「The Hankyoreh」 2025-04-07 07:12
■韓国国民の81%「憲法裁の尹錫悦罷免決定を受け入れる」【世論調査】
保守層でも66%…中道層は85%
野党のイ・ジェミョン代表、与党の有力候補との2者対決で50%以上の支持獲得
保守層でも66%…中道層は85%
野党のイ・ジェミョン代表、与党の有力候補との2者対決で50%以上の支持獲得
【写真】ムン・ヒョンベ憲法裁判所長職務代行が4日午前、ソウル鍾路区の憲法裁判所の大審判廷で、尹錫悦大統領弾劾審判の認容決定文を読み上げている=写真共同取材団//ハンギョレ新聞社
韓国国民の10人中8人が、憲法裁判所が4日に言い渡した尹錫悦(ユン・ソクヨル)前大統領の罷免決定を受け入れると答えた世論調査結果が6日に公開された。 この日、韓国ギャラップが「ソウル経済新聞」の依頼で4~5日に全国の18歳以上1012人を対象に実施した緊急世論調査(信頼水準95%、誤差範囲±3.1ポイント、応答率9.5%)の結果によると、憲法裁の決定を「受け入れる」という回答は81%で、「受け入れられない」(17%)を大きく上回った。「分からない・回答拒否」は2%だった。今回の調査は、ランダムに抽出された有線・無線の電話番号に調査員が電話をかけ、インタビューを行う方式で行われた。
特に、保守層(66%)で憲法裁の決定を受け入れるという回答が「受け入れられない」(33%)という回答の2倍に達した。中道層の場合は受け入れるとの回答が85%、革新(進歩)層では97%だった。
与党「国民の力」の支持層でも、「受け入れる」という回答が52%で、「受け入れられない」(45%)という回答を7ポイント上回った。最大野党「共に民主党」と「祖国革新党」の支持層では、受け入れるとの回答がそれぞれ99%と100%だった。これに先立ち、強硬支持層を中心に弾劾認容決定を不服とするムードが高まり、暴力デモなどにつながるのではないかという懸念が高まったこととは異なる結果と言える。
尹前大統領の罷免に伴い、早期大統領選挙が確定した中、民主党のイ・ジェミョン代表が国民の力の有力大統領選候補ら(キム・ムンス、ハン・ドンフン、ホン・ジュンピョ、オ・セフン)との仮想二者対決で、いずれも50%を越える支持率で大きく差をつけていることが分かった。イ代表は、キム・ムンス雇用労働部長官との仮想二者対決では53%でキム長官(35%)を上回り、ホン・ジュンピョ大邱(テグ)市長(38%)、オ・セフン・ソウル市長(37%)、ハン・ドンフン前国民の力代表(32%)との仮想二者対決でも50%以上の支持率で誤差範囲を超えてリードした。
次期大統領の好感度調査でも、イ代表が40%で1位を占めた。キム長官(7%)、ハン前代表(4%)、ホン市長(4%)、オ市長(3%)の4人の支持率を合わせたもの(18%)の2倍以上となる。
政党支持率は民主党が44%で、国民の力(33%)を誤差範囲を超えて上回った。祖国革新党と改革新党はそれぞれ2%だった。
詳しい内容は、中央選挙世論調査審議委員会のホームページを参照。
韓国国民の10人中8人が、憲法裁判所が4日に言い渡した尹錫悦(ユン・ソクヨル)前大統領の罷免決定を受け入れると答えた世論調査結果が6日に公開された。 この日、韓国ギャラップが「ソウル経済新聞」の依頼で4~5日に全国の18歳以上1012人を対象に実施した緊急世論調査(信頼水準95%、誤差範囲±3.1ポイント、応答率9.5%)の結果によると、憲法裁の決定を「受け入れる」という回答は81%で、「受け入れられない」(17%)を大きく上回った。「分からない・回答拒否」は2%だった。今回の調査は、ランダムに抽出された有線・無線の電話番号に調査員が電話をかけ、インタビューを行う方式で行われた。
