樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

樹と水

2018年11月01日 | 樹木
最近読んだ本によると、ブナの成木は1日に500リットルの水を吸収するとのこと。一般的なサイズのお風呂のお湯が200リットルですから、その2,5倍です。
比較するのも何ですが、私は尿酸値が高くて医者から1日1リットルの水を飲むように指示されているので、その500倍です。


ブナの樹皮。この内側で500リットルの水が流れている

ツリーウォッチングを始めた頃、樹木はどうやって数十メートルもの高さまで水を吸い上げるのだろうと疑問でした。世界で最も高い樹は115.5メートルですから、ポンプもないのに、高層ビルの高さまで水を送っているわけです。
その頃に読んだ樹木の本には、導管の毛細管現象と葉から蒸散する吸引圧力で吸い上げると書いてあって、「なるほど」と納得していました。


水分を蒸発させるブナの葉

しかし、最近読んだ本には、「毛細管現象で吸い上げるのはせいぜい1メートル」、「葉による蒸散圧力説は、落葉中にも水が樹冠部に達する事実を説明できない」と書いてあって、私の頭の中にあった「樹と水」の常識はガラガラと崩れました。
この著者によると、樹がどうやって100メートルの高さまで水を吸い上げるのかは、まだ解明されていないそうです。
「樹と水」についてもう一つ、「氷点下になると樹体内の水が凍って導管が破裂し、樹が死ぬのではないか」という疑問がありました。これについては、「樹木は冬になると内部の水の糖分濃度を高めて氷点を上げる」という説明で、今のところは納得しています。
どこまで掘り下げても樹木は不思議です。だから面白いんですけどね。
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5 コメント

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Unknown (kazuyoo60)
2018-11-01 10:30:03
河川や湖沼などにあって比較的利用しやすい水は全体の0.01%と次のサイトです。
https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1418060244
少ない、1%と勘違いして覚えていました。その1/100だったなんて。なのに洪水も引き起こすのですから、これ以上大事で危険なものもありません。
ブナ林と呼ばれるところが貴重な場所は承知しています。1本で500リットル、凄い量ですね。
ブナ自身の冬場対策はちゃんとですね。井戸水のおかげで水道水は、散水にはほとんど使っていません。どちらにしても、水のおかげで植物も私も生きられます。
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kazuyo様 (fagus06)
2018-11-05 14:02:30
コメントを投稿したはずなのに、なぜか反映されていません。返信が遅くなって申し訳ありません。
植物にとっても人間にとっても、水は大切です。最近は、雨が降る時はまとまって豪雨になったりしますが、振らないときはダムが空っぽになることもあります。宇治でも6年前に洪水があって、ひどいことになりました。
庭に井戸があるのは心強いですね。災害で断水になっても心配ないですもんね。うらやましいです。
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ご教示ください。 (通りすがり)
2020-07-06 23:08:52
> 最近読んだ本によると、ブナの成木は1日に500リットルの水を吸収

通りすがりの者です。この本を読んでみたいのですが、表題を教えていただけないでしょうか。
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通りすがり様 (fagus06)
2020-07-07 10:49:50
お問い合わせをいただき、ありがとうございます。
私が読んだ本は、ドイツの森林管理官ペーター・ヴォールレーベンが書いた『樹木たちの知られざる生活』という本です。
ブナが500リットルの水を吸収するという話は52ページにあります。また、毛細管現象では1メートルしか吸わないという話は65ページの「謎めいた水輸送」に書いてあります。
面白い本ですよ。
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Unknown (通りすがり)
2020-07-08 21:44:25
ありがとうございます。読んでみます。
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