goo blog サービス終了のお知らせ 

三重県木本で虐殺された朝鮮人労働者の追悼碑を建立する会と紀州鉱山の真実を明らかにする会

三重県木本で虐殺された朝鮮人労働者の追悼碑を建立する会と紀州鉱山の真実を明らかにする会

「関東大震災での朝鮮人虐殺、1千年たってもなかったことにはならない」

2025年04月02日 | 国民国家日本の侵略犯罪
「The Hankyoreh」 2025-04-02 10:05
■「関東大震災での朝鮮人虐殺、1千年たってもなかったことにはならない」
 日本の劇団「温泉ドラゴン」30日まで 
 「関東大震災朝鮮人虐殺」がテーマの演劇「痕、婚、」公演 
 劇団代表兼演出のシライケイタさん 
 「朝鮮人虐殺めぐる集団心理劇」 
 脚本の原田ゆうさん「今こそ差別の歴史を深く考える時」

【写真】劇団温泉ドラゴンの代表で、演劇「痕、婚、」の演出も務めるシライケイタさん(左)と、脚本の原田ゆうさん(右)が先月22日、東京都中野区の小劇場「ザ・ポケット」でインタビューに応じている=東京/ホン・ソクジェ特派員//ハンギョレ新聞社

 「あの時、『十五円五十銭と言ってみろ』と言った声があなたと同じでした」。
 22日、東京都中野区の小劇場「ザ・ポケット」を埋め尽くした観客たちは、主人公木下麻子の台詞に息をのんだ。麻子は1925年、東京のとある町に、自分が「朝鮮人パク・キョンエ」であることを隠して洋服店の裁縫職人として住み込みで働く。彼女は町の住民たちに溶け込み、洋服屋の主人、石崎と結婚まで約束した。だが彼女はまもなく、2年前の1923年9月1日の関東大震災における朝鮮人大虐殺事件で、自警団に自分の恋人「ヨンテク」が殺害されていたことを知る。優しい顔で、麻子だけでなく同じ町に住む朝鮮人たちにも親切にしていた日本人住民たちが、2年前には自警団の朝鮮人虐殺に加担していた。
 彼女は、隣人として共に暮らしていた人々に「自分たちがヨンテクを殺したことを認めてください」という言葉を苦しげに繰り返す。しかし町の人々は「大地震の時、警察に『朝鮮人が暴動を起こしたから、発見したら殴り殺してもかまわない』と言われたことに従っただけ」だと言い、「国を守るという使命感から命をかけたのだ」と逆に強く反論した。ある人は「あの時、私たちの町に朝鮮人はいなかった」と真実を否定した。またある人は「この話も日本人だとうそをついていた麻子がでっち上げたものだ」と非難した。劇場のあちこちから観客の深いため息が漏れた。
 しかし、地元紙記者の沖が2年前の事件を書いた過去の記事を見つけ出したことで、真実が明らかになる。麻子と結婚を約束していた石崎は「私たちがその人を殺しました。申し訳ない。本当に申し訳ない」と言ってひざまずく。町で教師をしている和子は涙ながらにこう語る。「文明国だというのは見かけに過ぎず、私たちはまだ野蛮人だということが大震災の時にあらわになったのよ。冷静な思考力が持てず、残虐さを発揮してしまった。ここで麻子のせいにして、私たちは何の反省もなしにまた同じことを繰り返すの?」 恋人を失ったショックで朝鮮語を失っていたパク・キョンエは、暗くなりゆく最後の照明の中でこう絶叫する。「ヨンテク!こっちにおいで、こっちにおいで。私はここにいるよ」。
 日本の劇団「温泉ドラゴン」が3月20~30日におこなっている演劇公演「痕、婚、」は、1923年に日本で起きた関東大震災での朝鮮人虐殺を素材にしている。その年の9月1日午前11時58分、マグニチュード7.9の地震により東京をはじめとする日本の首都圏一帯が焦土と化した。10万人あまりの日本人が死亡した中、日本人自警団や軍、警察などによって数千人の朝鮮人が虐殺された。「朝鮮人が井戸に毒を入れた」、「暴動を起こした」などのデマが広がり、労働者として働いていた朝鮮人が逃げ場もなく残酷に殺された。しかし、虐殺に責任のある日本政府は謝罪を避けている。

【写真】東京都中野区の小劇場「ザ・スクエア」で公演中の演劇「痕、婚、」の一場面=温泉ドラゴン提供//ハンギョレ新聞社

 劇団温泉ドラゴンの代表で、演出を務めたシライケイタさんはハンギョレに、「1千年という時間が流れても、実在したことがなかったことにはならない」として、「今回の芝居は100年以上前の朝鮮人虐殺をめぐる集団心理についてのものであり、人間の深いところに眠っている残虐さが行動へと変わる瞬間についてのもの」だと説明した。シライケイタさんは以前にも、明成皇后殺害事件を扱った「ある王妃の死」、抗日運動家の朴烈(パク・ヨル)と日本人の金子文子の愛を描いた「烈々と燃え散りし あの花かんざしよ」、植民地支配に抵抗した詩人尹東柱(ユン・ドンジュ)の人生を描いた創作劇「星をかすめる風」などの脚本と演出を手掛け、自国の舞台に上げるなど、韓国と格別な縁を結んでいる。今回の作品の公演について「関東大震災での虐殺事件を見れば、日本人がアジア諸国の人々に対して抱いてきた『選民意識』がどのように形成されてきたのか、またそもそも人間にどのように『差別』という感情が内在しているのかを考えることができると思う」と語った。

【写真】「痕、婚、」の一場面=温泉ドラゴン提供//ハンギョレ新聞社

 脚本の原田ゆうさんは「『歴史はそもそもそんな風に繰り返されるもの』だと言う人もいるかもしれないが、今こそ差別の歴史がどのようにはじまり、対立へとつながるのか、考えることをやめてはならない時」だと述べた。原田さんは「20年前にも関東大震災での朝鮮人虐殺を素材に脚本を書いて公演したことがある」として、「それから毎年、9月1日ごろに横浜で開かれる関東大震災朝鮮人犠牲者追悼式に参加している」と語った。

東京/ホン・ソクジェ特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2025-03-25 18:52
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「検察総長の娘の採用、韓国外交部「特恵なかった」と主張するが…高まる批判」

2025年04月02日 | 韓国で
「The Hankyoreh」 2025-04-01 09:57
■検察総長の娘の採用、韓国外交部「特恵なかった」と主張するが…高まる批判
 受験資格は経済分野の修士学位以上 
 再公告時はS氏の専攻へと変更

【写真】シム・ウジョン検察総長が3月11日午前、ソウル瑞草区の最高検察庁に出勤している/聯合ニュース

 外交部がシム・ウジョン検察総長の娘(S氏)を公務職(非公務員)の研究員として採用した際に、「採用再公告時には受験者に不利に変更してはならない」とする採用手続き法とその関連規定に違反していたと指摘する声が31日にあがった。外交部は連日「特恵はなかった」と反論しているが、特恵採用批判は逆に拡大しつつある。
 この日、共に民主党のハン・ジョンエ議員室が国民権益委員会から提出を受けた「行政機関内の非公務員(公務職)公正採用のための方策(公正採用ガイドライン)」を確認したところ、権益委は、再公告時に「採用公告の内容を受験者に不利に変更してはならない」と明示している。政府機関が民間人を採用する際に必ず従わなければならない「採用手続きの公正化に関する法律(採用手続き法)」にも同じ規定がある。
 外交部は今年1月、公務職研究員の採用を公告した際に、「経済分野の修士学位所持者」を受験資格として掲げていた。ところが1カ月後に再公告した際には、受験資格をS氏の専攻である「国際政治分野の修士学位所持者」へと変更した。外交部は「受験可能対象を広げる」ことを意図したものだったと説明するが、結果的に1回目の公告時に志願できた人は2度目の公告の際には受験資格さえ得られないようにしたうえで、S氏に有利な環境を作っていた。
 外交部は採用公告を変更した際、人事企画官室と書面で協議するにとどまっているが、これも権益委の公正採用ガイドラインに反する。公正採用ガイドラインには「やむを得ず公告内容を変更する場合は、採用関連の審議機関などの内部統制手続き」を経るよう明示されている。この「審議機関」とは内部の決裁ラインではなく、公正さが確保された独立機関を意味する。人事企画官室は人事の実務部署であり、審議・議決権を持つ機関だとはみなし難い。
 外交部がS氏の大学院での研究補助員活動と国連傘下機関でのインターンシップ期間をすべて「経歴」と認めたことについても、やはり批判の声があがっている。公正採用ガイドラインは公務職採用時の経歴算定について、4大保険への加入履歴や所得金額の証明などで金銭的補償を受けていたことが立証されている場合も、勤務期間や時間が不明であれば審議会で認定範囲を決めることとしている。
 S氏が提出した「経歴」にあるソウル大学国際学研究所の研究補助員は、指導教授の学術行事などを支援するものであり、報酬や決まった出退勤時間もない助教役だった。また、国連傘下機関でのインターンシップ時代はコロナ禍中だったため、かなりの期間を在宅勤務で過ごしていたという。外交部は「書類選考試験委員会が経歴を認めるかどうかを審議したうえで決定を下した」と前日に明かしているが、公正採用ガイドラインどおりならS氏の経歴がすべて認められるかは疑問が残る。
 一方、国会外交統一委員会に所属する民主党の議員はこの日、国会で記者会見を行い、S氏の採用は特恵ではないとする外交部の主張は「釈明ではなく詭弁(きべん)」だと批判した。

シン・ヒョンチョル記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2025-03-31 17:52
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「無念にもBC級戦犯になった朝鮮人、日本はなぜ補償しないのか」

2025年04月02日 | 国民国家日本の侵略犯罪
「The Hankyoreh」 2025-04-02 15:02
■「無念にもBC級戦犯になった朝鮮人、日本はなぜ補償しないのか」
 朝鮮人BC級戦犯被害者の会「同進会」結成70年

【写真】朝鮮人BC級戦犯問題を研究し同進会の活動を支援してきた恵泉女学園大学の内海愛子名誉教授(左)と同進会の朴来洪会長(中央)が1日、衆議院第二議員会館で開かれた「『同進会』70年の歩みを聞く会」で発言している//ハンギョレ新聞社

 「無念にも『BC級戦犯』になった朝鮮人たちに、日本はなぜ補償しないのですか」。
 1日、ハンギョレの取材を受けた朴来洪(パク・ネホン)会長はこう述べた。朴会長は、第2次世界大戦が終わった後、朝鮮人でありながらも「日本軍のBC級戦犯」として処罰を受けた故・朴昌浩(パク・チャンホ)さんの息子だ。同進会はこの日、東京の衆議院で「『同進会』70年の歩みを聞き、外国籍BC級戦犯者問題の早期立法解決を願う集い」を開催し、「日本の軍属として戦争に動員され、『戦犯』となった朝鮮の青年たちは、死刑となったり服役したりした」として、「日本政府はなぜこの問題に目をつぶるのか」と訴えた。
 朴会長の父親のように「朝鮮人BC級戦犯」たちが烙印を押されて生涯を過ごしたのは、日本の植民地強制動員政策によるものだった。第2次世界大戦の最中だった1942年、日本は東南アジア戦線で連戦連勝して、多くの連合軍捕虜を捕らえた。日本の軍部は、日本人軍属の手間を減らすために、最前線の捕虜監視員として植民地朝鮮の青年3000人以上を動員した。戦争が終わると、彼らは捕虜監視員から戦争犯罪人になった。連合国による軍事裁判では、日本軍BC級戦犯は5700人近くに達したが、それには朝鮮人148人(23人死刑)が含まれた。このうち、朝鮮人捕虜監視員だけでも129人だった。非人道的な捕虜政策を作り、朝鮮人に捕虜監視を強要したのは日本の軍部だったが、戦争後、日本政府は彼らの責任を負わなかった。
 悲劇はこれで終わりではなかった。祖国から彼らは「対日協力者」「戦争犯罪者」として非難された。戦犯刑務所から釈放された後も、故郷に戻れなかった。しかも日本は、彼らを1952年のサンフランシスコ平和条約に伴い「日本国籍を喪失した」という理由で、福祉や援助の対象から除外した。遠い異国の地での生活苦のために、自殺したり精神病棟で最期を迎えたりする事例もあった。「朝鮮人戦犯」の一部と遺族ら70人あまりは、1955年に「同進会」を結成した。最後の朝鮮人BC級戦犯被害者だった同進会の李鶴来(イ・ハンネ)前会長は、生前に出した著書『韓国人元BC級戦犯の訴え: 何のために、誰のために』で、「私の頭の中には、死んだ同僚たち、特に死刑囚がいます。故郷を離れて日本軍の捕虜政策の末端を務め、『日本軍戦犯』になって死んでいった同僚たちの無念を少しでも晴らすことが、生き残った私の責務」だと訴えた。
 同進会は、日本政府に援助と補償を要求したが、「1965年の韓日協定で賠償はすべて終わった」という回答しか返ってこなかった。1991年11月には日本政府を相手取り、「戦犯」となったことに対して謝罪と賠償を求める訴訟を起こした。しかし、7年がかりの裁判は最高裁で「朝鮮人戦犯のための法律がない」という趣旨で棄却された。最高裁は、上告人は「いずれも我が国の統治下にあった朝鮮の出身者であり、昭和一七年ころ、半ば強制的に俘虜監視員に応募させられ」「死刑の執行を受け」「長期間にわたって拘禁されるなど、深刻かつ甚大な犠牲ないし損害を被った」としながらも、この問題は「立法府の裁量的判断にゆだねられたものと解するのが相当」だと判断した。
 最大野党の民主党が2008年に関連法案を提出したが、国会の関門を越えることはできなかった。日本では岸田文雄前首相(2021年)と石破茂首相(2024年)宛に、韓国では尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領(2022年)宛にそれぞれ嘆願書を提出したが、応答はなかった。2021年、韓国の憲法裁判所では、彼らが「韓国政府が韓国人戦犯問題を解決しないのは違憲」だとして韓国政府を相手取り起こした不作為違憲確認訴訟で、裁判官たちが5(却下)対4(違憲)の意見で却下を決めた。立憲民主党の泉健太前代表はこの日の集いに参加し、「国家(日本)の指示と命令に従って戦犯になった方々に補償して謝罪するのは当然のこと」だと述べた。
 2021年に前会長が亡くなったことで、同進会には被害当事者が1人もいなくなった。この日結成70年を迎えた同進会は「被害者救済のための法を制定し、当事者と遺族を救済することで、『日本は人権後進国』だという汚名を、遅ればせながらもそそぐことを望む」と要求した。

東京/文・写真 ホン・ソクジェ特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2025-04-01 16:17


「The Hankyoreh」 2025-03-28 07:24
■「日本政府、関東大震災朝鮮人虐殺を謝罪せよ」歴史研究に尽力した山田昭次教授が死去

【写真】2008年8月9日、東京都千代田区で行われた「朝鮮人犠牲者追悼シンポジウム」で講演する故人/共同・聯合ニュース、韓民族センター(https://www.koreancenter.or.kr)より