特に、保守層(66%)で憲法裁の決定を受け入れるという回答が「受け入れられない」(33%)という回答の2倍に達した。中道層の場合は受け入れるとの回答が85%、革新(進歩)層では97%だった。
与党「国民の力」の支持層でも、「受け入れる」という回答が52%で、「受け入れられない」(45%)という回答を7ポイント上回った。最大野党「共に民主党」と「祖国革新党」の支持層では、受け入れるとの回答がそれぞれ99%と100%だった。これに先立ち、強硬支持層を中心に弾劾認容決定を不服とするムードが高まり、暴力デモなどにつながるのではないかという懸念が高まったこととは異なる結果と言える。
尹前大統領の罷免に伴い、早期大統領選挙が確定した中、民主党のイ・ジェミョン代表が国民の力の有力大統領選候補ら(キム・ムンス、ハン・ドンフン、ホン・ジュンピョ、オ・セフン)との仮想二者対決で、いずれも50%を越える支持率で大きく差をつけていることが分かった。イ代表は、キム・ムンス雇用労働部長官との仮想二者対決では53%でキム長官(35%)を上回り、ホン・ジュンピョ大邱(テグ)市長(38%)、オ・セフン・ソウル市長(37%)、ハン・ドンフン前国民の力代表(32%)との仮想二者対決でも50%以上の支持率で誤差範囲を超えてリードした。
次期大統領の好感度調査でも、イ代表が40%で1位を占めた。キム長官(7%)、ハン前代表(4%)、ホン市長(4%)、オ市長(3%)の4人の支持率を合わせたもの(18%)の2倍以上となる。
政党支持率は民主党が44%で、国民の力(33%)を誤差範囲を超えて上回った。祖国革新党と改革新党はそれぞれ2%だった。
詳しい内容は、中央選挙世論調査審議委員会のホームページを参照。
イ・ユジン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/1190980.html
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/1190980.html
韓国語原文入力:2025-04-06 20:15
「聯合ニュース」 2025.04.04 17:40
■[尹大統領罷免]「重大な違反」判断根拠は? 国家緊急権の乱用
【ソウル聯合ニュース】韓国の憲法裁判所は4日、「非常戒厳」宣言を巡り弾劾訴追された尹錫悦(ユン・ソクヨル)前大統領を罷免する決定を言い渡した。憲法裁は戒厳宣言について、国家緊急権を乱用した重大な違反行為であると指摘した。
【写真】宣告の主文を読み上げる文炯培(ムン・ヒョンベ)憲法裁所長権限代行(写真共同取材団)=4日、ソウル(聯合ニュース)
憲法裁はその根拠としてまず、尹氏が国会との対立状況を打開する目的で軍や警察を国会に派遣して国会の憲法上の権限行使を妨害した点を挙げた。
また、兵力で中央選挙管理委員会を家宅捜索し、憲法が定める統治機構を無視し、布告令を発令して国民の基本権を広範囲に侵害したとも指摘した。
憲法裁はこのような行為自体が法治国家、民主国家の原理の基本原則に反するものだったとし、「それ自体で憲法秩序を侵害し民主共和政の安定性に深刻な危害を及ぼした」と判断した。
また、最も慎重に行使されるべき国家緊急権を憲法で定めた範囲を超えて行使することで、大統領の権限行使に対する不信を招いたとみなした。
ただ、憲法裁は野党主導により異例の多さで弾劾訴追案が国会に提出され、2025年度(1~12月)予算案については、政府原案から野党が削減のみ行い野党単独で可決するなど、尹氏が国政運営において困難に直面していたことを認めた。
憲法裁は「被請求人(尹氏)が策定した主要政策は野党の反対で実施できず、その過程で野党の専横により国益が顕著に阻害されていると認識し、これをどうにか打開しなければならないという重大な責任を感じることになったとみられる」と指摘した。
