次の非常事態(チリ、そして日本)

2010-09-14 00:00:06 | 市民A
チリで起きた銅鉱山落盤事故の余談みたいな話だが、地下からの救出を待つ33人の中の一人が、非常事態になっている。そして、たぶん、自分が非常事態になっていることを知らないはずだ。

MSN産経ニュースより。

【チリ落盤事故】作業員妻Vs愛人!地上でも女の戦い

チリ北部コピアポ郊外での鉱山落盤事故で“地上戦”も勃発した。閉じ込められた男性作業員(50)の妻(56)と愛人が“家族控え室”で鉢合わせする“非常事態”が発生。英メディアなどが8日までに伝えた。妻が「彼の世話女房よ」と言えば、愛人も「私たちは愛し合っている」と両者ガチバトル。作業員救出は早ければ10月末の可能性が出てきたが、この状況では出るに出られない!?

地下約700メートルで救出を待つ男たちの闘い。そして地上では女の戦い。8月5日のチリ落盤事故発生から約1月。事態は新展開を迎えた。

英紙「The Sun」などの報道によると、今回の“主人公”である男性作業員はヨニ・バリオスさん(50)。その妻、マルタ・サリナスさん(56)は、関係者らが集っていた“家族控え室”で、ある1人の女性の存在に気づいた。

「バリオス…」。彼の名前を叫んでいた女性、スサーナ・ヴァレンズエラさん(年齢不明)。バリオスさんに愛人の存在が明らかになった瞬間だった。2人はバリオスさんの無事を祈っていたところで、運命の鉢合わせをしてしまった。

ヴァレンズエラさんの姿を見たサリナスさんは「ガク然とした」と驚きを隠さない。しかし、本妻の意地か、ヴァレンズエラさんに愛する夫を引き渡さないと固く決心した。サリナスさんは友人に「バリオスは私の夫。彼は私を愛しているし、私は彼の世話女房よ。あの女性に正当性はないのよ」とピシャリと言い放ったという。

対するヴァレンズエラさんも、一歩も譲らない構え。バリオスさんと5年前に出会ったとし、「彼は私のために、妻と別れる考えがあったのよ。私たちは愛し合っている。私は彼を待つわ」。“仁義なき戦い”のゴングは鳴った。

そのバリオスさんは、落盤事故のヒーローの1人と言われている。応急処置訓練を受けていたバリオスさんは、病気の同僚を手当したり、インフルエンザや肺炎の予防のため、閉じこめられた作業員33人全員に予防接種を実施したという。

早ければ10月末にも作業員救出の可能性が出てきたが、出てきたら出てきたで、そこはまた「非常事態」の現場だ。


こういう話って、本人たちが熱くなればなるほど、また泥沼化すればするほど、はたから見れば通俗的な笑いをもたらすものだ。もっとも、ピストルとか刃物とかが登場しない限りだが。

実際、テレビまで地下で見えるようになったのだから、インターネットなんかも通じてしまうかもしれないし、「地上の争い」を当事者のバリオス氏が知ることになるわけで、地上に戻る前に地下から何らかのメッセージを送るということにもなりかねない。ほんとに、穴から出られないということになる。まあ、命が助かることに比べれば、女性選びなんて重大問題じゃない、とか思うしかないだろう。

なにしろ地下にいると、作戦上、まったく不利だ。地上に出て、たぶん病院に収容だろうが、病院からパジャマとスリッパで逃走するしかないだろう。(チリの病院にスリッパがあるかどうかは知らないが)

ところで、この話、単純である。ただの古典的な三角関係である。

一方、日本の押尾裁判だが、チリの単純さと比べて、公判で明らかにされる登場人物たちの行動は、まったく薄汚れたものである。MDMAで発作死したホステスだって、複数の対立する暴力団関係者たちとの肉体関係と並行的に押尾学と関係。すべての登場人物には、愛情なし。自己の都合である。勝手主義。ミーイズム。

考えてみれば、マスコミだって、マスゴミぶりを発揮している。事件の本質をよーく考えてみると、当事者が俳優だったことでもなく、六本木ヒルズで起きたことでもなく、登場人物たちがロクデナシだったことでもなく、本来だったら死に至るほどでもない量を服用しただけで異常を起したという部分ではないだろうか。危険な密造MDMA(というか密造に決まっている)で稼いでいる人物が影にいるということではないだろうか。


そして、チリの鉱山からの救出が終われば、たぶん地上と地下との三角関係については、元の鞘に戻ることはありえないだろうし、間もなく行われる民主党の党首選挙だって、敗れた方が元の鞘に戻ることもないだろう、と思う。だいいち、あの二人には、もとの同じ鞘なんかないわけだ。これこそ、日本の非常事態ということだ。