遠見の書割(ポラックコレクション)

2020-11-01 00:00:20 | 美術館・博物館・工芸品
東京駅丸の内口前にあるKITTEビルにあるインターメディアテクは東京大学の学術文化総合ミュージアムである。もう一つ本郷の校舎の方にある博物館の方が体系的な展示があって見やすいし、入り口から続く大量の日本人の過去からの頭蓋骨標本という垂涎のお宝もあるのだが、さすがに東京駅前の方には大量の頭蓋骨標本はないようだ。もっとも頭蓋骨のうちかなりは東京駅の近くにあった室町時代の公共墓地からの発掘品のはず。

さらに、渦中の真子さまは、この博物館の研究員になっているはず。もっとも立ち入り可能なエリアには受付の女性たちの姿しかないので、そっと近づいて確認したが別人だった。



今回の展示は『泥絵』。特に江戸の街を描いたものを『江戸系の泥絵』という。富士山と大名屋敷が構図に含まれているのが特徴だそうだ。ただし大名屋敷といっても、日本全国数百あった諸藩のすべてではなく水戸藩のような立派なものに限るようだ。

色調は、ぐっと暗いブルーを基調としている。江戸時代の途中で欧州で開発され長崎経由で輸入されていた「プルシアンブルー」という染料が使われる。この染料は泥絵に限らず北斎や広重が愛用し、日本名では「べろ藍」といわれている。ベルリンブルーの略だ。

さらに、国内で好まれたといっても、江戸ではなく地方の方だったそうだ。様々な理由で江戸と地方とはひっきりなく人の往復があった。いわば江戸の土産として都市の遠景(絵葉書)というべき存在だったのだろう。

そして明治維新により、泥絵は姿を消した。江戸の終焉である。



ところで、当ミュージアムでは定期的に『蓄音機音楽会』が開かれているようだ。行けなかったが10月25日には「ジャズサミット。ダンスという衝動」という出し物があったようだ。どうも20世紀前半の白人中心のジャズダンス文化を再現する企画だったそうだ。

「SPレコードの名盤」と「既に廃れたステップ」を楽しむ企画だが、20世紀前半に日本でジャズで踊った人が集まるとはとうてい思えないのだが、「廃れたステップ」をどうやって踊るのだろう。取材に行くべきかな。