樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

きれいな木には毒がある

2008年03月03日 | 木と歌
アセビの花が咲き始めました。
この木には有毒成分があって、馬が食べると痙攣を起こしたり、場合によっては死ぬことから、国字ですが漢字では「馬酔木」と書きます。
現在では馬がアセビを食べて被害に遭うことはないでしょうが、昔はけっこうあったようで、「みま草を 心して刈れ 夏野なる 茂みのあせみ 枝まじるらし」、つまり「馬に食べさせる草を刈るときは、アセビが混じらないように注意しなさい」という和歌が残っています。

       
           (近くの花寺のアセビ。紅色の園芸品種)

もう一つおもしろい歌があります。アセビの名所・奈良の生駒山を詠んだもので、「神さぶる 生駒の山の あせみ花 さも心なき 咲きどころかな」。現代風に言えば、「生きた駒(=馬)という名前の山に、馬が死ぬアセビの花が咲くのはビミョ~」。13世紀の歌です。
アセビによる動物被害は海外にもあって、1979年にはカリフォルニアでアセビの野生種を羊が食べて、20頭が嘔吐と下痢、2頭が死亡するという事件があったそうです。
さらに、アセビの毒は人間にとっても危険らしく、昭和7年にアセビを使って一家毒殺が企てられたことがあったそうです。
くれぐれも眺めるだけにして、花や葉を口にないでくださいね。
コメント (6)
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