草食系猫熊男子の悲劇

2010-09-13 00:00:10 | 市民A
神戸王子動物園の雄パンダ、コウコウが亡くなった。

2008年に、動物園で後ろ姿を見ただけに、亡くなった経緯を読めば、なんとも可哀そうとしかいえない。

asahi.comより

神戸のオスパンダ、コウコウ死ぬ 人工授精で麻酔後に

神戸市立王子動物園(神戸市灘区)が中国から借り受けていた14歳のオスのジャイアントパンダ、コウコウ(興興)が9日、死んだ。人工授精のために精子採取を試みた後、麻酔から覚める途中で心肺停止したという。繁殖目的で8年前に来日。2008年に待望の赤ちゃんが生まれたが4日目に死に、その後は子宝に恵まれなかった。

同園によると、14歳のメスのタンタン(旦旦)に発情の兆候が見られたため、この日午前9時すぎからコウコウに麻酔をかけて精子採取を試みたが失敗。午前11時半ごろ、呼吸が浅くなり、心臓マッサージなどをしたが正午に死を確認したという。死と麻酔の因果関係は不明で、中国から専門家が到着するのを待って病理解剖する。

同園は繁殖研究目的で2000年7月にタンタンを、02年12月にコウコウを中国から借り受けた。公募で決まった名前「興興」には1995年の阪神大震災からの復興への願いが込められた。

気の強いタンタンと、おっとりした「草食系男子」(同園)のコウコウは相性が悪く、交尾による繁殖が望めないため、03年から人工授精に切り替えていた。

2頭は今年7月に借受期間を5年間延長したばかりだった。人為的な原因で死んだ場合は賠償金50万米ドル(約4千万円)の支払いを求められる可能性もあるという。パンダプロジェクトチームのリーダーとして2頭を見守り、2世を待ち望んできた副園長の奥乃弘一郎さん(58)は「気難しいタンタンを包み込むような、優しい性格のパンダだった。残念としか言いようがない」と肩を落とした。同園は10日に献花台を設ける。




確かに、2008年に訪園した時、コウコウとタンタンは隣同士のケージにいたのだが、コウコウの方は、お気に入りの木製ベッドでゴロゴロと寝転がっているだけだったが、一方、メスのタンタンは一ヶ所に留まることなく動き回っていて、ときどき、隣のコウコウの方を見ては、「一緒に遊びたいなあ」というそぶりだった。

まあ、朝日の記事のように、草食系男子ということなのだろうが、考えてみれば、彼の一生なのだから、必死に子作りに励んだところで、檻から出られるわけでもなく、お気に入りの場所でボーっと空を眺めて哲学しているのも、彼なりの必然というところだったのかもしれない。

まあ、それでは、・・と、無理やり麻酔をかけて精子を摘出するって、よくわからないけど、ずいぶん乱暴な方法なのではなかっただろうか。人間の世界じゃ考えられない。急に麻酔をかけられて、気付いていたら何らかの方法で、精子抜きされて、勝手に妊娠されちゃうわけだ。


本当に、せめてもの慰めは、彼の大好きだった「夢の世界」から、覚醒することなく別の世界に向かったことだろうか。


ところで、この朝日の記事を書いた記者。女性である。哲学パンダに対して、容赦なく「草食系男子」と通俗的カテゴリーに放り込むわけだが、ちょっと怖い。