 1923年の関東大地震時に発生した朝鮮人大虐殺に関する歴史的事実の解明に尽力した立教大学の山田昭次名誉教授が15日、誤嚥性肺炎で死去した。朝日新聞が27日報じた。享年95。
 埼玉県で生まれた故人は1953年に立教大学文学部史学科を卒業し、1962~1995年に母校で講義を行った。1964年に韓日会談反対運動に参加したことで、本格的に在日コリアンと過去事の問題に関心を持ち始めたという。
 2003年には著書『関東大震災時の朝鮮人虐殺:その国家責任と民衆責任』を出した。著書は当時の関東大震災朝鮮人虐殺に関する資料をほとんど網羅しており、この問題に関する実証的研究の最高峰という評価を受けた。特に、日本の警察や内務省、陸軍などの公文書資料だけでなく、過去の新聞、調査、団体などの資料をもとに、6000人以上が死亡した当時の虐殺事件を正確に記録した。山田教授はその年の朝鮮新報とのインタビューで「朝鮮人虐殺事件から80年が経つが、日本政府はいまだに事件に関する調査結果も発表せず、謝罪も行っていない」として、「歴史研究家、日本の市民として、その後、事件をあいまいにしてきた責任を追及することはできる」と述べたりもした。独立運動家の朴烈(パク・ヨル)烈士の妻であり、天皇制に抵抗し23歳っで獄中自殺した日本人女性アナーキストの悲劇的な人生を追跡した著書『金子文子:自己・天皇制国家・朝鮮人』も出した。
 故人は北朝鮮問題についても積極的だった。2001年に発刊した著書『日朝条約への市民提言』で、北朝鮮に対して韓国は「太陽政策」を掲げ米国は「ペリー報告書」を提示しているのに、日本だけは日朝問題に対する対処が活発ではないと指摘した。さらに、山田教授は、日朝国交正常化のための方向性を提案したりもした。この他にも、山田教授は第2次世界大戦時の被害国である朝鮮と中国の視線と観点で書いた『植民地支配・戦争・戦後の責任:朝鮮・中国への視点の模索』『近現代史のなかの日本と朝鮮』『朝鮮人戦時労働動員』などの著書を通じて、朝鮮半島問題を深く掘り下げた。故人はまた、1970年代初期に「在日同胞スパイ団事件」で拘束された徐勝(ソ・スン)、徐俊植(ソ・ジュンシク)兄弟の救援活動を行うなど、韓国との特別な縁を持ち続けてきた。

東京/ホン・ソクジェ特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2025-03-28 00:37
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「憲法裁は4日の弾劾審判宣告で、憲法に基づき尹大統領を罷免せよ」

2025年04月02日 | 韓国で
「The Hankyoreh」 2025-04-02 07:06
■【社説】憲法裁は4日の弾劾審判宣告で、憲法に基づき尹大統領を罷免せよ

【写真】尹錫悦大統領弾劾審判の宣告期日を3日後に控えた1日午後、ソウル鍾路区の憲法裁判所の入り口の様子=キム・ヨンウォン記者//ハンギョレ新聞社

 憲法裁判所が4日午前11時、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の弾劾審判の決定を言い渡す。12・3非常戒厳以降4カ月が過ぎてから宣告が行われることになった。あまりにも長く待たされた。内乱の夜に驚き、憤った市民たちは、長い間日常を失い、内乱の影響で苦しんできた。内乱首謀者の尹錫悦大統領が逮捕状の執行を物理力で阻止した末に逮捕・拘束された後、法と常識に反して釈放される姿まで見守らなければならなかった。憲法裁の言い渡しがいつ出るかもわからず先送りされたことで、不眠の夜が深まり、亡国の不安と恐怖まで頭をもたげた。今からでも憲法裁が宣告期日を決めたのは不幸中の幸いだ。もはや全員一致の罷免言い渡しで憲政の危機を終わらせ、民主共和国、大韓民国の新たな出発を宣言することだけが残った。
 「12・3内乱」の違憲・違法性はあまりにも明らかだ。憲法と法律上の要件に合わない非常戒厳の宣布、違憲的内容の戒厳布告令第1号の発表、軍と警察を動員した国会と選挙管理委員会の侵奪、主要人物に対する不法逮捕の指示など、訴追理由一つ一つが大統領の罷免だけでは済まないほどの重大な憲政破壊行為だ。証拠もあふれている。戒厳宣布の場面と布告令を全国民が見守った。ヘリに乗った空輸部隊が国会を強襲する場面も生中継された。憲法裁弁論過程で「国会議員を引きずり出せ」という指示、政治家などの逮捕を指示したという肉声の証言も出てきた。尹大統領自ら「国防部長官に戒厳軍を選挙管理委員会に送るよう指示した」と自白した。もはや「法理」を問う段階ではない。
 憲法裁が弾劾の認容ではない他の選択をするとは、常識的にも論理的にも考えられない。だが、万が一そのようなことが起きれば、大韓民国という共同体が直面する状況は亡国的災いだ。軍を動員して民主的な政治過程を押さえつけた非常戒厳に免罪符が与えられ、第2の戒厳の可能性が常に存在することになる。英誌エコノミストの「2024民主主義指数」で、韓国は「完全な民主主義」から「欠陥のある民主主義」に転落した。尹大統領が復帰することになれば、「独裁国家」に墜落するのは時間の問題だ。その後は「指数の低下」にとどまらない。市民の平和な日常はもとより、命まで脅かされる凄惨な日々が繰り広げられるだろう。非常戒厳以降のきわどい経済状況も急速に危機局面に入るだろう。宣告期日の発表直後、証券市場が急騰し、ドルに対するウォンの価値が上昇傾向に転じたのはそれを物語っている。事あるごとに自由民主主義を叫んでおきながら、自ら民主主義を根こそぎ覆す親衛クーデターを起こした尹大統領が復帰すれば、外交舞台では後進国の独裁者のように扱われるだろう。
 憲政守護という至高な責務を与えられた憲法裁判官が、これらすべての事情を知らないはずがない。それでも合理的な説明が不可能なほど宣告が遅れてきたことには、常軌を逸した内部の意見の相違があったと見るほかはない。一部の裁判官が内乱勢力の政治的理解を代弁し、宣告をわざと遅延させたのではないかという疑念まで台頭した。事実かどうかは別として、憲法裁はその地位に致命的な損傷を与える事態を自ら招いた。もはや憲法裁が憲法の最後の砦という本分を守り、国民の信頼を回復するためには、全員一致で尹大統領の罷免を言い渡す道しかない。裁判官たちが皆、他でもなく憲法の命令に忠実に従っていることを、4日の決定文でみられるよう国民は願っている。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2025-04-01 18:37 


