ある明るい朝に(新井卓氏 写真企画展)

2017-02-26 00:00:22 | 美術館・博物館・工芸品
あざみ野の「ギャラリーあざみ野」で開催中だった『ある明るい朝に(写真展)』に。

写真と言っても普通の紙焼きではなく、ダゲレオタイプという手法。要するに写真が登場した頃の1850年ごろの技術を使っている。二種類の化学物質で画像を浮かびださせる。よく幕末の人物が首を固定されたまま30分動かなかった方式だ。

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もちろん、人間を写すのは今時は困難なので被写体は異なる。広島、長崎、福島など。要するに核物質の寿命に比べれば首の固定などは一瞬の時間であって、その時間が止まった各地の被写体を写すのにこの手法を使ったということだろうか。(もちろん現代の技術では、首の固定器は要らない)

写真は技術じゃなく思想だという考え方はあるが、新井氏は技術と思想を組み合わせたのだろう。なかなか見る方も忍耐を要する。


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同じ会場では『写真 時間の位相』が同時開催で、その1850年ごろからの写真の進化がカメラの進化とともに展示されている。上記の首固定器も見られる。私なんかとても無理だ。動かないと体が硬直してしまう。米国新大統領もそうだろう。

初期の写真の一つの特徴として、再現性がないということがある。一枚の銀板に焼かれた写真は、オリジナルであるとともにコピーは存在しない。となると、本展に登場する例えば「ボストン郵便局の局長のポートレート」なる額縁入りの写真は、おそらく本人が所有していて、没後ある時点で不届きな子孫が金策のためオークションに売り出したものだろうか、と思わぬことを考えてしまう。