樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

樹木と知的財産権

2008年03月05日 | 木と文化
樹木にも知的財産権があるんですね。と言っても、自然に生えている樹ではないですが…。
例えば、大きなウメの実を収穫するために私が品種改良したとします。それを新品種として登録すれば、そのウメの知的財産権は私のもの。誰かがそのウメの枝をどこかで入手して勝手に接ぎ木で栽培すると、種苗法違反になります。
一般にはあまり関係ないように思えますが、例えば、誰かに珍しい色の花が咲くサクラの苗をもらったり、おいしい実がなるリンゴの苗をもらって育てた場合、それが新品種として登録されていたら、知らないうちに開発者の知的財産権を犯すことになります。
樹木だけでなく野菜や草花も同じですから、知らないうちに法律に違反している人が結構あるんじゃないでしょうか。人にもらった場合は、確かめようがないですが…。

       
            (うちの庭のウメは大丈夫かな~?)

植物の新品種を保護しようという動きは昔からあったようで、1833年にバチカン王国は「植物の品種改良を行った者には報酬を与える」という勅令を出したそうです。日本では昭和53年に品種登録制度が始まって、平成16年度までに累計で13,185件の新品種が登録されているそうです。
日本が品種改良した農産物がアジア諸国で勝手に栽培されているケースもたくさんあるようで、今後はアグリビジネスの世界で農産物の知的所有権争いが熾烈になってくるようです。
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きれいな木には毒がある

2008年03月03日 | 木と歌
アセビの花が咲き始めました。
この木には有毒成分があって、馬が食べると痙攣を起こしたり、場合によっては死ぬことから、国字ですが漢字では「馬酔木」と書きます。
現在では馬がアセビを食べて被害に遭うことはないでしょうが、昔はけっこうあったようで、「みま草を 心して刈れ 夏野なる 茂みのあせみ 枝まじるらし」、つまり「馬に食べさせる草を刈るときは、アセビが混じらないように注意しなさい」という和歌が残っています。

       
           (近くの花寺のアセビ。紅色の園芸品種)

もう一つおもしろい歌があります。アセビの名所・奈良の生駒山を詠んだもので、「神さぶる 生駒の山の あせみ花 さも心なき 咲きどころかな」。現代風に言えば、「生きた駒(=馬)という名前の山に、馬が死ぬアセビの花が咲くのはビミョ~」。13世紀の歌です。
アセビによる動物被害は海外にもあって、1979年にはカリフォルニアでアセビの野生種を羊が食べて、20頭が嘔吐と下痢、2頭が死亡するという事件があったそうです。
さらに、アセビの毒は人間にとっても危険らしく、昭和7年にアセビを使って一家毒殺が企てられたことがあったそうです。
くれぐれも眺めるだけにして、花や葉を口にないでくださいね。
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