「The Hankyoreh」 2025-04-02 08:46
■憲法裁、弁論終結から38日後に終止符…法曹界の見通しでは「弾劾認容」が有力

【写真】尹錫悦大統領弾劾審判の宣告期日を3日後に控えた1日午後、ソウル鍾路区の憲法裁判所の入り口の様子=キム・ヨンウォン記者//ハンギョレ新聞社

 歴代の大統領弾劾事件の中で審理期間が最も長い尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領弾劾事件の結論が、4日午前11時に出ることになった。弁論終結から評議だけに1カ月以上費やした憲法裁判所が、長い間熟議を経て結論を出すわけだが、法曹界では「弾劾認容」が有力視されている。
 憲法裁判所は1日午前10時、裁判官評議を開いた。記者団に宣告日が通知されたのは午前10時40分頃。憲法裁は前日にも午前10時から一般事件と共に尹大統領弾劾事件の評議を進めたが、すでにある程度意見がまとまった状態でこの日評決を行い、結論を下したものとみられる。
 憲法裁は2月25日の尹大統領事件の最終弁論後、週末を除きほぼ毎日裁判官評議を行ってきた。当初は、以前の大統領たちの弾劾事件の結論が最後の弁論から2週間後に出たように、尹大統領事件も同様に3月の第2週には結論が出るものと予想された。12・3非常戒厳の違憲・違法性が明確で、憲法裁の弁論で関連証言も多数出てきたためだ。朴槿恵(パク・クネ)元大統領の事件より争点も簡単であるため、以前より遅くない時点で結論が出るだろうと法曹界は予測していた。
 ところが憲法裁は、尹大統領事件を審理する間に、チェ・ジェヘ監査院長、イ・チャンス・ソウル中央地検長、ハン・ドクス首相の弾劾事件の棄却決定を言い渡した。27日には一般事件の宣告も行われた。これを受け、裁判官らの意見が一致せず、尹大統領事件を憲法裁が最優先に処理できないのではという分析が出た。認容定足数の6人を満たせず、1〜2人が足りない状態という懸念も続いた。憲法裁の内部事情を知る元判事は1日、ハンギョレの電話インタビューで、「裁判官の意見がまとまらず、2人の裁判官(ムン・ヒョンベ憲法裁判所長権限代行とイ・ミソン裁判官)の退任日の4月18日まで、結論を出せないかもしれないという懸念とともに評議が進められたという」と伝えた。
 このような苦戦の末に裁判官たちはある程度意見をまとめ、2人の裁判官の退任日2週間前の4日に決定宣告をすることになったものとみられる。裁判官の意見がまとまっていない状況だったなら、両裁判官が退任して憲法裁が不能状態になる時期まで評議を続けた可能性が高い。朴元大統領弾劾事件当時、憲法研究官タスクフォース(TF)として働いた経験のある法曹人は、「朴元大統領事件の時も、研究官らは裁判官1~2人は棄却意見を書くと予想されたが、詰めの評決で全員一致認容の結論が出た」とし、「裁判官らが意見一致のために長い間評議を続け、終盤に意見を一致させられたのかもしれない」と語った。ある元裁判官は「認容か棄却かの結論はある程度出た状態で、一部の裁判官が別個・補充意見を書くために宣告が遅れた可能性もある」と伝えた。裁判官たちはこの日、評決を終えたが、決定文の文言の微調整などのため、2日も午前10時から評議を続けることにした。
 法曹界は大方「尹大統領罷免」を予想するとともに、求めている。元憲法研究官のノ・ヒボム弁護士は「憲法裁判所の存在理由と裁判官の憲法的責務・使命の観点からして、憲法秩序を破壊した犯罪者に罷免決定を宣告せざるをえない」と語った。「憲政回復のための憲法学者会議」は同日、声明を発表し、「裁判官は憲法と法律によってその良心に従い独立して審判しなければならない憲法的地位に立脚し、全員一致の決定で大統領尹錫悦を罷免すると信じて疑わない」とし、「万一、憲法裁がこのような重大な時代的使命に逆らい、憲政守護者の責務を放棄する結論に到達するなら、主権者国民の峻厳な審判の対象に転落しうることを肝に銘じなければならない」と述べた。

オ・ヨンソ記者loveletter@hani.co.kr(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1190075.html
韓国語原文入力: 2025-04-02 01:12


「The Hankyoreh」 2025-04-02 10:09
■「権力型性暴力」容疑者の死、被害者にとってはさらに大きな苦痛=韓国

【写真】2023年12月14日午後、釜山鎮区の赤十字会館で開かれた釜山フォーラムで、チャン・ジェウォン国会議員が特別講演をしている/聯合ニュース

 韓国の与党「国民の力」のチャン・ジェウォン前議員が、釜山(プサン)のある大学の副総長だった頃、秘書に性的暴行を加えた容疑(準強姦致傷)で警察の捜査を受けていたところ、突然死亡した。権力型性暴力容疑者が自殺する事件が再び発生したのだ。このような状況が、公訴時効を控え苦渋の決断として告訴に踏み切った被害者の権利回復を難しくするという懸念の声が高まっている。
 チャン前議員は3月31日午後11時40分頃、ソウル江東区のあるオフィステルで遺体で発見された。元秘書のA氏の法律代理人であるキム・ジェリョン弁護士(法務法人オンセサン)が報道資料を通じて、2015年11月の事件発生当時の具体的な情況と、告訴をするまでの9年間にわたる被害者の苦痛を述べた直後だった。この資料によると、「被害者は事件後、精神科的症状により入院治療および心理相談を受けており、その過程でこのような症状が性暴力被害に起因することを知り、これ以上人生が疲弊することを防ぎ、加害者に対する厳重な法の審判を求めるため」告訴を決断したという。
 容疑者の死は、苦渋の決断として告訴した被害者に否定的な影響を及ぼす可能性が高い。性暴力被害者の相談を受けてきた心理カウンセラーのLさんは1日、ハンギョレに「(自分が相談を担当した3件のうち)いつでも被害者に暴力を行使できる親密な関係にあった被疑者が死亡した場合、1人は脅威から抜け出したことに安堵したが、他の2人は加害者の自殺でそれぞれあまりにも大きな罪悪感、怒りを感じるなど、性暴力によるトラウマがさらにひどくなった」と語った。似たような状況に置かれたパク・ウォンスン元ソウル市長の性暴力事件の被害者は著書『私は被害を訴える人ではありません』で、「骨が割られ、肉がずたずたに裂けられる気がした。私という存在が早くこの世から消えることだけが残ったようだった」と当時の心情を綴った。
 チャン前議員が死亡したことで、捜査も中断される見通しだ。通常、捜査機関は被疑者が死亡した時に捜査を進めず、公訴権なしを理由に不送致、または不起訴処分にするためだ。ソウル警察庁の関係者は、被疑者の死亡処理状況を考え、検討を経て、事件をどのように処理するかを判断する方針を示した。「民主社会のための弁護士会」(民弁)女性人権委員会所属のパク・スジン弁護士は「加害者は(死を)名誉を守るための最後の選択だと言うかもしれないが、被害者にとっては最後に勇気を振り絞って選んだ被害救済、真実究明の権利も再び加害者によって剥奪される結果」だと指摘した。
 キム・ジェリョン弁護士による報道資料によれば、告訴に至るまで9年がかかったことについて、「事件が発生した2015年、被害事実を打ち明けた教授から『通報すればチャン前議員が自殺するかもしれない』という趣旨の話を聞くなど我慢するように言われ、自暴自棄になり、2018年に記者に会った際には現職の国会議員を告訴した場合の(報復に対する)恐れから、2022年にキム弁護士を訪ねて相談をした際には釜山地域に住む家族まで被害を受けるかもしれないという恐れから、告訴できなかった」という。
 「女性現実研究所」のクォン・キム・ヒョニョン所長は「権力型性暴行の特徴は、権力を持つ個人が死んでもその権力を作った構造が維持され、引き続き影響を及ぼし、被害者に威力を行使する点」だと指摘する。捜査が終結してしまえば、犯罪事実を明確に明らかにすることが難しく、被害の回復に困難をきたすだけでなく、被害を疑われるなど2次被害にさらされやすい。
 このような理由から、被疑者の死亡後に捜査を終結する慣行を見直す必要があるという意見もある。2022年当時、ソウル瑞草警察署のチョン・ダヨン警部補と警察大学のハン・ミンギョン教授が発表した論文「被疑者の死亡を理由にした公訴権なし捜査終結慣行に対する考察」によると、「被害者だけが生存した状態で捜査を続けるのは被疑者の防御権が保障されないことから、公平性をめぐる議論は避けられないが、これによる損害が被害者に発生してはならない」とし、2次被害が予想される状況や、被害者あるいは被疑者側が捜査状況の公開を要請する制限的な状況で捜査を継続することを提案した。

