ライターの脳みそ

最近のマイブームはダム巡りと橋のユニークな親柱探し。ダムは目的地に過ぎず、ドライヴしたいだけ…。

恥から学んだこと(後)

2011-01-12 04:03:02 | 音楽あれこれ
その醜態を晒した数日後のことです。ある室内楽の演奏会に出かけたのですが、ワシの関心は無意識のうちに伴奏者へ向いていました。どうやったら上手な演奏ができるのだろうか…と。

その演奏のやり方を見ていたら、「なるほど!」と気づかされることがありました。

その伴奏者はいわゆる「譜めくり」を置かず、自分で楽譜をめくるスタイル。もっとも、「譜めくり」を同伴させようがさせまいが、それはどちらでもいいことなんですが、とにかくその人は自ら楽譜をめくっていました。たぶん、自分の思うようにめくれるからなのでしょう。

ただし、めくるという行為にはある種のリスクが伴うもの。つまりめくるために一瞬演奏から離れなければならないからです。また、ホールによっては空調が悪戯をすることもあります。あるホールなどは演奏中に空調の風が楽譜のページを戻してしまうこともあるんですよ。

そんな時、「譜めくり」がいればフォローしてもらえます。しかし「譜めくり」がいないとなるとそのリスクも考えながら演奏しなくてはなりません。

その日のホールは幸いにして空調が悪さをしないところだったので、ページが戻るトラブルはありませんでした。ところが、その伴奏者は演奏に集中しすぎて、ちゃんとページをめくれないことがしばしば。中途半端にめくるので何度もページが戻りそうになりました。

でも、この伴奏者はそんなことにはおかまいなし。そして驚くべきは「どう考えてももうめくらなくちゃいけないだろう」と思うのに全くめくる動作をしないことがよくあったことです。そして思い出したかのように楽譜をめくる…。

これは何を意味しているのでしょうか。そうです、この伴奏者は演奏する曲をほとんど暗譜しているんですね。だから楽譜をめくることに関して何らかのトラブルがあっても動じなかったわけです。譜面台に楽譜を置いていたのは、まあ確認する程度だったのでしょう。

本当に恥ずかしいことですが、こんな基礎的なことをワシはすっかり忘れていたのでした。数日前に講座で醜態を晒したのは暗譜するまで弾き込んでいなかったせいでもあったのです。ただ楽譜に書かれている音符を追っかけるだけ…。これじゃあロクな演奏にならないのも当然です。

何事もそうですが、やはり基本を忘れてはいけないですね。わかっていたつもりが、実は最も大切なことを見落としていた…。その意味で今回の醜態はワシにとっていい勉強になりました。
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