私の票を盗んだのは誰?

2020-11-09 00:00:04 | 市民A
米国大統領選の開票結果は、周知のとおりローカル票で先行したトランプ候補だが、遅れて開票された都市部票とさらに遅れて到着した郵便投票でバイデン候補に逆転された。

まず全国の得票率だが、ほんの一部が開票されていない状況だが、バイデン50.65%、トランプ47.69%。ザックリいうと、基礎的な両党の固定的支持率は45%ずつとも言われるので、浮動票の獲得はバイデン5.65%、トランプ2.69%ということで、バイデンの方が2倍以上多い。

さらに、両者の合計は98.35%であり、100%ではない。その差のほとんどは、米国の三番目の政党であるリバタリアン党のジョー・ジョーゲンセン(Jo Jorgensen)候補が獲得している。この政党の基本政策は「個人の自由の追求」であり政府機関の縮小を目的にしている。つまり基本的には共和党に近いが、個別の政策では現実主義と妥協している(といっても政権政党じゃないので)。

2016年の選挙では3%以上の支持を得ていたが、今回は得票率を減らしている。そもそも共和党の少しだけ右側にポジション取りして共和党から脱退した人たちが中心だったのに、トランプ政権が、リバタリアンより右側に行ってしまって支持を落としたということだろう。

そして、この政党の存在こそが、接戦州でのトランプ政権の命運を絶ったともいえるわけだ。

アリゾナ:選挙人(11)/バイデン49.5% トランプ49.0% ジョーゲンセン1.5%
ウィスコンシン:(10)/バイデン49.6% トランプ48.9% ジョーゲンセン1.2%
ジョージア:(16)/バイデン49.5% トランプ49.3% ジョーゲンセン1.2%
ペンシルベニア(20)/バイデン49.7% トランプ49.1% ジョーゲンセン1.2%

とはいえ、リバタリアン党の支持率は前回より下がっているのだから、リバタリアンが共和党の票を盗んだというより、逆だろうと思う。

もう一つは、選挙戦の最終盤でフロリダに注力していたのだが、実際はフロリダとテキサスで勝ちすぎている。他の州にもう少し熱意を分散すべきだったのだろう。そして、自らがコロナに感染して失った数日も影響したのだろう。

もっとも、選挙戦の最後だけ頑張って勝利を得ようという作戦は、小学校の夏休みの宿題のような話である。ギリギリの帳尻合わせでなんとかしようと思っていたところ、病気で何日か寝込んでしまったようなものだろう。


もっとも、トランプの4年間で、いままで米国内では論じられなかった「米国の弱点」がいくつか明らかになったわけだ。解決策こそまったくダメだったが、中国問題、メキシコ人移入問題、多国籍企業問題。今後、立ち直れる感じがまったくしないのだが、大丈夫だろうか。