パク・ヒョンジョン、イ・ジヘ、チョン・インソン、パク・コウン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力: 2025-04-01 20:15


「The Hankyoreh」 2025-04-02 07:41
■国会弾劾訴追から111日でついに言い渡し…与野党「憲法裁による期日指定」歓迎

【写真】尹錫悦大統領の弾劾審判の言い渡しを3日後に控えた1日午後、ソウル鍾路区の憲法裁判所の入り口が警察の車壁とバリケードで塞がれている=キム・ヨンウォン記者//ハンギョレ新聞社

 憲法裁判所が今月4日午前11時に尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の弾劾審判の決定を言い渡す。12・3非常戒厳宣布から122日、昨年12月14日に国会で弾劾訴追案が可決されてから111日で、ついに結論が出る。言い渡しが遅れていたことで評議が難航しているという懸念が膨らんでいたが、言い渡し日の指定により、ムン・ヒョンベ憲法裁判所長権限代行とイ・ミソン裁判官が退任する今月18日になっても結論が出せないという最悪の状況は避けられることになった。
 憲法裁は1日、「2024年憲ナ8 大統領(尹錫悦)弾劾事件に対する宣告が4月4日金曜日午前11時、憲法裁の大審判廷で行われる予定」だとして、「宣告期日には放送局の生中継と一般人の傍聴が許される」と発表した。尹大統領の弾劾の言い渡しは、2月25日の弁論終結から数えても38日かかったことになる。憲法裁は弁論終結後、盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領(14日)、朴槿恵(パク・クネ)元大統領(11日)の弾劾審判の2倍を超える時間を審理に費やし、その期間は過去最長となった。
 憲法裁は前日に続き、1日も午前10時から評議を行い、約40分後に言い渡し期日をメディアに公示した。憲法裁はこれに先立ち、尹大統領と国会にも言い渡し期日を通知した。この日の評議で言い渡し日程を確定したとみられる。憲法裁が4日の言い渡しで6人以上の裁判官が弾劾訴追案を認容すれば、尹大統領は直ちに罷免されるが、そうなった場合は言い渡し日から60日目の6月3日(火曜日)が早期大統領選挙の投票日となることが有力視される。しかし認容が6人に達しなければ、尹大統領は職務に復帰することになる。
 与野党はひとまず、憲法裁の言い渡し日指定を歓迎した。与党「国民の力」のクォン・ソンドン院内代表は1日、記者団に「憲法裁が早期に期日を定めたことについて幸いだと考え、歓迎する」として、「国民の力は憲法裁の判決に服する。憲法裁判決後、与野党など政界は国民の対立を緩和し、国民統合の先頭に立つべきだ」と述べた。野党「共に民主党」のチョ・スンネ首席報道担当はブリーフィングで、「憲法裁には主権者国民の意思を重く受け止めてもらいたい」として、「憲法裁は内乱首魁(しゅかい)尹錫悦の罷免を通じて民主共和国の国体と国憲を守るという断固たる意志を示すはずだと信じる」と述べた。
 市民社会団体は、全員一致による尹大統領の罷免を求めた。1700あまりの市民社会団体からなる尹錫悦即時退陣・社会大改革非常行動は、「憲政破壊の状況がこれ以上長引かないというのは不幸中の幸い」だとして、「今や残されているのは憲法裁による罷免宣告だけだ。憲法裁は内乱首魁尹錫悦を8:0の全員一致判決で罷免せよ」と述べた。

キム・ジウン、チョン・グァンジュン、キ・ミンド、イ・ジヘ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2025-04-01 18:32


「The Hankyoreh」 2025-04-01 10:03
■政治の両極化の真の主犯【コラム】
 ソーシャルメディアは、極右勢力の隆盛と政治の両極化の主犯とされてきた。ソーシャルメディアを通じて信念や関心事の類似する人同士が情報を共有し党派的見解を強めることで、政治の両極化が深刻化し、民主主義も揺らぐ。しかし、ソーシャルメディアとインターネットをほとんど使わない高齢層の方が両極化が深刻だったという研究などが紹介されたことで、政治の両極化は考えられているよりはるかに複雑な現象であることが明らかになりつつある。
 ソーシャルメディアと政治の両極化についての仮説は、大きく3つに分けられる。1つ目は、プラットフォームがソーシャルメディア利用者の関心事に合ったコンテンツを選び出して提供することで、利用者の情報受容に偏向が発生するという「フィルターバブル」仮説だ。利用者がプラットフォームに長くとどまればとどまるほど企業の利益は大きくなるため、関心をつかむために怒り、嫌悪、恐怖を誘発する極端なコンテンツが勢いを増すとともに、自分と同じ考えを持つ集団の意見やニュースばかりを見るようになるという「フィルターバブル」が生じるということで、プラットフォームの責任を強調するものだ。
 2つ目は、確証バイアスのような人間の認知能力の限界に注目するアプローチだ。人間は認知能力の限界のせいで真実そのものを把握することが難しい。また認知の過程では、資源を最小化するという特性のせいで確証バイアスに陥りやすい。実際に、アルゴリズムが変更され、相手陣営の主張などの多様なコンテンツにさらされた際にも、利用者の政治的態度は変わらなかったという研究結果もある。「エコーチェンバー効果」と呼ばれるこの理論によると、自身の意見が誤っている可能性があることを受け入れる、利用者の省察の態度が重要だ。
 近ごろは、他人の視線を意識し、認められたいと思う人間本来の欲望が、ソーシャルメディアで行われる政治判断の過程にどのような影響を及ぼすのかについての研究が注目を集めている。個人の政治的判断は真空状態では行われず、普遍的で一般的な視点を思い浮かべながら政治的意見をまとめていく。だが、フェイスブックのようなソーシャルメディアは「いいね」の数、「フォロワー」の数、「共有」の数などによって社会的に認められる過程をゲームのようにしている。より多くの「いいね」を得た時、社会的地位が上昇しているような錯覚に陥る。その結果、参加の質、共感、社会の深みのような価値観は消え去る。
 フェイスブックの「いいね」は、フェイスブックを世界最大のソーシャルメディア企業へと押し上げた。アルゴリズムの透明性に劣らず、「いいね」などのように社会的に認められることをゲーム化しているインターフェースの改善が求められている、という主張が力を得る理由はここにある。

ハン・グィヨン|人とデジタル研究所所長 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2025-03-31 16:04


「The Hankyoreh」 2025-03-31 07:48
■文前大統領「戒厳内乱の狂気の原型、済州4・3から見出せる」
 ハンギョレのホ・ホジュン記者が書いた  
 『4・3、19470301-19540921 長い沈黙の外へ』をSNSで推薦

【写真】文在寅前大統領が2月7日午後、慶尚南道梁山市平山村の自宅でハンギョレと単独インタビューに応じている=カン・チャングァン先任記者//ハンギョレ新聞社

 文在寅(ムン・ジェイン)前大統領が30日、「今回の戒厳内乱が赤裸々に示したような、軍事力で考え方の異なる人々を絶滅させようとする狂気と野蛮の原型を、済州4・3(事件)から見出せる」と述べた。
 文前大統領はこの日フェイスブックへの投稿で、「済州4・3の日を迎えるにあたり、歴史を教えてくれる本」として、ハンギョレのホ・ホジュン先任記者が書いた『4・3、19470301-19540921 長い沈黙の外へ』を推薦した。
文前大統領は「国がこのような状況だから、なかなか本を読む気にならない」としながらも、「しかし、私たちは4・3をきちんと知って記憶することを止めてはならない」と述べた。 それと共に「国家暴力が行った最も大きな悲劇であり、まだ清算されず続いている歴史であるため」とし、「清算されていない歴史は代々受け継がれるもの」だと強調した。
さらに「著者は7年間の取材と生存犠牲者、遺族、目撃者のインタビューをもとに、国際的冷戦体制と南北分断の産物である4・3の時代的背景と性格から、発生原因と展開、米軍政の役割、虐殺の責任者と生き残った人々の話、特に最も苦められた女性たちの話、済州全域とオルレギル(路地)に残っている悲劇の跡、これまで続いている真相究明と名誉回復、 特別再審と個別補償まで、私たちが知るべき4・3の真実を企画記事を書き上げるようにまとめた」とし、「済州4・3をきちんと知るのに最適な本」だと書いた。
 文前大統領は「この本を読んで、済州を訪れる時、いまだに残っているその痕跡を少しでも思い出すことができれば、4・3犠牲者たちと済州島民たちに大きな慰めになるだろう」と締めくくっている。