また、尹氏のこのような認識が政治的に尊重されなければならないことも事実だと認めた。
ただ憲法裁は尹氏と国会の対立が、どちらか一方の責任とはみなし難く、民主主義の原理によって対話と妥協を通じて解消されるべき政治的問題だったとし、戒厳宣言を正当化することはできないと判断した。
また尹氏が「国家緊急権の乱用の歴史を再現し国民に衝撃を与え、社会、経済、政治、外交の全分野に混乱を引き起こした」と強調した。
憲法裁は、尹氏が就任後、国会議員総選挙が行われるまでの2年間、自身が国政を主導するよう国民を説得する機会が十分にあり、たとえ望まない選挙結果が出たとしても、野党を支持した国民の意思を排除してはならなかったと指摘した。
また国会を協議ではなく排除の対象にする行為自体が、民主政治の前提を崩すことだとも規定した。
憲法裁は尹氏が社会共同体を統合しなければならない責務に違反し、軍と警察を動員して憲法機関の権限を毀損(きそん)することで、国民の信任を重大に裏切ったと判断した。
そのうえで、尹氏を罷免することで得られる憲法守護の利益は大統領の罷免による国家損失を圧倒するほど大きいと結論付けた。
「The Hankyoreh」 2025-04-05 12:32
■「同志よ、お疲れ様」…広場で罷免を見守った韓国市民、互いに感謝
【写真】4日、尹錫悦大統領の弾劾が認容され、ソウル光化門の座り込み現場前の旗手たちが集まり、記念撮影している=パク・コウン記者//ハンギョレ新聞社
「主文。被請求人大統領尹錫悦(ユン・ソクヨル)を罷免する」。4日午前11時22分、憲法裁判所が尹錫悦大統領に全員一致で「罷免」を言い渡した瞬間、ソウル安国(アングク)駅6番出口前は泣き声、笑い声、互いに対する感謝と慰労の言葉が入り混じった歓声であふれた。「主権者が勝利した」という叫び声が響く間、紫色のジャンパーを着た10・29梨泰院(イテウォン)惨事の被害者たちは、市民と抱き合いながら泣いた。労働組合のベストを着た労働者たちは拳を振り上げ、障害者たちは車いすで満面の笑みを浮かべた。12・3内乱から123日、突然の戒厳宣布で「自由の脅威」を懸念していた心は、春の日の暖かな日差しの中に一瞬にして溶けていった。
この日午前、憲法裁判所の最寄りの安国駅6番出口前で開催された「尹錫悦8対0罷免のための決起大会」に集まった1万人あまりの市民(警察による非公式推計、午前10時30分現在)は、路上を埋めつくして共に罷免言い渡しを見守った。多くの人々が、ムン・ヒョンベ憲法裁所長権限代行の読み上げる弾劾宣告文を、内乱の夜以降の恐怖と挫折の瞬間に対する慰めだと考えた。特に「戒厳解除は市民の抵抗と軍警の消極的な任務遂行のおかげ」という部分では、「抵抗し、崩れなかった」市民たちは大きくうなずいて拳を振り上げた。
【写真】憲法裁による尹錫悦大統領の弾劾審判が認容された4日、市民がソウル鍾路区の憲法裁判所近くの安国駅から景福宮駅まで行進している=キム・テヒョン記者//ハンギョレ新聞社
尹錫悦の罷免が確定した瞬間、路上に鳴り響いたバンド「DAY6」の歌「Time of Our Life(1ページになるように)」に合わせて、若者たちはみなで飛び跳ね、年配者は肩を揺らして踊った。歓喜する市民の間で、慶尚南道昌原(チャンウォン)からやって来たキム・ミヨンさん(52)も涙を流した。キムさんは「民主主義が生きているということを目撃し、とてもうれしい」と話した。やがて、弾劾広場の象徴になった歌、少女時代の「Into the new world(まためぐり会えた世界)」が流れた。
「まためぐり会えた世界」を前にして何をなすべきか考えていきたいという決意表明も相次いだ。非現実的な大統領の戒厳宣布とその合理化以降、嫌悪にまみれた韓国社会を前にして、苦悩はいっそう深まった。大学生のイ・チェヒョンさん(20)は「尹錫悦を最後にして、今後は嫌悪政治によって勢力を結集する例が出てきてほしくない。広場で私たちが女性、労働者、障害者、農民、性的マイノリティーらの多様な弱者と共にあったように、これからはじまる新しい世の中も弱者が思う存分声をあげられる方向へと向かってほしい」と語った。
全国各地の様々な場所でも歓喜する市民たちの姿があった。全羅南道長城(チャンソン)の白岩中学校での「弾劾審判契機教育」中に生中継を見た同校1年生のコ・ダユンさん(13)は、「私も母について行って、尹錫悦大統領(弾劾要求)集会に参加した甲斐がある」と感想を書いた。大邱市中区(テグシ・チュング)のCGV大邱ハニル劇場前で弾劾言い渡しを見守ったキム・ジョンテさん(24)は、「ついに憲法裁が国民の気持ちをきちんと受け止めたようだ」と言って涙ぐんだ。
【写真】尹錫悦大統領の弾劾が認容され、4日午前、ソウル鍾路区の安国駅一帯で市民たちが歓声をあげている=キム・ヨンウォン記者//ハンギョレ新聞社
市民たちはソウル松ヒョン(ソンヒョン)広場の地面に市民集会の象徴となった色とりどりの旗を広げ、互いに「同志よ、お疲れ様。市民が最高だ!」と叫んで集会を締めくくった。広場の地面に「炎の男、チョン・デマン」と記された旗を広げたKさん(24)は、再び旗を手にし、「大統領は罷免されても旗は手放せない」と話した。「尹錫悦は罷免されたが、今も連帯すべき所は非常に多い。子どもの頃、約束してなくても公園に行けば友達がいたように、これからも数多くの広場で『旗の同志』たちと、市民たちとまた会えると信じています」。
パク・コウン、コ・ナリン、キム・ギュヒョン、チョン・デハ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2025-04-04 19:35
「The Hankyoreh」 2025-04-05 11:59
■罷免された尹錫悦前大統領、謝罪も承服もなし…「与党、大統領選で必ず勝利を」
【写真】尹錫悦大統領が昨年12月3日、ソウル市龍山の大統領室で、キルギス共和国との共同声明に署名した後、席を立っている=キム・テヒョン記者//ハンギョレ新聞社
【写真】尹錫悦大統領が昨年12月3日、ソウル市龍山の大統領室で、キルギス共和国との共同声明に署名した後、席を立っている=キム・テヒョン記者//ハンギョレ新聞社
4日に大統領職を罷免された尹錫悦(ユン・ソクヨル)前大統領が「皆さんの期待に応えられず、非常に残念で申し訳ない」と述べた。憲法裁の決定に対する承服はなく、「12・3内乱事態」に対する反省も謝罪もなかった。
尹前大統領はこの日、法律代理人団を通じて配布した立場表明文で、「愛する国民の皆様、これまで大韓民国のために働くことができて非常に光栄でした」としたうえで、「力量不足の私を支持して応援してくださった皆様に、深く感謝申し上げる」と述べた。「愛する大韓民国と国民の皆様のために、常に祈っている」とも述べた。空白を除いて123字の立場表明文は、憲法裁の決定の2時間30分後に出された。
4日午前、憲法裁による尹錫悦大統領弾劾訴追の容認後、ソウル市龍山区の大統領室庁舎に揚げられていた「鳳凰旗」を大統領室の関係者たちが下げている=大統領室記者団//ハンギョレ新聞社
罷免直後に出された最初のメッセージだが、尹前大統領は罷免には言及しなかった。露骨に不服従を宣言してはいないが、承服したり受け入れたりするという内容もなかった。憲法裁が12・3非常戒厳宣言を重大な法律違反行為だと判断し、「主権者である国民の信任を大きく裏切った」と断じたが、尹前大統領は謝罪も反省もしなかった。自身を支持した人たちに限定した「感謝」だけが目につく。
この日午後、ソウル市漢南洞(ハンナムドン)にある大統領官邸を訪問した与党「国民の力」のクォン・ヨンセ非常対策委員長やクォン・ソンドン院内代表らには、「最善を尽くしてくれた党と指導部に感謝する」としたうえで、「時間が限られているため、党を中心に大統領選の準備を順調に進め、必ず勝つことを祈る」という意向を伝えた。早期大統領選を行うことになった原因が自身にあるのにもかかわらず、「政権維持」を注文し、「弾劾棄却・却下」を主張して自身をかばった党指導部を称賛したのだ。
尹前大統領の法律代理人団は、憲法裁の決定に遺憾を表明した。ユン・ガプクン弁護士は、憲法裁の宣告直後に取材団の取材を受け、「弾劾審判は準備期日から進行過程自体が適法な手続きを守らず、不公正に進められたが、結果に至るまで法理的に納得できない決定」だと主張した。また、ユン弁護士は「完全に政治的な決定であり残念だ」としたうえで、「大韓民国と国民に(宣告結果が)どのように作用するのか、本当に惨憺たる思いであり心配だ」と述べた。公式の反応を示さなかった大統領室では、チョン・ジンソク秘書室長ら首席秘書官級以上の上層部15人がハン・ドクス大統領権限代行首相に一斉に辞意を表明したが、ハン権限代行はすべて差し戻した。
尹前大統領と代理人団のこのような態度から、野党では、尹前大統領が内乱事態で結集した岩盤支持層を活用し、政治的影響力を維持しようとするのではないかという疑問が出ている。最大野党「共に民主党」のキム・ソンフェ報道担当は「国政破綻と憲政秩序蹂躪(じゅうりん)に対する謝罪も反省も、一言もなかった」として、「ひたすら岩盤支持層を感情的に刺激し、今でも本人が政局を主導できるという妄想を示した」と指摘した。さらに、「真摯な反省と謝罪が先」だとして、「国民の前で自身の罪を告白し、裁判所で内乱首謀の罰を謙虚に受け入れることだけが、尹錫悦が大韓民国にすべき最小限の道理」だと述べた。朴槿恵(パク・クネ)元大統領は2017年3月、罷免の2日後に「このすべての結果については私が負っていく」としながらも、「時間は要するだろうが、真実は必ず明らかになると信じている」と述べ、憲法裁の決定に承服せず、物議を醸した。
イ・スンジュン記者、ペ・ジヒョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/1190812.html
尹前大統領はこの日、法律代理人団を通じて配布した立場表明文で、「愛する国民の皆様、これまで大韓民国のために働くことができて非常に光栄でした」としたうえで、「力量不足の私を支持して応援してくださった皆様に、深く感謝申し上げる」と述べた。「愛する大韓民国と国民の皆様のために、常に祈っている」とも述べた。空白を除いて123字の立場表明文は、憲法裁の決定の2時間30分後に出された。
4日午前、憲法裁による尹錫悦大統領弾劾訴追の容認後、ソウル市龍山区の大統領室庁舎に揚げられていた「鳳凰旗」を大統領室の関係者たちが下げている=大統領室記者団//ハンギョレ新聞社
罷免直後に出された最初のメッセージだが、尹前大統領は罷免には言及しなかった。露骨に不服従を宣言してはいないが、承服したり受け入れたりするという内容もなかった。憲法裁が12・3非常戒厳宣言を重大な法律違反行為だと判断し、「主権者である国民の信任を大きく裏切った」と断じたが、尹前大統領は謝罪も反省もしなかった。自身を支持した人たちに限定した「感謝」だけが目につく。
