科書は「光復後、韓国の歴史に影響を与えた人物7人」を掲載したが、李承晩元大統領の写真を1番目に載せた/聯合ニュース

 来年3月から高校生が使用する韓国史の検定教科書のうち、ニューライト系の執筆陣が書いた教科書をめぐり、「歴史歪曲」だとして波紋が広がっている。日本軍「慰安婦」問題を縮小し、独裁政権を擁護しようとする意図が大いにあるためだ。しかも、イ・ジュホ教育部長官の青年補佐役がこの教科書の執筆陣に含まれていたとするメディア報道もなされた。教育部は沈黙で一貫している場合ではない。
 教育部は最近、新しい教育過程にともなう小中高の検定教科書の審査結果を官報に掲載した。問題になった教科書は、韓国学力評価院の韓国史の教科書だ。この出版社は今回初めて歴史教科書検定を通ったが、韓国近現代史の人物と事件を叙述した「韓国史2」の内容が他の教科書と大きな違いをみせている。日本軍「慰安婦」については、性搾取に関する具体的な言及の代わりに、「若い女性たちを中国や東南アジアなどの地に連れて行き、むごい生活をさせた」と記した。他の教科書に比べ「慰安婦」問題に関する説明を減らし、表現も可能な限り抽象的に書いている。また、李承晩(イ・スンマン)元大統領を大きく取り扱い、「独裁政権」という表現の代わりに「長期政権」についたと叙述するかと思えば、朴槿恵(パク・クネ)政権の国政壟断事件は「民間人の国政介入疑惑」と書き、その意味を希釈させた。
 特に執筆陣の偏向した歴史認識は、教科書の執筆を引き受けてはならないほどきわめて不適切な水準だ。彼らはかつて学術セミナーなどを通じて、「自由党政権と軍人政権の時期の政策によって、民間人が負傷・死亡することになった痛ましい過去を示すことができずもどかしかった」、「日本は強者であり悪漢国であり、朝鮮は弱くて善良な国だとする図式の二分法で書いた自己憐憫の叙述」だと主張するかたちで、既存の教科書を問題にした。韓国学力評価院の「韓国史1」の教科書は、過去の国定教科書の一部を盗作したという疑惑まであがった。これに先立ち、従業員が6人しかいない当出版社の執筆能力に疑問が提起されたことがあるが、実際に不十分な執筆だとする論議につながったのだ。
 教育部は、検定過程で政府が出版社に修正要求をした部分があるか、反映された部分があるかなどについては、公開しない方針だという。教育部長官の青年補佐役は、昨年教育部に提出する前の教科書の草稿にだけ関与したと釈明したことがあるが、先月21日に執筆陣から外れた事実も新たに判明した。教育部は今回の検定過程で提起された懸念と疑惑について、国民が納得できるように答えなければならない。
(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2024-09-03 06:49
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