樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

日本のウイスキーを世界一にした木

2015年01月15日 | 木と飲食
昨年、サントリーのウイスキー「山崎」が、本場英国の「ウイスキー・バイブル2015」で“世界最高”と評価されました。他のコンテストでも日本のウイスキーが賞を総なめにしていて、輸出も5年前の2倍に伸びています。
その要因は、日本の水と樽の材料にあるようです。「山崎」の場合、水は千利休が着目したという、京都府と大阪府の境に位置する山崎の天然水。
そして、サントリーが主に使っている樽材は国産のミズナラ。「山崎」シリーズには、この樽材の名を冠した「山崎ミズナラ2014」という飲食店用の商品もあります。


ミズナラ材

サントリーによると、「ミズナラ樽原酒は白檀(びゃくだん)や伽羅(きゃら)を想わせるオリエンタルな香味が特長で、昨今では海外のブレンダーやウイスキーファンからも高い評価を受けています」とのこと。いわば、ミズナラが日本のウイスキーを世界一にしたわけです。
しかし、当初は樽には不向きだったそうです。戦争によってヨーロッパから樽材が輸入できなくなったため、しかたなく国産のミズナラを使用したものの、原酒が漏れやすく、材の選別や樽づくりは苦労の連続。しかも、木の香りが強すぎて、ミズナラ樽の原酒はほとんど評価されませんでした。
ところが、同じ樽を2回、3回と使い込むうちに、上記のビャクダンやキャラのような香りが加わって独特の味わいの原酒になったそうです。


ミズナラの実(ドングリ)と葉

ウイスキーの世界ではミズナラを「ジャパニーズオーク」と呼び、日本ウイスキーの香味を語るときのシンボルになっているとのこと。
私はサントリーファンなので若い頃は「白」や「角」を飲んでいましたが、現在はバーボン党。バーボンの樽材はジャパニーズオークと同じ仲間のホワイトオークですが、内側を焼き焦がして仕込みます。ビャクダンやキャラの香りはありませんが、チャコールの香りを楽しんでいます。
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2 コメント

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Unknown (guitarbird)
2015-01-15 13:58:58
こんにちわ
ミズナラはいちばん好きな木なので活躍した話を聞くのはうれしいです。
ミズナラの樽の端材で作ったボールペンを売っていましたが、芯が黒だけだったのでひとまず買いませんでした。

ウイスキーの樽といえば私はピーター・フォークを思い出します。
ずっと前にサントリーのCMに彼が出ていて、ウイスキーの樽の倉庫が写っていて、寝かせている間に樽からなくなる分を「天使の取り分」という、というやつだったと記憶していますが、そこに出ていたような、でも違う2つのCMを頭の中で勝手に合成しているだけかもしれない・・・
とにかく、ウイスキーだけでは思い出さないけれど、樽の画像を見たり樽の話を聞くとピーター・フォークを反射的に思い出します。

ちなみに私は大学生の頃ウイスキーを飲んでいましたがそのうち飲まなくなり、でも最近、私としては珍しく(笑)時流に乗り、ウイスキーはまた飲むようになりました。
山崎は高くてまだ飲んだことがないです。
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サントリーの (fagus06)
2015-01-16 08:14:35
樽に使われているミズナラはほとんどが北海道産らしいですよ。
私は樽材のボールペンを使っていて、かなり以前このブログでも記事にしたことがあります。

サントリーのそのCM、「天使の分け前」ですね。私も覚えています。TVCMだけでなく、新聞でも出ていました。
当時、私はコピーライターとしてサントリーの広告を目指していたので、そういう文学調の仕事に憧れました。

ピーター・フォークのは、バーテンダーに扮しているCMでしょう? 多分、「天使の分け前」とは別のシリーズだと思います。

そちらでもウイスキーの記事、上げておられましたね。「山崎」は高いですよね。私も飲んだことないです。
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