寒い話

2007-12-30 00:01:51 | MBAの意見
東北地方の農家がハウスの重油ドロボーを捕まえた話が報道されていた。90リットルといえば、1万円以下である。ハウス栽培では夜でも12度以下にはできないらしいが、残念ながら使った燃料代は野菜の価格に転嫁できないようだ。元々、ハウス農法は、燃料代が高くても地場物の旬をはずしたところで高価格で勝負する「裏道戦略」なので、ハウス農法自体が、今後行き詰るのだろうと思うが、まだそういう論説は見当たらない。エネルギー問題については近視眼の評論家ばかりだからだろう。

論説などという大げさな話の前に、軽四輪車の燃料タンクにはカギがついていないものが多く、灯油用のポンプにホースをつけて、ポリタンクに抜き取って盗む手口が復活したらしい。軽油はまだしも、ガソリンの場合、ビニールホースを液体が流れるだけで帯電していくので、火元がなくても着火大爆発になる可能性が数パーセントはある。絶対にやめた方がいい。自爆テロみたいな結果になるはずだ。色がオレンジや赤色系なのがガソリンなのだが、闇に紛れて盗みに入った場合、色を確かめるためにライターなど使ったらもう終わりだ。

話の格調をもう少し上げて、そういう方面の知人に聞いたところ、この重油や灯油は昨年から2割ほど需要が落ちているそうだ。ガソリンは数パーセントのマイナスだそうで、クルマの新車回転サイクル約8年の後には、同じくらいになるだろうとのことだ。


しかし、今年はやや寒い。灯油の需要が落ちた、ということは他のガスや電力にその分の需要がシフトしたのか、ということだが、特にそういう傾向は見られない、ということだそうだ。その人の話では、「ガマンしているらしい」ということだそうだ。

例えば、

1.老人は居間でテレビを観たりしないで、早く寝る。

2.各部屋ごとに暖房をつけないで、家族まとめて一部屋で過ごす(Wiiでもするのかな)。

3.古い薪ストーブを引っ張りだす。

というようなことらしい。


そして、嫌な話をもう一つ書くと、仮に灯油から電気やガスにシフトしたからといって、財布が楽になるのはしばしの間ということになる。電気の原料のうち、僅かな水力分を除けば、全部外国からの購入分。ウランだって、天然ガスだって、石炭だって原油に追随して上昇していく。現在のバランスを越えて発電量が増えれば、休止している石油火力が復活することになる。また、ガスにしたって同じだ。契約が長期か短期かという差で、いずれ上昇する。現に、主にLPGを使っているタクシーでも最近プリウスが増えている。

結局、この状況と言うのは、「原油が高くなり過ぎて、日本人が原油を買えなくなった」ということなのだろう。湾岸戦争で協力した数兆円や、シーレーン論や外相が中東歴訪したりしても、しょせん原油は今や世界で最も流通性の高い商品である。世界の誰でもがおカネで買える(というかおカネがなければ買えない)商品。バレル100ドルを吸収できる企業や個人が手に入れることができるわけだ。

つまり、原油確保のために取らなければならなかった最大の政策はGDP成長政策であったのだが、アジア各国に振り切られてしまったようだ。

しかし、もとより日本は先進国の中では温暖で土地は肥沃である(米国は別格)。高い石油を買わないことは、豊かになるための一つの道であるわけだから、遊休農地の有効活用や、省エネ型衣料品の開発などを政策的支援する必要があるだろう。一家1万円の燃料補助なんかばらまけば、小売価格への転嫁が進み、最終的には産油国が高価格に自信を持つだけだ。

そして、2007年は原油の高騰というところが噴出したのだが、2008年は穀物が吹くだろう。米、麦、コーン、大豆、・・一つはエタノール原料であり、さらに中国、インドといった米、麦主食地域の発展。すでに、肥料となる硫安は爆騰を始めている。農地開発は大変だが、肥料をつぎ込んで収穫量を増やすなら、単に経済性の問題である。

次に2009年になれば、牛肉問題になるのだろう。今は米国から、「買え!買え!」と圧力があるが、2年後には逆に、米国からの「輸出禁止」となっていてもおかしくない。もともと穀物を作って牛に食べさせるという飼育法は、単に麦を食するのに比べると7倍もエネルギーが必要なわけだ。

しかし、人類が肉食をやめれば、世界人口300億人だって食べていける、という計算があるようだが、そうなれば、もっと他の問題が爆発するのは間違いない。


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