この日午後、ソウル市漢南洞(ハンナムドン)にある大統領官邸を訪問した与党「国民の力」のクォン・ヨンセ非常対策委員長やクォン・ソンドン院内代表らには、「最善を尽くしてくれた党と指導部に感謝する」としたうえで、「時間が限られているため、党を中心に大統領選の準備を順調に進め、必ず勝つことを祈る」という意向を伝えた。早期大統領選を行うことになった原因が自身にあるのにもかかわらず、「政権維持」を注文し、「弾劾棄却・却下」を主張して自身をかばった党指導部を称賛したのだ。
尹前大統領の法律代理人団は、憲法裁の決定に遺憾を表明した。ユン・ガプクン弁護士は、憲法裁の宣告直後に取材団の取材を受け、「弾劾審判は準備期日から進行過程自体が適法な手続きを守らず、不公正に進められたが、結果に至るまで法理的に納得できない決定」だと主張した。また、ユン弁護士は「完全に政治的な決定であり残念だ」としたうえで、「大韓民国と国民に(宣告結果が)どのように作用するのか、本当に惨憺たる思いであり心配だ」と述べた。公式の反応を示さなかった大統領室では、チョン・ジンソク秘書室長ら首席秘書官級以上の上層部15人がハン・ドクス大統領権限代行首相に一斉に辞意を表明したが、ハン権限代行はすべて差し戻した。
尹前大統領と代理人団のこのような態度から、野党では、尹前大統領が内乱事態で結集した岩盤支持層を活用し、政治的影響力を維持しようとするのではないかという疑問が出ている。最大野党「共に民主党」のキム・ソンフェ報道担当は「国政破綻と憲政秩序蹂躪(じゅうりん)に対する謝罪も反省も、一言もなかった」として、「ひたすら岩盤支持層を感情的に刺激し、今でも本人が政局を主導できるという妄想を示した」と指摘した。さらに、「真摯な反省と謝罪が先」だとして、「国民の前で自身の罪を告白し、裁判所で内乱首謀の罰を謙虚に受け入れることだけが、尹錫悦が大韓民国にすべき最小限の道理」だと述べた。朴槿恵(パク・クネ)元大統領は2017年3月、罷免の2日後に「このすべての結果については私が負っていく」としながらも、「時間は要するだろうが、真実は必ず明らかになると信じている」と述べ、憲法裁の決定に承服せず、物議を醸した。
イ・スンジュン記者、ペ・ジヒョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/1190812.html
韓国語原文入力:2025-04-05 08:34
「The Hankyoreh」 2025-04-05 09:54
■憲法守った韓国市民の勝利、これから新たな始まりだ【社説】
【写真】市民が4日午前、ソウル市鍾路区の安国駅近くで弾劾宣告を生中継する大型画面を通じて憲法裁が「主文、被請求人大統領尹錫悦を罷免する」と宣告すると、歓呼を上げている=キム・テヒョン記者//ハンギョレ新聞社
不正と混沌のトンネルを抜け、ついに正義に到着した。12・3非常戒厳という超憲法的な暴挙によって自滅を早めた尹錫悦(ユン・ソクヨル)は、就任からわずか2年11カ月で前大統領になった。脅かされた憲法は主権者とともによみがえり、挑戦を受けた民主主義もふたたび立ち上がった。「主文、被請求人大統領尹錫悦を罷免する」。裁判官8人全員の一致だ。国民と憲法、民主主義の勝利だ。
憲法裁は4日、非常戒厳宣言は実体的・手続き的要件に違反し、国会に対する軍警投入、国会・政党活動を禁止した布告令の発令、中央選挙管理委員会の押収捜索、法曹人の所在地の確認の試みなど、5つの弾劾訴追理由すべてが憲法・法律違反だと明言した。憲法裁は「被請求人の違憲・違法行為は、国民の信任を裏切ったものであり、憲法守護の観点から容認できない重大な法律違反に該当する」と厳しく判示した。
