樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

しょくらとを

2013年02月14日 | 木と飲食
バレンタインデーに因んでカカオの話。
カカオ豆(正確には種)の現在の主産地はアフリカですが、原産地は中南米。コロンブスが持ち帰って以降、ヨーロッパでチョコレートが生まれたそうです。
その中南米では紀元前1000年頃すでにカカオ豆の栽培が行われていて、それを引き継いだマヤ文明ではカカオ豆を炒ってすりつぶし、お湯に溶かして飲んだ記録が残っているとのこと。
ヨーロッパに伝わった当初も、チョコレートは液体(今のココアのようなもの)として飲まれていたわけです。


宇治市植物公園の温室で成っていたカカオの実

カカオ豆は貴重品で、中南米では貨幣としても扱われ、兎1匹がカカオ豆10粒、よく働く奴隷が100粒で取り引きされていたとか。コロンブスが初めてカカオ豆に出会った時のことを、次男が次のように書き記しています。
「そのアーモンド(=カカオ豆)は彼らの間ではたいそう高価なものらしかった。いろいろな物資と一緒にこちらの船に移す際に、何粒かがこぼれ落ちると、まるで目玉でも落としたかのように、全員が大慌てで屈み込んで拾い上げていた」。


誰もくれないので自分で買いました。チョコレートといえばやっぱりコレでしょう

日本にチョコレートが伝わった時期は不明ですが、1797年の文献に「しょくらとを」という名前で登場し、「西洋人が持ってきた腎薬で、その塊りを削ってお湯に溶かし、卵と砂糖を加え、茶筅で泡立ててから服用すべし」と記されているそうです。
卵を入れたココア? 飲みたいとは思いませんが、当時は薬だったわけですね。
現在のようなお菓子としてのチョコレートを初めて見た日本人は、岩倉具視のようです。明治4~6年に欧米を視察した際、フランスでチョコレート工場を見学したことが史料に残っています。
そういえば、私も修学旅行だか社会見学で明治製菓のチョコレート工場を見学しました。もう50年も前ですが、その頃からMeiji Milk Chocolateはチョコレートの定番でした。
なお、「カカオとココアはどう違うか?」については以前の記事を覧ください。
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6 コメント

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バレンタインデー (ヒカルゲンジ)
2013-02-14 20:29:54
今日(2/14)宇治植物園に行ってきました。毎年この時期にハカカオノキ、ハート形の葉の植物などの展示をし、帰りにはフウセンカズラの種(ハート形の模様)プレゼントしてくれます。親族(妻、娘、孫)以外からはプレゼントをもらえなくなった私の楽しみでした。今年は新たにアイ(藍→愛?タデ科)の種をプレゼントしてくれました。植物園も色々客集め大変だな~。
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Unknown (guitarbird)
2013-02-14 22:03:09
こんばんわ
「ガーナ」チョコレートは移入種なわけですね(笑)。
甘すぎるものはなんですが、チョコレートが薬に近い感覚というのは、食べていてなんとなく分かる気がします。
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あっ、 (bulbul)
2013-02-15 07:25:09
明治製菓、見学、行ったいった、ビスケットの薫り充満の工場、懐かしいなぁ。
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ヒカルゲンジ様 (fagus06)
2013-02-15 07:58:50
そうでしたか。植物園はいろいろ企画していますね。涙ぐましい努力で、来園者を増やしています。
先日は確か、ヤマコウバシの葉を「落ちない葉」として受験合格のお守りにして配っていました。

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guitarbird様 (fagus06)
2013-02-15 08:02:37
そうなんです、ガーナチョコレートは移入種です(笑)。私も知りませんでした。
中南米の古代文化の中でも、王族たちしか口にできなかったようで、薬や精力剤として服用されていたそうです。
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bulbul様 (fagus06)
2013-02-15 08:05:58
行きました? 明治製菓の工場見学。確か、高槻市にある工場でした。
先ほど調べたら、現在も工場見学やっているようです。長いな~。私が行ったのはもう50年前です。
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