チョン・ギョンソク記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2025-03-3101:03


「ハンギョレ」 2025-03-31 07:59
■「憲法裁判官の任命遅延は『さらなる戒厳の画策』」韓国最大野党、任命期限を最終通告

【写真】共に民主党のパク・チャンデ院内代表が30日午前、国会で記者懇談会を開き、ハン・ドクス大統領権限代行首相にマ・ウンヒョク憲法裁判官候補の任命を求めている=ユン・ウンシク記者//ハンギョレ新聞社

韓国の最大野党「共に民主党」は、ハン・ドクス大統領権限代行首相のマ・ウンヒョク憲法裁判官候補の任命拒否について、「尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の復帰に向けた陰謀」であり、「さらなる戒厳の画策」だとし、「重大な決断を下す」と述べた。 民主党がハン権限代行に示した「任命期限」は4月1日。
パク・チャンデ院内代表は30日、国会で記者懇談会を開き、「(ハン権限代行の)マ・ウンヒョク候補の任命拒否は、2人(ムン・ヒョンベ、イ・ミソン)の裁判官が退任した後、大統領が指名する2人の憲法裁判官を任命し、『弾劾棄却』決定に導こうとする工作だ」とし、「『尹錫悦の復帰に向けた陰謀』であり、『さらなる戒厳の画策』だ」と述べた。 さらに「ハン権限代行が4月1日までに憲法守護の責務を履行しなければ、民主党は重大な決断を下す」と語った。 再びハン権限代行に対する弾劾に乗り出すという意味だ。
民主党は4月第1週金曜日の4日を尹大統領罷免宣告の期限に設定している。 党関係者は「(この期限を越えたら)国会はあらゆる権限を使うことになるだろう」と語った。 その「権限」には後任者が指名されない状態で任期が満了する憲法裁判官の場合、任期を延長する案を法制化することも含まれている。 民主党はこのような内容を盛り込んだ憲法裁判所法改正案を31日の法制司法委員会法案審査小委員会と4月1日の法司委全体会議で議決する方針だ。
民主党指導部はただし、一部の初当選議員が主張しているような、マ候補者を任命するまで国務委員を次々と弾劾するという「国務委員連続全員弾劾」は否定した。 パク院内代表は「(連続全員弾核の)実行計画については検討していない」と述べた。 院内指導部関係者は「(全員弾劾は)状況を変えられる実益もなく、国民にも良い印象を与えない」と述べた。
民主党の「ツートップ」は相反するトーンで憲法裁に迅速な罷免決定を求めた。 パク院内代表は「(憲法裁判官が)尹錫悦の罷免ではなく、国を破滅に導く決定を下すなら、新乙巳五賊(1905年の第2次韓日協約に賛同した大韓帝国の5人の閣僚)として歴史に汚名を残すだろう」と主張した。 一方、イ・ジェミョン代表は同日、フェイスブックへの投稿で、「憲法裁判官の皆さんもまた大韓民国の運命を決めるこの重大な局面で、宇宙全体の重さほど重責を背負って不眠の夜を過ごし、苦心を重ねていると考えられる」としたうえで、「速かに国民皆のための賢明な決定をしてくださるよう求める」と述べた。 できるだけ穏健で落ち着いた表現で、憲法裁に「圧力」を加える形を避けながら、尹大統領の早急な罷免を求めたものとみられる。

キ・ミンド記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/1189698.html
韓国語原文入力:2025-03-30 20:37


「ハンギョレ」 2025-03-31 07:32
■審判官と刀を握る者に握られた保守政党が民主主義を殺す
 [ソン・ハニョン先任記者の政治舞台裏] 

 保守政党を掌握した法曹人、政治の司法化にアクセル 
 元裁判官イ・フェチャン「元検事の尹錫悦」民主主義を否定 
 キム・ギヒョン、ナ・ギョンウォン、チュ・ジヌ、破棄自判要求で「イ・ジェミョン殺し」

【写真】ハン・ドクス大統領権限代行首相が3月28日、国立大田顕忠院で開かれた第10回西海守護の日記念式で、共に民主党のパク・チャンデ院内代表とあいさつを交わしている=大統領室写真記者団//ハンギョレ新聞社

 人間は貪欲な動物です。ライバルを排除するためには手段と方法を選びません。解放直後、韓国では政治家の暗殺やテロ、暴力が横行しました。野蛮の時代でした。
 独裁者とクーデター勢力は政敵を殺害しました。李承晩(イ・スンマン)大統領は大統領選挙のライバルだった進歩党のチョ・ボンアム党首を死刑にしました。司法殺人でした。
 1961年にクーデターで政権を握った朴正煕(パク・チョンヒ)少将は、民族日報のチョ・ヨンス社長を軍事裁判にかけ、死刑にしました。司法殺人でした。朴正熙大統領は、1971年の大統領選の対立候補だった金大中(キム・デジュン)元議員を拉致して殺そうとしました。1974年に人革党再建委事件を発表し、最高裁判決からわずか18時間後に8人を死刑にしました。司法殺人でした。
 1980年に5・18で政権を握った全斗煥(チョン・ドゥファン)も、金大中元議員を内乱罪で逮捕し、死刑にしようとしました。1987年の民主化以降、ようやく野蛮の時代と司法殺人の時代は終わりました。いや、そう思っていました。違いました。
 軍人たちが退いた空間を法曹人たちが埋めたこどで問題が生じました。法曹人は過去を裁断する人間です。是非を判断して決めることにたけています。白黒論理や善悪二分法に陥りやすいのです。
 判事は審判官です。判事を長くやっていると、自分のことを無謬(むびゅう)の裁断者だと錯覚し、人をやたらと審判しだす傾向があります。検事は刀を握る者です。勝利欲が強い。検事を長くやっていると、人を潜在的な犯罪者と見なすようになる傾向があります。
 1996年4月11日の第15代総選挙を前に、金泳三(キム・ヨンサム)元大統領はイ・フェチャン元首相を新韓国党の選対委の議長に起用しました。1997年には代表に起用しています。自分の後継者にと考えていたのです。
 しかし、イ・フェチャン代表は法曹人の限界を超えられませんでした。大統領候補にはなったものの、息子の兵役問題で支持率が下がりました。焦った彼は「金大中秘密資金事件」を主張しました。当時は、政治資金については互いに触れないという不文律がありました。既成の政治家ではなかったイ・フェチャン候補は、政治資金を犯罪と認識しました。彼が後日まとめた回顧録には、このように書いてあります。
 「徹夜で悩んだ私は、結局、様々な利害打算をやめ、私が抱いてきた一つの原則、すなわち何が正義なのかをもって決断することにした。資料通りなら、金大中総裁のこのような秘密資金の造成と管理は正しいことではなかった」。
 「いくら政界とはいえ、このような偽りと偽善が通じないようにすることこそ正義だと判断した」。