急速な産業化と民主化を同時に達成した経済・文化強国である大韓民国が、尹錫悦という非民主的、反文明的、前近代的な統治者を保有したという事実は、恥ずべきことだ。彼の任期中は退行を続けた。経験も準備もなしに大統領職に就いた彼は、国政を検察組織のように運営した。市民社会、国会、野党、メディアなどの批判勢力は、共存・妥協ではなく排除・処断の対象だった。公正と常識を掲げたが、実状は不公正と非常識だった。「反国家勢力の一挙清算」と「不正選挙」という狂気と妄想から始まった12・3戒厳は、このような退行の結晶体だった。
2017年の朴槿恵(パク・クネ)元大統領に続き、8年後に2回目の大統領罷免となったことは、国家的な不幸だ。しかし、2回の大統領弾劾は、市民の常識と憲法的熱望の勝利という点で、われわれの誇りであり希望でもある。反動を勝ち抜いた源泉は、主権者である国民だ。尹錫悦や極右勢力、与党政治家たちが詭弁と扇動で惑わしても、国民は揺らぐことなく、「憲法守護」の声を上げた。民主主義が危機に直面するたびに、これを救ったのは、いつも市民だった。
独断と狂気の統治者尹錫悦の罷免は、終わりではなく、国家正常化に向かう新たな始まりだ。深刻化した社会分裂と対立から、まず収拾しなければならない。戒厳・弾劾局面を経て、「心理的内戦」と言えるほど政治二極化が深まった。憲法裁の決定後、物理的衝突に対する懸念も強い。全員の自制と包容が切実に求められる。敵対と嫌悪を活用して政治的利益を得ようとする邪悪な行為はあってはならない。尹錫悦は、憲法裁の決定に「承服」するという言及はせず、「期待に応えられず非常に残念で、申し訳ない」とだけ述べた。国家的混乱を引き起こしたことについて真摯に謝罪し、支持層にも自制を要請しなければならない。
合理的保守を立て直すことも必須だ。戒厳・弾劾の過程で、陰謀論と嫌悪に陥った極右勢力の急浮上と巨大保守政党の極右化を目撃した。与党「国民の力」が尹錫悦と極右から決別し、立ち位置を再確立しないのであれば、保守全体の存立が揺らぎ、韓国政治は足を引っ張られるだろう。
包容と統合は追求しても、内乱勢力の清算は徹底しなければならない。内乱首謀の被疑者である尹錫悦は、内乱罪の刑事裁判で、ふたたびあらゆる法的手段を動員しようとするだろう。司法当局は、内乱の中心的な加担者を一寸の寛容なしに断罪し、歴史に教訓を残さなければならない。尹錫悦と夫人のキム・ゴンヒ女史の不法選挙介入と国政壟断、キム・ゴンヒ女史による株価操作疑惑などにも、司法的審判を下さなければならない。検察や高級官僚などの内乱擁護行為についても、責任を問わなければならない。国会が選出した憲法裁判官3人の任命を拒否し、憲法裁の正常な運営を阻害したハン・ドクス大統領権限代行とチェ・サンモク経済副首相の違憲行為を、そのまま見過ごしてはならない。検察・司法システムの改革の必要性も忘れてはならない。
さらに、米国のドナルド・トランプ政権の関税圧力など、内外の国民生活・通商・安全保障の危機にも力を入れなければならない。60日以内に早期大統領選が行われるだろうが、そのときまで、国政の空白を放置してはならない。政界と行政府が、「内乱事態」で疲弊した国民の生活を適切に見直すことこそ、これまで国民に犯した誤りを少しでも減らすことができる道だ。
尹錫悦罷免は政治改革の機会を開いた。戒厳は尹錫悦個人の暴走だったが、帝王的大統領に対する国民的な疑問がよりいっそう強まった。大統領選とあわせて、多種多様な改憲議論が出てくるだろう。6月初めに行われる早期大統領選は、内乱清算と政治改革を通じて、新しい大韓民国を設計し、ビジョンを競う場にならなければならない。遅れても間違いなく春は来るように、われわれは苦痛と傷をいやし、明日へと進むだろう。
(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2025-04-04 18:35