ショスタコヴィッチ交響曲全曲演奏プロジェクト「第11、第12番」

2007-12-06 00:00:03 | 音楽(クラシック音楽他)



ショスタコヴィッチのことはよく知らなかった。もちろんソ連の作曲家であり、20世紀を代表する作曲家で、多数の交響曲を作っている。そして何曲かは聴いている。共産党政権と付かず離れずというスタンスだったと覚えていた。

そして、個人的には、「人類最後の交響曲作曲家」と思っていた。

ところが、愛読ブログの一つである「はろるど・わーど」さんのところで、このショスタコヴィッチ交響曲全曲演奏プロジェクトが行われていることを知っていた。場所は、勤務先のすぐ近くの日比谷公会堂。日比谷公園の中に、さまざまな歴史を抱えた古風なレンガつくりの建物が立つ。浅沼社会党委員長がテロルの犠牲になった会場でもある。はろるどさんのレポートを読むと、椅子がギシギシ鳴って、さらに狭いというようなことが書かれている。

さらに想像を膨らませれば、椅子のバネは曲がったり歪んだりして、座っているだけで足がしびれたり、エコノミークラス症候群になったりしそうだ。うっかり携帯電話を持っていくと、大失敗しそうでもある。そして寒そうだ。何しろ12月5日夜。

しかも、体調が悪い。病気というのではなく、通勤疲れ。何しろ、12月3日の朝は朝の東急電車が50分遅れる。朝の情報では「急病人救護」と車内放送されていたが、帰宅時の情報では、「救護」と「信号故障」とのダブルトラブルだったそうだ。最初は、病人に全責任を負わそうとしたのだろうか。そしてクタクタの翌4日は、人身事故で1時間20分遅れる。人身事故って自殺だろうか。「他人に迷惑をかけてグッドバイする」のが目的なのだろう。

ただでさえ、1時間も追加で立っているのは辛いが、満員電車ではなおさらだ。会場に行く前から背骨や足が痛い。しかも仕事では、長々と交渉していたアジア某国の会社との輸出契約が破綻。それも、契約書にすべて合意して、サインを送った後で、修正を言ってくる。韓国の野球監督と同じだ。既にサインした書類に効力をまったくないことを承認させなければならないが、こういうのが面倒なのだ。日本って周りがこういうルール違反国家ばかりなので苦労する。クリック&ドローで、どこかバルト海の方に列島ごと移転できないだろうか。

午前中にネットで当日券を3,300円で予約したものの、7時に間に合うだろうか。



そして、なんとか7時の開演に間に合いそうだ。指揮:井上道義で、演奏は名古屋フィルハーモニー交響楽団。交響曲は11番と12番。全部で15曲作曲したので、後期の作品ということだ。このプロジェクトは指揮:井上道義さんが共通で、いくつかのフィルを振るようになっている。そして11番と12番については井上さんがホームページで、親切にも、聴きどころを解説して下さっている。


【交響曲第11番 ト短調 作品103 「1905年」】
[凍るようなロシアの長編小説]
 良い演奏ならばこの曲はまるで時間を越えて凍るようなロシアの長編小説、長編歴史映画を見るような音絵巻だ。交響曲の世界は素晴らしい。殺されることなく2つの革命(第12番とともに)を経験できるのだから…。平和の時代に生きる事への罪の感覚が芽生えさえするのが恐ろしい。


【交響曲第12番 ニ短調 作品112 「1917年」】
[何が起こっても何も変わらない「世界」] この曲の中に音楽の流れをせき止める音が数回出てくるが、何の関係もない音形なのでロシア語の堪能な一柳さんに聞いてみた。数日して「スターリン」と読めると聞いた。なるほど! 彼が出てくればすべては止まる。息の根が止められる。
最終楽章は革命の後の「何も変わらない黄昏のような朝焼け」さ。それは我々も知っている。政権が変わっても首相が代わっても何も変わらない「世界」を。でも誰にでも希望は与えられている。この曲が15曲の中で一番出来が悪いという人が多いらしい。本当か?まあ聴いてください。

ところで、はろるどさんによると、12月1日のコンサートの時に、もっとも芸術性が高いといわれる「4番」の最終楽章の終結の直前に、「悲しいできごと」ことが起きたらしい。はっきり書かれていないので、何が起きたのかよくわからなかった。まさか「返せ!北方領土」とか「反体制派弾圧反対運動」とかではないかと思い、大急ぎでブログ周りをしてみると、「フライング拍手」だったらしい。それも、ずいぶんと前の部分から拍手があったらしく、指揮者の井上道義氏が手で制したのにやめなかった、ということらしい。愉快犯というか確信犯といった偏執的なものだったらしい。しかも、NHKのテレビカメラが入っていて、この演奏は、いずれ放送されるようなのだ。

もちろん、現代の技術をもってすれば、再生時に、この「フライング拍手」がなかったことにすることは可能なのだろうが、これも「他人に迷惑をかけてグッドバイする」人と同根なのだろうか。あるいは、12月4日の人身事故と同一人物だったりして(その場合、12月5日には会場には現れないわけだ)。


ところで、この「フライング拍手」だが、本当はみんな怖いわけだ。だいたい交響曲は普通は第4楽章までだが、第3楽章や第5楽章までのときがある。短い場合は問題はないが、第五楽章まである幻想交響曲の場合、第四楽章がそれらしく終わるため、いつも数人がパチパチする。指揮者は後ろ手ですかさず制して、直ちに第五楽章に突入するわけだ。

それで、個人的にショスタコビッチをあまり聞いたことがなく、かなり心配なので、事前に市販のCDジャケットを確認すると、両方とも第4楽章まであり、11番は約65分、12番は約40分と書かれていたので脳内短期記憶回路にインプットしておく。

もっとも、絶対失敗しない安全策というのがあって、それは、「最初に拍手しない」という方法なのである。付和雷同型。さらに、もっと安全度が高い方法があって、「絶対に拍手しない」ということなのだが、こうなると変人といわれることになる。

そして、このエントリ、会場に行く前の40分間でここまで書いたのだが、実際のコンサートは・・


そして今、コンサートから帰ってきたところだが、疲労の窮み状態なので、明晩、頭の整理をしてから続きを書くことにする。