【写真】イ・フェチャン回顧録//ハンギョレ新聞社

 イ・フェチャン候補なりの「正義の決断」は、金泳三大統領がキム・テジョン検察総長に捜査の留保を指示したことで制されました。そんなイ・フェチャン総裁自身は、2002年の大統領選挙を前に、大企業から巨額の現金を積んだ車を丸ごと供与されるという、いわゆる「トラック事件」を引き起こしました。「正義の決断」は偽善だったのです。
 いずれにせよ、イ・フェチャン候補によるDJ秘密資金事件の暴露は、はじまりに過ぎませんでした。1996年の第16代総選挙から主に保守政党を通じて国会に流れ込んだ法曹人たちは、政治に頻繁に司法的物差しを当てました。何かと検察に告訴告発し、裁判所に提訴しました。政治の司法化が急速に進みました。その分だけ政治の領域が狭くなるという、悪循環の沼に陥りました。
 このような流れに乗ってトップにまで上り詰めた人物こそ、まさに尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領です。彼は反政治主義者です。総選挙で惨敗すると、非常戒厳を選択しました。
 親衛クーデターを起こして失敗したなら、大統領職を辞すことこそ正しい道です。しかし、真っ赤なうそを並べ立てて粘っています。薄っぺらな法律の知識を用いて監獄から釈放され、今や憲法裁判所の棄却・却下決定を期待しています。良心のまったくない恥知らずのようです。
 このような中、民主党のイ・ジェミョン代表が選挙法違反事件の控訴審で無罪を言い渡されました。判決内容を見ればわかりますが、そもそも検察の起訴が無理なものでした。にもかかわらず、国民の力は控訴審の担当法廷に人身攻撃とイデオロギー的レッテル貼りをしています。国民の力は保守政党です。保守が裁判所を直接攻撃するのは自己否定です。
 それだけではありません。キム・ギヒョン議員とナ・ギョンウォン議員は3月28日に相次いで記者会見を行い、最高裁にイ・ジェミョン代表の選挙法違反事件を「破棄自判」するよう求めました。国民の力の法律諮問委員長を務めるチュ・ジヌ議員も、3月27日の非常対策委員会で同じことを主張しています。
 3月29日付の朝鮮日報は「最高裁はこの事件を自ら裁判し、有・無罪の確定を」と見出しを付けた社説を掲載し、彼らの主張を後押ししました。破棄自判とはどのようなものでしょうか。刑事訴訟法396条は次のように規定しています。
 「上告法廷は、原審判決を破棄した場合、その訴訟の記録と、原審法廷と第一審法廷が調査した証拠によって判決するに足ると認めた時は、被告事件について自ら判決することができる」
 一審と二審は事実審であり、最高裁判所の裁判は法律審です。原審判決が誤っていると判断すれば、最高裁は破棄して差し戻します。破棄自判することはほぼありません。
 イ・ジェミョン代表が無罪だと最高裁が判断すれば、上告を棄却すればそれで終わりです。有罪と判断したら破棄して差し戻し、裁判をやり直させればよいのです。国民の力と朝鮮日報による破棄自判要求は、イ・ジェミョン代表の有罪と被選挙権の剥奪を前提とするものです。
 一体どうしてこのようなことをしているのでしょうか。イ・ジェミョン代表の早期大統領選への出馬を阻止するためです。最も有力な大統領候補であるイ・ジェミョン代表の政治生命を絶ってほしいと最高裁に請うているのです。一種の殺人依頼です。法治を大義名分として主権在民、民主主義の原理を否定しているのです。成功するでしょうか。最高裁判所の判断にかかっています。
 キム・ギヒョン議員とナ・ギョンウォン議員は元判事です。チュ・ジヌ議員は検事時代に「尹錫悦師団」の一員でしたし、尹錫悦大統領の法律秘書官も務めました。
 国民の力には、彼ら以外にも法曹出身者が非常に多く存在します。クォン・ヨンセ非常対策委員長、クォン・ソンドン院内代表、大邱市(テグシ)のホン・ジュンピョ市長、ハン・ドンフン前代表が元検事です。
 法曹人が保守政党を掌握することの最大の弊害は、やはり政治の司法化を加速させるということです。
 政治の司法化はなぜいけないのでしょうか。民主主義を破壊するからです。国民の代表を選出する大統領選挙や国会議員選挙は民主主義の要です。にもかかわらず、イ・フェチャン総裁は検察による捜査で大統領選をひっくり返そうとしました。尹錫悦大統領は総選挙の結果を認めず、国会を解散しようとしました。

【写真】『民主主義の死に方』韓国版//ハンギョレ新聞社

 米国のスティーブン・レビツキーとダニエル・ジブラットの書いた『民主主義の死に方』という本があります。二人は、民主主義が崩壊した様々な国のケーススタディーから、民主主義崩壊の兆しを示すいくつかのシグナルを見つけました。「候補の選別という役割を投げ捨てた政党」、「ライバルを敵と見なす政治家」、「メディアを攻撃する選出された指導者」などです。
 結局のところ、民主主義を守るのは憲法や法律のような「制度」ではなく、相互寛容や制度的自制のような「規範」だというのが同書の結論です。尹錫悦大統領の非常戒厳とその後に起こる一連の事態を予想して書いたのかと思えるほどです。
 韓国のメディアも政治の司法化に警告を発しています。イ・ジェミョン代表の控訴審での無罪判決の翌朝、東亜日報の社説には「与野党は『政治の司法化』止揚し国政の混乱収拾に尽力を」という小見出しがついていました。中央日報もその翌日の社説に、「与野党、相手に承服要求しながら気に入らなければ不服」、「対立調整能力を失った政治の司法化が生んだ悲喜劇」という小見出しをつけました。

【写真】尹錫悦大統領が2024年12月3日夜、非常戒厳を宣布している=テレビ映像より//ハンギョレ新聞社

 まとめます。政治の司法化は、法曹出身者による法治を大義名分とする民主主義の破壊です。止めなければなりません。どうやって止めればよいのでしょうか。
 第一に、国民抵抗権の発動です。韓国には1960年の4・19革命、1987年の6月抗争、2016~2017年のろうそく革命という、誇るべき歴史があります。もし法曹人が民主主義を破壊したら、国民は立ち上がって彼らを追い出さなければなりません。
 第二に、「レクス・タリオニス(報復法)」です。目には目を、歯には歯をです。12・3非常戒厳は尹錫悦大統領が自身の権限を最大限に利用したクーデターでした。
 国会は野党が多数を占めています。ハン・ドクス首相をはじめとする国務委員を全員弾劾訴追し、行政府をまひさせることが可能です。大統領権限代行がいなければ、国会は法律を意のままに制定し、国会議長は法律を公布することができます。
 もちろん望ましい方策ではありません。今は憲法裁判所が速やかに尹錫悦大統領を罷免し、早期大統領選挙を行うのが最善です。あるいは、尹錫悦大統領が今すぐ大統領職を辞するという方法もあります。大韓民国を守るためです。みなさんはどうお考えですか。

ソン・ハニョン|政治部先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2025-03-30 09:35


「The Hankyoreh」 2025-03-29 07:04
■憲政堕落の時代を終わらせるためには【寄稿】=韓国
 キム・チョン・ヒウォン|米国アリゾナ州立大学教授

【写真】24日ソウル市鍾路区の憲法裁判所の前で、与党「国民の力」のキム・ジョンジェ議員らと最大野党「共に民主党」の関係者らがそれぞれ尹錫悦大統領弾劾反対と賛成のデモを行っている/聯合ニュース

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の当選とともに心配事が増えていった。憲法裁判所の所長と裁判官の全員が彼の任期中に交替させられるとは。憲法裁判官の構成が及ぼす長期的な影響を考えれば、不安感は並大抵のものではなかった。いったいどうして、時計がこのように合わさってしまったのだろうか。国家人権委員会も人事の混乱によって性格が急変したが、憲法裁判所ははたして安全だろうか。9人の裁判官のうち3人は大統領が任命し、3人は最高裁長官が指名した後、大統領が任命する。これらの者たちは、国会の承認議決がなくても大統領が任命すれば、ただちに任期を始める。残りの3人は国会が選出する。手続きがこうであるため、天秤の重心が移ることは明白だった。
 もちろん、尹錫悦大統領が弾劾されれば、このようなことは起きないだろう。しかし、私たちの不安感は、より根本的な問題を意味している。米国の憲法学者ジャック・バルキンが「憲法的時間の周期」と呼んだ問題だ。もし、憲法がつねに一貫して解釈され、適用されるのであれば、憲法裁判官の構成は何か問題になるだろうか。誰が任命されようが中立的に解釈するはずだ。しかし、バルキンによると、憲法的時間の周期は保守と進歩のスペクトルに従って動く。絶望的なことに、彼は2つの周期が政権・政党の興亡と連動していると説明するが、つねにそうだとは限らないと信じている。
 バルキンは私たちに3つの質問を投げかける。「憲法裁判所」を代入してみることもできる。1つ目に、あなたは、司法府がその権力を活用して憲法を解釈して判決を下す方式に同意するか、あるいは、司法府の権力はより統制されるべきだと考えるか。2つ目は、あなたは、司法府は憲法に誠実に従う推論をもとに決定を下すと考えるか、あるいは、法の名のもとで論理を組み立てて政治的偏向を介入させていると考えるか。3つ目は、あなたは、憲法的原則を守るために、司法府は政治過剰を防ぐべきだと考えるか、あるいは、司法府はエリート的かつ非民主的であり、民意を反映できないため、意思決定は政治に任せるべきだと考えるか。
 あなたの答えはどうだろうか。もちろん正解はない。しかし、一つ明らかな点は、現時点では、人々の答えが明確に分かれるということだ。同じ事件をめぐり人々の答えは彼らの政治的立場によって両極端に向かうだろう。与党「国民の力」は弾劾棄却を主張し、最大野党「共に民主党」は弾劾容認を求めるように。戒厳が憲法的に正当な統治行為だと信じている人たちと、戒厳は当然違憲だと信じる人たちが、互いに一歩も引かないように。私たちははたして。激怒せずに対話することができるのだろうか。大韓民国の国民は現在、深刻に分裂している。
 このような分裂があるのは、韓国社会に政治が存在していないためだ。巨大両党が政治ではなく政争に没頭し、相互に暴力を扇動するのだから、人々の分裂と憎しみは当然ではないだろうか。国会は合意形成の能力を喪失したまま、力比べの場に転落し、各政党の支持者は極端な結果に感情的な刺激を受け、よりいっそう怒りをつのらせている。そして、政治的立場によって、事案の有利不利によって、司法府に対する態度も同様に変わる。これらの人たちは、自身の信念に反する宣告結果を決して認めないだろう。
 さらに重要なのは、政治の不在が司法府の機能自体に影響を与えていることだ。政治的交渉が消え、分極化が激化すれば、司法機関も憲法を守る意志と能力を失うからだ。憲法精神や法治よりも政治的利害が先行し、政治的対立が尖鋭なほど、負担はさらに重くなる。裁判官が政治的対立と党派争いをめぐり対立する可能性が高まり、政権の政策基調を意識することになる。法理と手続きに対する解釈も、政治指向によって変わることになりうる。つまり、私たちが憲法裁判官の構成を心配して不安に感じるのは、結局のところ、熟考と交渉を可能にする成熟した政治が存在していないためだ。
 各種の政治的要求を突きつける両党の暴走を制御できず、最小限の規範が軽く無視され、相反する結論を下したとして敵を罵倒する社会では、司法府はまともに機能できない。極端な対立が消え、様々な政党の声が尊重され、公益のために党派を越えた合意を引き出すべきだ。それでこそ、司法府が政治路線に振り回されることなく、権力の顔色をうかがわずにすむ。憲政堕落の時代を終わらせるためには、政治の回復が切実に求められる。憲法が政治を後押しするように、政治も憲法を守らなければならない。

キム・チョン・ヒウォン|米国アリゾナ州立大学教授 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2025-03-26 19:08


「The Hankyoreh」 2025-03-27 09:31
■【社説】韓国最大野党代表、選挙法違反裁判で無罪、「政治検察」の起訴が有罪だ

【写真】共に民主党のイ・ジェミョン代表が26日午前、ソウル瑞草区のソウル高等裁判所で開かれた公職選挙法違反の二審宣告公判のため、裁判所に移動している=写真共同取材団//ハンギョレ新聞社

 韓国の最大野党「共に民主党」のイ・ジェミョン代表が、公職選挙法違反事件の控訴審裁判で、無罪を言い渡された。懲役1年に執行猶予2年という一審の有罪判決が完全に覆された。尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権と一体となってイ代表を徹底的に捜査した検察は、異例にも落選した大統領選候補に狙いを定め、選挙法違反で起訴した。今回の判決で、このような検察の政治報復行為が有罪判決を受けたも同然だ。
 26日、ソウル高裁刑事6-2部(チェ・ウンジョン、イ・イェスル、チョン・ジェオ部長判事)は、イ・ジェミョン代表が大統領選挙当時、キム・ムンギ元城南(ソンナム)都市開発公社開発第1処長を「知らなかった」とした発言と、城南市柏ヒョン洞(ペクヒョンドン)の用途変更過程で「国土交通部から脅された」とした発言は、公職選挙法における虚偽事実の公表行為に該当しないと判決を下した。キム元処長関連発言はその人を知っているかどうかという「認識」に当たるものであり、「行為」に関する虚偽の発言を処罰するようにした公職選挙法の対象ではないとし、国土部関連発言は誇張されたものだが、虚偽とはみられないと判断した。検察の無理な起訴に、「自動販売機」のようにそれに応えた一審とは異なり、極めて常識的な判決だ。
 検察は一審裁判の過程で公職選挙法で「認識」を処罰できないという反論を受け、「交遊行為」という聞きなれない言葉を作り、公訴状を変更した。柏ヒョン洞関連の発言も、選挙運動期間ではなく、国政監査の途中に出た答弁を問題視したものだ。そもそも、検察が大統領選挙で落選した候補の選挙法違反の疑いをこのように執拗に捜査・起訴したこと自体が政治報復と言わざるを得ない。
 イ代表は現在、8件の事件で12件の容疑が持たれており、計5件の裁判にかけられている。イ代表の妻のキム・ヘギョン氏は法人カード10万4千ウォン(約1万645円)を使った容疑で起訴された。検察は捜査過程で数百回の家宅捜索を行い、別件のまた別件の捜査へとつなげた。柏ヒョン洞事件の場合、20年以上経った事件を掘り出したものだ。主要な証人に対する検察の司法取引疑惑まで持ち上がっている。イ代表に対する検察の捜査と起訴は膨大な規模と執拗さだけでも、類例のない政略的捜査・起訴として記録されるだろう。
 一方、検察は刑法上最も重大な犯罪である内乱首謀の被疑者を露骨に釈放し、(尹大統領夫人の)キム・ゴンヒ女史の明白な犯罪容疑には目をつぶっている。「国民の検察」ではなく、ひたすら「尹錫悦(ユン・ソクヨル)の検察」であることを自ら世界に暴露したわけだ。尹錫悦政権で克明に現れた検察の政治的・偏向的行動は、必ず応分の代償を払うことになるだろう。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力: 2025-03-26 18:37
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする