青インクの東京地図(安西水丸著)

2017-02-28 00:00:22 | 書評
東京を舞台にしたエッセイ。エッセイとひとことで言い切るのは難しい。色々なパターンがある。本著は、ある意味、東京のガイドブックになっているといってもいい。

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登場する町は、
深川、赤坂、戸越、新橋、巣鴨、歌舞伎町、青戸、八王子千人町、錦糸町、九段、上野、銀座、分倍河原、三ノ輪、町屋と脈略がなさそうな15か所。

実は、脈略はちゃんとあって、それはそのすべての町に著者である安西水丸氏のかかわりがあること。自分の散歩コースだったり、少年時代の思い出があったり、知人がいたり、愛人もどきがいたり。そういうメモリアルプレースに歴史的な土地の成り立ちを加えて、著者なりの感情を移入していく。

少なくても、著者のメモリーの部分に共感できるかどうかは別にして、この町にはこんな風情があって歴史があったのだ、と頭に入れてから都内を歩いてみたらどうだろう。

私もそれらの場所のいくつかには個人的メモリーもあるのだが、さすがに東京育ちの人にはかなわないなあと思ったのだが、冷静に考えれば彼は千葉県の一番南の端の千倉で育ったはずだ。私も千葉県民だったのだが、もっと東京に近かった。

やはり、タウンボーイを装えるのは、学校が東京(九段の私立・医者の息子が多いとこかな)で、勤めが電通だったからなのだろうか。電通を辞めたのは、勤務状況がブラックだったからなのだろうか?