遥かなる大地へ(1992年 映画)

2020-11-11 00:00:16 | 映画・演劇・Video
アイルランドから米国へ移民として渡った男女を描いた映画だ。

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アイルランド系アメリカ人は3600万人といわれている(国民の12%)。ただ、ずっとアイルランド出身者同士が結婚して出産しているわけではないので、各国出身者の合計は200%ぐらいになるのではないだろうか。

アイルランド系とされ、最近有名になった人物がいる。

ジョー・バイデン。

今でもバイデンより有名かもしれない政治家は、ジョン・F・ケネディかもしれない。調べてみると、オバマもアイルランド系だそうだ。

もっと調べてみて驚いたことがある。ケネディの先祖もバイデンの先祖もオバマの先祖も1849年に米国に渡っている。1845年から1850年にかけて、アイルランドではジャガイモ危機というのが起こっている。一つは世界で起きた天候不順による凶作(日本でも天明の飢饉)。英国の植民地であって、搾取されたこと、植民地時代にスコットランドから北アイルランドに移住したスコットランド人による搾取などの人為的要因がある。

当時100万人が餓死し、200万人が米国に渡ったと言われる。(20世紀前半までに800万人が移住したといわれる。当時は大きな土地を持つ地主と極貧の小作人によって農村は成り立っていたのだが、小作人は棺桶船と呼ばれるボロ船で米国に逃げ出し、結局、小作人が減って地主の生活も貧しくなって地主も資金をもって新天地アメリカをめざすことになる。ケネディ家の場合、よくわからないが住んでいた家が記念館として残るぐらいだから地主側の立場の移住だったかもしれない。バイデンとオバマの先祖は偶然にもどちらも靴職人。靴職人が金持ちとは思えない。しかしケネディ家は大黒柱の夫婦がコレラで亡くなり、残された少年が、ゼロからの出発で港湾労働者からスタートしたわけだ。


映画の方は、トム・クルーズ演じる小作人の息子は家賃滞納で地主によって家を燃やされてしまう。復讐のため、地主の暗殺に行って失敗してしまうのだが、その時に地主の娘(演:ニコール・キッドマン)と運命的な出会いがある。そして、映画的な都合で、二人で馬に乗って逃走。新しい土地を目指して米国に渡るわけだ。

その後、二人は無一文になったり、ボクシングで生計を立てたりして、(面倒なので、中略する)、ついにオクラホマ州で行われた開拓地の無償譲渡会に出場する。あらかじめ分割された土地に早い者勝ちで旗を建てた者が所有者になるという乱暴な制度だ。実は、これが行われたのは1892(93?)年ということ。映画上では1892年に米国に渡ったことになっている。

そして、駅馬車や馬、足で走る人などでスクリーンが盛り上げられ、最後は旗を立てることに成功したわけだ。

映画はそこで終わり新しい土地で二人は暮らし始めるのだが、忘れてはならないことがある。二人が手に入れた新しい土地は、その少し前に鉄道会社がインディアンから取り上げたものなのだ。