アウト・バーン制限速度問題

2007-03-21 00:00:47 | 市民A
75d7d3a9.jpg「無制限」。一般的に、このコトバを好きな人と嫌いな人はどれくらいの比率なのだろう。何となくだが、積極的、攻撃的という性格の方は、「無制限」が大好きで、逆パターの方は嫌いではないだろうか。話は、高速道路の制限速度。先進国では唯一の速度無制限の高速道路をもつドイツ・アウトバーン。

制限速度について、CNNJが報じている。

アウトバーンの速度規制、54%が130キロに賛成
2007.03.17 Web posted at: 15:44 JST- CNN/REUTERS

ベルリン――ドイツのアウトバーン(高速道路)に速度制限を設ける問題で、同国国民の54%が最大時速130キロに賛成していることが地元テレビの世論調査で分かった。10%がそれ以下を希望。35%は制限は必要ないだった。

ロイター通信によると、少なくとも三分の一のアウトバーンでは速度制限がある。残りについては、130キロの勧告速度があるが、無視されている例も多いという。

ドイツの環境保護団体、欧州連合(EU)欧州委員会も、エネルギーの無駄としてアウトバーンでの速度制限を提言しているが、ドイツ運輸省は消極姿勢を示している。

BMW、ベンツ、ポルシェなど強力エンジンを誇るドイツの車メーカーは、アウトバーンでの速度規制は売り上げ減につながりかねないと懸念しているという。

この記事の中では、速度無制限区域は全体の2/3と書かれているが、もう少し少ないという説もある。アウトバーン以外の道路の上限は120キロであり、トラックにはさらに低い制限があるそうだ。また、文中の130キロというのは推奨速度であるが、速度制限がないので、推奨しても守る義務はない(ちなみに、先日、アメリカで女性宇宙飛行士がヒューストンからオーランドまで同僚を捕獲殺害しようと飛ばした時の平均速度は130キロくらいで、米国では速度違反であるが道路上では捕まらなかった)。

たぶん、最大の問題は、最後に書かれている、自動車メーカーの戦略のところのような気がする。さらに言えば、高速自動車三社の中でも、「ポルシェ」なのだろう。「フェラーリ」と並ぶ世界最高速車。もちろん、技術的にも、最高の技術開発が必要とされ、その技術のお裾分けで大衆車の安全性が向上しているのも事実だが、速度が上がれば加速度的に燃費は悪化し、事故のダメージも増加。

一方、現実的には、ドイツ人の大好きな省エネ問題がある。さらに、EU圏拡大に伴い、EUの地理的中心部にあるドイツの交通量が増え、200キロで走ることが難しくなってきたこともある。

まあ、妥協的な結論とすれば、「さらに無制限区間を減らす」というような妥協的なものになるのだろうか。


かたや、日本では、速度制限を100キロから120キロに上げるために第二東名を造ったり、既存の高速道路の改造をしようという利権型政策誘導をたくらむ者が蠢いている。これこそ、最悪である。アウトバーンはヒトラーが軍用機の離発着にも使えるように直線部分を長く設計したから高速運転できるのだが、日本では建設費が高くなるように道路族が道をぐにゃぐにゃ曲げたせいで、高速走行しにくくなっている。宿命を負ったまま我慢するしかないだろう。


ところで、本当に無制限速度で運転したければ、深夜の第三京浜を走ってみるといいかもしれない。片側三車線を様々な速度と様々なポリシーと様々な能力のクルマが好き勝手に走っている。ただし、全長は、わずか16.6キロしかないので、時速200キロで走ると5分で終点だ。そして、制限速度は80キロなので、その後、免許証がどういう運命に至るのかは自分で調べておいてほしい。


そして、制限速度の問題で言うと、3月22日に東京高裁で、ある交通事故についての裁判がある。弊ブログ2005年11月29日近隣事件簿(1)サレジオ学院暴走車突入に取り上げたサレジオ学院前歩道突入事件。加害者の男性が時速40キロ道路を100キロで走行させようとしたため、カーブを曲がりきれず高校生の列に突入。二名死亡七名が負傷したとして危険運転致死傷罪が適用される。一審では懲役16年。

この事件、現場で見ると、100キロで走ると言うのは、プロレーサーでも考えないような場所。タイヤ残溝の磨耗とかの複合原因ではないかと思えるのだが、この100キロ出ていたのか、出ていなかったのかというようなことが裁判で争われるわけだ。