将棋の子(大崎善生著)

2017-02-18 00:00:44 | しょうぎ
だいぶ以前の書だが、未読だった。ある元奨励会員の半生を追ったドキュメンタリーなのだが、実際、追われる方としてはどういう気持ちなのかなと感じていたし、その元奨励会員だけが特異なのかとか、それほど遠い過去でもなく、本人が成功者と言えない状況で書いてしまうというのは、かなり違和感もあった。さらに同じような境遇の方も知っていたので、この書は遠ざけていたのだ。

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ところが、その知っている方から1月にいただいた変則的な年賀状の意味がよくわからず、知人に聞いたところ、その意味はわからないのだが、その方がこの本に登場する場面があるということで、あわてて図書館に行って読んでみることになった。

読んでみて、目的はかなわなかったが、奨励会も大変な世界だなあとあらためて感じる。


最近の将棋界の目を疑うような事件についてよく言われるのが棋士の社会性の欠如ということだが、本来社会性を身に付けなければならない十代の後半から二十代の前半を厳しい修行を続けるというのは、棋士の将棋力を高める一方で、社会性を損ねることになっているのだろう。

マクロ的に考えれば、囲碁界よりプロが少ないのが、狭き門の原因なのだろうが、それは外部の世界から入ってくる財源の差と言えるのだろうが、財源が少ないのは、将棋の質や内容の高度さではなく、棋士の社会活動や公共的な共感力が不足しているためであるのだから、もっと大局的に考えた方がいいだろうか。特にAIと力勝負しても勝てなくなったわけだが、そういう時代の将棋棋士の存在の目的を考え直した方がいいだろう。

ところで、本書は2001年の上梓だが、当時では考えもつかなかったインターネットやFacebookなどの普及で、行方が分からなくなってしまった人も、案外、足取りが復元できたりする。便利なような困ったような・・・


さて、2月4日出題作の解答。

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今週の問題。

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4×5の中にあるのは四畳半問題というらしいが、四畳半を少し突き出している。床の間付きだ。部屋の中で完結する。

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