禅・仙ガイ(崖という字の山なし)展(前期)

2014-01-12 00:00:25 | 美術館・博物館・工芸品
羽田空港の第2ターミナル(ANA側)の一番端(手荷物検査場D)のさらに二階にある美術館が『Discovery Museum』。入場無料で「禅・仙ガイ展」が開催されている。1月が前期で2月が後期展示。一応、航空券がなくても行けるところなので、電車(モノレール)代だけで見に行けるわけだ。ただし、場所柄、広いわけじゃなく展示枚数は限られてしまうが。

まず、仙ガイだが、正確には仙ガイ義梵(せんがいぎぼん)という。正確には仙は略語だが正字はIT対応していない(gooではガイも対応していない)。白隠慧鶴と並び江戸時代を代表する禅僧である。両者ともに書画の達人であるとともに禅問答の名手である。この書画と禅問答が当時の一流僧の条件だった。

1750年に美濃の農家に生まれ、11歳で禅宗に入り、32歳で独り立ちする。その後、諸国行脚を続け、いろいろあって40歳の時に福岡の聖福寺の第123代祖師となる。日本でもっとも古い禅寺で、初代祖師は、栄西である。そして、腰を据えた彼は22年間、書画を描きながら住職という住職をこなし62歳で隠居するのだが、世の中は甘くなかった。第124代の堪元等夷が26年目に福岡藩により島流しの処分を受ける。檀家から強引に寄付を集めたらしい。そして、86歳の仙ガイが再び125代として再登場。しかし、翌年、ついに力尽きるわけだ。やはり、再登場は辛いものがあるのだろう。

で、肝心の書画の方だが、いわゆる禅問答を絵画化したものや、僧が悟りを開く瞬間などが選ばれて描かれている。

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実際に悟りを得る瞬間というのは、各自各様のようで、日常生活のある瞬間に、ふとやってくるようだ。ニュートンのリンゴみたいなものだろうか。だから絵画としては少し面白くない。やはり禅問答の方が絵になる。

「犬に仏性があるやないや」という質問に中国の高僧が、「無」と答えたという有名な公案の絵が展示されている。この場合の「無」というのは「虚無」よりもっと前の「無」ということを意味するそうだ。(絵を見てもわからないが)

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もう一つ、「猫か虎か当ててみろ」という絵がある。答えは「虎」らしいのだが、理由は不明だ。いかにも猫のようだが、当時、虎は日本では見ることができず、虎の絵をみて虎をイメージしていたそうだ。猫を描くなら、虎に間違われない様に虎模様には描かないはずだからだろうか。たぶん違う。