三重県木本で虐殺された朝鮮人労働者の追悼碑を建立する会と紀州鉱山の真実を明らかにする会

三重県木本で虐殺された朝鮮人労働者の追悼碑を建立する会と紀州鉱山の真実を明らかにする会

海南島における日本軍隊性奴隷制度と強制連行・強制労働 9

2011年05月25日 | 海南島史研究
五、今後の課題
②、「海南島戦時性暴力被害裁判」:名誉回復・損害賠償
 今回わたしたちがお会いした黄玉鳳さん、陳金玉さん、玉民さん、陳亜扁さんは、黄有良さん、林亜金さん、譚玉蓮さん、譚亜洞さんとともに、8人で、日本国を被告として、「名誉及び尊厳の回復のための謝罪」と「名誉及び尊厳の回復がなされてこなかったことにたいする賠償」を要求し、2001年7月に訴状を東京地裁に出した。
 陳亜扁さんと、黄有良さんは、2000年12月に東京で開催された女性国際戦犯法廷の原告であったが、出廷できなかった(陳亜扁ささんはビデオで証言)。
 2001年11月28日の「海南島戦時性暴力被害裁判」第1回口頭弁論のさい、原告のひとり黄有良さんは、
  「わたしがあのような性暴力を受けたのは、自分の意思ではなく、日本兵によって無理矢理だったのに、わたしの子どもたちまでが“お前の母親は慰安婦だった”と忌わしいことを言われ続けて辱められなければならなかったことは、親として耐えられないことだった。
   すべてを打ち明けて信頼して結婚した夫にまで、私の過去のことを非難され続けるのはとても辛く、死んでしまいたいと思ったことも何度もあった」
と証言した。
 「海南島戦時性暴力被害裁判」は、2003年1月22日の第6回、3月19日の第7回口頭弁論のあと、5月中旬から原告証言、証拠調べが開始される予定である。

③、朴来順氏ら海南島で日本軍隊性奴隷とされた女性すべての名誉回復

④、さらなる事実調査。海南島における日本の国家犯罪を明るみに!

⑤、民衆史としての海南島における抗日反日闘争史
 今回の調査のさい、舞鶴鎮守府第1特別陸戦隊の司令部があった那大(現、儋州)で、わたしたちは、「慰安所」の跡地に建てられた憺州市政府第2招待所に宿泊した。翌朝7時、わたしたちは、その中庭で、朝食中の年配の男性を見かけた。偶然であったが、その人は、わたしたちが会いたいと思っていた林良材さんだった。林良材さんは『儋州文史資料』に、那大の「慰安所」について書いている。
 林良材さん(1923年2月20日生まれ)は、
  「ここにあった‘慰安所’は、日本軍部隊が利用した。
   ‘慰安婦’は、はじめは十数名だったが、あとでは数十名になり、さらに多くなった。
   ‘慰安婦’がどこの人だったかは知らない。当時、‘慰安所’は知っていたがが、中のことはわからなかった。
    一昨年に亡くなったが、‘慰安所’で働いていた人がいて、その人から‘慰安所’の話を聞いた。
    那大に日本軍が入ってきたとき、自分は学生だった。
    海口にいた国民党の部隊に参加して、抗日運動をした。山にはいり、日本兵が通り過ぎるのを待ち伏せて攻撃したりした。
    われわれは、猟銃で戦った。
    日本軍から逃げてきた台湾人兵士やインド人をなんども助けた。
    インド人は労働者だった。助けた台湾人は18人。インド人は50人以上だった。
    インド人は武器を持っていなかったが、台湾人は銃を持って、それを高く掲げて、投降してきた」、
と話した。

 わたしたちは、今回の調査の最後の日(10月23日)、三亜市の自宅で羊杰臣さん(82歳)を訪ね、その夫人の張引穠さん(82歳)とともに話を聞いた。羊杰臣さんは、三亜地域の日本侵略史を長年調査している。筆者らは1998年6月、羊杰臣さんに、紅沙の「慰安所」に案内してもらったことがある。張引穠さんは、次のように証言した。
   「日本軍が入ってきたときは、結婚していた。
    住んでいた故郷の村で、女性たちが捕まっていくのを見た。
    わたしたちは捕まらないように、家族全員で山に隠れて住んだ。
    村にいた日本兵はあまり多くなかった。
    山に隠れて暮らしていたが、日本軍がいないすきに、ちょっと家に戻ることもあった。
    日本の兵士たちが村の女性をひざまづかせて、首を切って殺すのを見た。
    村人全員を座らせて、それを見せた。
    その女性の夫が県長で、夫は山に行って遊撃隊に加わったので殺されたと聞いた」。

 【写真】15 羊杰臣さんと張引穠さん。
 【写真】14 林良材さん。

 海南島では、証言する人も、調査する人も、年配の人たちは、日本の侵略の時代を生き抜いてきている。その時代は、反日・抗日闘争の時代でもあった。そして、それは、朝鮮民族においても同じであった。今後、海南島の人びととともに、侵略と抵抗の歴史を統一的にまた具体的に追及していきたい。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする