霞ヶ関カンツリーになった違和感

2017-02-08 00:00:08 | スポーツ
今、ゴルフでは3つの話題がある。

一つ目は松山英樹選手が日本人としては初めての米国ツアー通算4勝ということで、始まったばかりのシーズンで今のところ賞金王だそうだ。

一言で言えば、彼の死角は保護主義的な大統領のツイート攻撃かもしれない。アメリカ人キャディーを雇い、使用クラブも米国製にして雇用と貿易赤字の縮小に貢献しておいた方がいいかもしれない。


二つ目は、安倍首相のトランプゴルフ。「危険」という声が大きい。「危険」の意味としては、他国の首脳が距離を保って付き合っているのに、一人だけ近寄り過ぎていて、仲間はずれにされるのではないかというケースと、そもそも親しくなり過ぎた後、氏の失脚の場合どうするの、というケース。

それほど、首相は愚かではないと思うし、そもそも言いなりになる国があるとも思えないし、氏を意のままに操れる人間がいるとも思えない。


で、本題は東京五輪の正式種目であるゴルフの会場が、最もふさわしくないと思われる霞ヶ関ゴルフカンツリー倶楽部(以下、霞ヶ関CC)になっていること。

ただ、「どうでもいいじゃん」という人もいる。リオの時も一流選手が軒並み不参加だし、ゴルフそのものが五輪的じゃないという声もあり、東京大会で終わりではないかともささやかれている。

まあ、そこまで冷めてない人が普通に思うと、霞ヶ関CCの内実の前にともかく、問題が多すぎる。

1. 東京都ではない。(埼玉県川越市)
2. 遠い。(関越道鶴ヶ島インター)
3. 暑い。(内陸だし、開催日7月30日~8月8日)
4. 若洲をはじめ、近くの船橋や横浜にはゴルフ場は一流から無名まで数多くあるのになぜ。


私も、若洲ゴルフリンクスは選手村のすぐそばで、いいかもしれないが、コースが簡単すぎるだろうと思っていた。ゴミ埋め立て地なので平地なのだ。パブリックなので、あまりに難しくすると問題かなと思っていたが、しかし霞ヶ関CCは貴族や大社長といったクローズドの世界なので、どうしてそこなのかと疑問はもっていたのだが、そもそも五輪会場は疑問だらけなので、そんなものかと思っていたらやはり問題になった。よく考えれば、ゴルフコースを難しくする工事というのも簡単ではないが、様々な東京都の無駄からすればチリやゴミの世界だろう。バンカーを増やしたり何本か大木を植えたり、グリーンを削ったり山にしたり。しかし、それこそレガシー作りということではないだろうか。

レガシーといった単語をつかったところで、オリンピック用のプールやボート場といっても、それを使えるのはごく一握りの優秀な選手だけなわけだが、ゴルフというのは、パブリックであれば普通の都民が申し込んで五輪コースを回れるわけだ。

で、女性会員の話の前に、上記1と3について。東京都の方から霞ヶ関CCに「若洲の改装費は負担できないので」という話をしたらしいのだが、それでは16億円と言われる霞ヶ関CC東コースの改装費は誰が負担する話になっていたのだろうか。メンバーは1800名位と言われているので、会員一人あたり100万円。いかに太っ腹会員とはいえ、全員OKなのだろうか。(話は違うが小池知事は長沼ボート場にこだわっていたが、改装費は誰が負担するつもりだったのだろう。)

改装費の中には観客25,000人用の対応が必要だったそうだが、本来、それほど観客が来るのだろうか。夏だし。不人気競技だし。

そして、暑さの問題。これは森委員長も指摘しているが、川越の夏は暑い。開催期間の過去数年の最高気温は37度から40度。平均気温は28度から29度。トーナメントの3日目4日目となると、順位の上の選手のスタート時間は遅くなり、ちょうど一番暑い時に後半のホールを回ることになる。そしてぞろぞろと観客が行軍を続ける。終戦の年のビルマ戦線を思い出す。たとえば今年の同じ時期に行われるプロトーナメントは、男子が那須白河・その後2週休み、女子は鳴沢(河口湖)・札幌・軽井沢である。

たぶん、森委員長もあまり大声で言わないのは、自分が首相を辞めることになった原因が戸塚CCでの失態(緊急事態対応の失敗)であったことと、戸塚CC自体、霞ヶ関CCの会員権の3倍もする高級CCなので、ブーメラン効果を恐れてのことだろうと思うが、言動から察すると、彼の知らないところで決定されたのだろう。(早慶戦勃発という声もある)


そして日曜の女性排除の件だが、そもそも女性正会員を認めていないという話であるが、その前に、このCCは会員権の譲渡を認めていないわけだ。会員になる審査が難しいというのは、どこのクラブでも最近はそうなのだが、会員が辞めたくなった時に仲介業者に依頼すると、新たな購入希望者がそれを買ってゴルフ場が審査の結果承認し、会員は会員権を新会員に売り渡すというのが会員権売買の通常だが、本クラブは、会員は辞めたくなったらクラブに会員権を返納するわけだ。そして、次の希望者にはクラブが会員権を売るわけだ。だから「これからは正会員には女性でもOK」と決まっても女性が正会員になれるかどうか、はっきりしないわけだ。

さらに会員の死亡の時は、普通は相続人(こども等)が財産として相続できるのだが、ここでは会員権は一代限りになっていてクラブに返上することになっている。そうすると新会員が1名入れるわけだ。

そういうかなりクローズドな仕組みのゴルフ倶楽部なので、女性差別問題もその延長なのだろう。だから女性会員問題以外にも問題だらけというように思える。

東京都じゃないし、暑いし、遠いし、パブリックではないし、会員システムは閉鎖的だし、女性は正会員になれない上、ビジターとしても日曜日には回れない、と並べてみた方がいいのではないだろうか。

理事長の話を聞くと、「無理に頼まれて合意して引き受けた」というように聞こえるが、東京ガスが豊洲を売った時に聞いたセリフと同じなのだ。